夫殺害の容疑をかけられた、美しい妻。
自由奔放で恋多き妻は、真面目で誠実なエンジニアの夫に対して息苦しさを感じていたのだろうか?それとも……。
2021年7月2日よりNetflixで独占配信中の『美に魅せられて』は、インドで製作されたサスペンス・ミステリー映画。
主演は『エンドレス・ルーーープ』のタープシー・パンヌ。
あらすじ
インド、ジュワラープル。主人公ラニ(タープシー・パンヌ)の夫であるリシュが、爆発事故により32歳の若さで亡くなった。
遺体の頭部に外傷があったことから、爆発事故に見せかけた殺人事件であることが疑われる。
警察は、被害者の妻であるラニを容疑者として取り調べを行う。
ラニとリシュは、見合いにより結婚した。
リシュは電力会社勤務のエンジニアであり、真面目で誠実な男性だった。
ラニは刺激的な都会暮らしとドラマチックな自由恋愛への憧れを抱いていたのだが、“結婚向きの男性”として家族からリシュを強く勧められてしぶしぶ見合い結婚をしたのだ。
新婚早々、衝突やスレ違いばかりのラニとリシュ。
ある日、ラニの前にリシュの従兄弟にあたる男性ニールが現れる。
リシュとは真逆の危険な色気が漂うニールに、ラニの心は惹かれていく。
見どころ
お見合いで「ご趣味は?」と尋ねられたリシュの答えは、「週末隣人のために電気製品を直すこと」。
なんて親切で優秀な男性なのだろうか。まさに、世の中の多くの女性にとっての“理想の夫”という感じの性格をしている。
しかしドラマチックな生活を夢見る勝ち気なラニにとっては、そんなリシュの誠実で素朴な性格がひどく退屈に感じられたのだろう。
これはどちらが良い悪いではなく、“価値観の違い”というやつなので、仕方がない。
問題は、なぜ殺人事件にまで発展したのかということだ。
前半では、見合い結婚の経緯や嫁姑バトル、ラニに顎で使われるリシュの“気弱夫”ぶりをコメディタッチで描く。そして後半からは不倫相手のワイルド系男性が現れ、怒涛の展開に。
真面目夫に不満を抱えた女性が危険な男性にのめり込む図は、万国共通。
ラニの裏切りを知った直後のリシュの壊れ方は、日本のドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)の主人公の夫・涼太を彷彿させる(これも万国共通なのか……?)
誠実で一途な人ほど、一度暴走し始めると止まらなくなって“とことんやり抜く”傾向があるが、本作でもそのような怖さが描かれている。
本作にはインド映画でお馴染みのボリウッド・ダンスもなく、愛憎ドロドロの本格サスペンス・ミステリーに仕上がっている。
進化し続けるインド映画からは、今後も目が離せない!
Netflix映画『美に魅せられて』
独占配信中
文/吉野潤子