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ドライブレコーダーの記録映像はどう役立つのか?トラブルに巻き込まれた後の正しい使い方

2022.04.03

最近では、交通事故などに備えて、車にドライブレコーダーを搭載する方が増えています。

ドライブレコーダーの映像は、車に関する不測のトラブルに巻き込まれた際、その後の対応を円滑化するために役立ちます。

今回は、ドライブレコーダーの映像が何に役立つのか、映像を基に警察や弁護士へ相談する際には何に注意すべきかなどをまとめました。

1. ドライブレコーダーの映像は、交通事故状況等の客観的な証拠となる

車にドライブレコーダーを搭載することの最大のメリットは、交通事故などのトラブルの状況を客観的に記録できる点です。

交通事故などのトラブルは突発的に発生するため、現場で正確に状況を把握することはきわめて困難です。目撃者がいるとは限りませんし、仮に目撃者がいたとしても、記憶の変遷などによって証言の信ぴょう性に欠けるケースが多いです。

ドライブレコーダーは、車周辺の状況を常時撮影・記録しているため、突発的に発生するトラブルでも、その一部始終を記録することができます。後にトラブルの相手方の法的責任を追及する際、客観的な記録であるドライブレコーダーの映像が大いに役立つのです。

2. ドライブレコーダーの映像によって立証できる主な事項

ドライブレコーダーの映像が役立つのは、主に交通事故や車上荒らしの被害に遭った場合です。具体的には、加害者側の法的責任を追及する際、以下の事項を立証するためにドライブレコーダーの映像が役立ちます。

2-1. 交通事故と物損・ケガなどの因果関係

交通事故の被害に遭った場合、車が大破したりケガをしたりするなど、被害者に損害が発生します。

加害者に対して損害賠償を請求する場合、交通事故と損害の因果関係を証明しなければなりません。ドライブレコーダーの映像は、交通事故の衝撃の大きさをリアルタイムで切り取るため、交通事故と損害の因果関係の立証に役立ちます。

2-2. 当事者間の過失割合

交通事故の損害賠償額は、当事者間の「過失割合」によって変動します。ドライブレコーダーの映像は、過失割合の立証にも大いに役立つと考えられます。

「過失割合」とは、交通事故の当事者間で、どちらにどれだけの責任があるかを表した割合です。

民法722条2項に基づき、不法行為に基づく損害賠償額は被害者の過失を考慮して定めるべきとされています。そのため、交通事故の損害賠償額も、過失割合に応じて変動するのです。

交通事故の過失割合は、事故の状況によって目安が決まっています。

例えば当て逃げ事故であれば、過失割合は基本的に10対0です(加害者が全面的に悪い)。これに対して運転中の事故の場合には、双方に一定の過失があり、過失割合が9対1、8対2、7対3……などと認定されるケースもあります。

ドライブレコーダーの映像には、交通事故の客観的な状況が記録されているため、過失割合の立証を円滑化する効果があります。

2-3. 車上荒らしの犯人特定

交通事故だけでなく、車上荒らしの被害に遭った場合にも、ドライブレコーダーの映像が役立ちます。

車上荒らしは、車の所有者が不在の時に発生します。また、犯人は周囲に人がいない状況を見計らって犯行に及ぶケースが多く、目撃者がいないケースも多いです。防犯カメラが周辺にあれば、その映像を証拠として利用できますが、必ずしも設置されているとは限りません。

所有者が車から離れている時間帯も、ドライブレコーダーを回しておけば、車上荒らしの犯人の顔や背格好などが記録され、犯人特定の証拠として用いることができます。

3. ドライブレコーダーの映像を基に、警察に相談する際の対応

交通事故や車上荒らしの被害に遭い、ドライブレコーダーにその映像が記録されている場合には、警察に相談すれば対応してくれる可能性が高いでしょう。警察としても映像として客観的な証拠が残っていれば、捜査に動きやすい面があります。

乗車中の交通事故の場合は、その場で直ちに警察へ連絡をとりましょう。道路交通法72条1項に基づき、交通事故の発生時には、警察への報告が義務付けられているためです。

加害者から示談を提案されるケースもありますが、決してその場で応じてはいけません。加害者に対して身分証明書の提示を求め、後日保険会社または弁護士を通じて連絡をとるようにしてください。

これに対して、当て逃げ事故や車上荒らしの場合には、警察署に映像を持参して被害を申告しましょう。

警察署では、当て逃げ事故や車上荒らしの被害について、被害届または告訴状を提出します。どちらも被害事実を警察に申告する書面ですが、特に告訴状の場合は、犯人の処罰を求める意思が明記されている点が大きな特徴です。

被害届・告訴状のいずれも、特に法令によって書式が定められてはいませんが、警察署の窓口で書式を受け取ることができます。ドライブレコーダーの映像は、被害届や告訴状を提出する際に、併せて警察に提出しましょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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