奈良美智やKEITAMARUYAMAも参加!百貨店、ブランド、クリエイターが連携してサステイナブルな未来を目指す「リーバイス501」のアップサイクルプロジェクト
2022.03.31
伊勢丹新宿店は2022年4月5日(火)まで、「デニム de ミライ~Denim Project~」を開催中。引き取り手のなかった膨大な「リーバイス 501」を、国内外60以上ものブランド、クリエーター、アーティストがアップサイクルし、新たな価値を創造した商品を展開しています。アイテム総数は200型以上!
この大規模プロジェクト実現の背景にあったのは、プロジェクトリーダーである株式会社三越伊勢丹 伊勢丹新宿店 リ・スタイル バイヤー 神谷将太さんを中心とした「人と人との繋がり」。ファッションを楽しむ高揚感を消費者に届ける小売の使命を果たしながら、サステナブルな未来を目指す取り組みをご紹介します。
ユーズドストックをアップサイクル。約20トンのリーバイス 501との出会い
伊勢丹新宿店で開催中の「デニム de ミライ~Denim Project~」
「デニム de ミライ~Denim Project~」の発端は2019年6月、株式会社ヤマサワプレス 代表取締役 山澤亮治さんがアメリカのロサンゼルスに訪れた時、偶然「リーバイス 501」のユーズドストックと出会ったことからはじまります。リーバイスのデニムは古着としても価値が高く、アメリカ国内各所で収集され世界中へと販売されていましたが、中にはダメージや汚れがひどく引き取り手がないものも。山澤さんはそういった約20トンのリーバイス 501を目前にして、買い取ることを決意したのです。
日本に輸入したリーバイス 501は汚れや古着特有の香りが残っていましたが、ヤマサワプレスはアイロンプレス、検品補修、洗い作業の専門会社。長年培ってきた技術を活かし、機械ではなく手作業でデニム一本一本の状態を確認し、洗濯。そして新しい商品に生まれ変わらせるための取り組みをはじめます。
(左)株式会社三越伊勢丹 神谷 将太さん(右)株式会社ヤマサワプレス 山澤亮治さん
しかし約20トン、デニムの本数で換算すると3万本以上のデニムを全てアップサイクルするのは非常に困難。山澤さんは「果たしてこれを使い切れるのか。ほかの企業へとさまざまな提案を実施しましたが、ものづくりには至らなかった」と当時を振り返ります。
アップサイクルされたアイテムたち。
プロジェクトが動いたのは2020年9月、三越伊勢丹の神谷さんが足立区竹ノ塚にあるヤマサワプレスに訪れた時のこと。大量のリーバイス 501を見た瞬間、神谷さんは「このストックを使って世の中にメッセージを伝えたい」と山澤さんに直談判し、リーバイス 501をアップサイクルする「デニム de ミライ~Denim Project~」がスタートしたのです。
競合他社とも協力して実現した「デニム de ミライ~Denim Project~」
奈良美智 × LAMMFROMM「PUP KING DENIM」
大量のリーバイス 501はあまりに数が多かったので、神谷さんは自社のみで展開するのは難しいと最初の時点で判断。また、プロモーションとしてではなく、この取り組みを日本中にメッセージとして届けるためには、競合も含めた他社との連携が必須と考え、さまざまな企業に足を運び声をかけました。
結果として三越伊勢丹のほかに阪急阪神百貨店、岩田屋三越、エスティーカンパニー、ファッションコアミッドウエスト、佐藤繊維(GEA)の合計6社がタッグを結成。競合他社や影響力のあるオーナーが営む地方のセレクトショップの協力も得られ、リーバイス 501のアップサイクルされた商品が日本中で展開されることとなったのです。現在、伊勢丹新宿店だけでなく各企業のショップでも2022年3月23日(水)から「デニム de ミライ~Denim Project~」を開催中。
パリ「Merci(メルシー)」のアップサイクルアイテム。
他社との連携と同時進行でさまざまなブランド、クリエーター、アーティストにリーバイス 501を使ったアップサイクル化を呼びかけ、合計60以上が神谷さんの想いに共感し参加。多くの人は実際にヤマサワプレスに足を運び、大量のリーバイス 501を見て直接生地を選ぶところから、商品の制作を進めました。参加ブランド・アーティストは3.1 Phillip Lim、Vivienne Westwood RED LABEL Concept Store、mina perhonen、Merci、KEITAMARUYAMA、N21(NUMERO VENTUNO)、WIND AND SEA、Golden Goose、arflex × N.HOOLYWOOD、カリモク家具、奈良美智 × LAMMFROMM、肥塚毅などファッション界からアート界まで広範囲(展開ブランドやアイテムは店舗によって異なります)。今回はヤマサワプレスが所蔵する約20トンのリーバイス 501のうち、約半分がアップサイクルされ生まれ変わりました。
リーバイス 501のポケットなども活用された「Golden Goose」のシューズ。
アイテムはリーバイス 501の良さを引き立てながら、各ブランド・アーティストの個性が光るものばかり。山澤さんは「このプロジェクトが実現できたことは、夢のよう。三越伊勢丹の館の力はもちろんのこと、リーバイス 501の求心力が多くの人々を惹きつけ、繋いだのだと感じています」と語ります。
ワッペンを選び、貼り方も考え、長く使いたくなるようなバッグが作れるmina perhonenのトーストバッグ・ワッペンセット。
神谷さんは約1年半このプロジェクトを進行させていく中で、さまざまなブランド、メーカー、工場、そして何よりお客様と直接繋がっていることが、小売として商売をしている三越伊勢丹最大の強みと実感。
デニム de ミライ~Denim Project~のプロジェクトリーダー、神谷 将太さん。
「サステナブルという軸で考えた時に、今回の素材に関わらず環境に配慮したさまざまなリサイクル素材が開発されています。それを仕掛けてお客様に届けることは、小売である我々が絶対にやらなくてはいけないこと。小売が中心となり、仕掛けることで、素材→メーカー→ブランド→お客様に届けるサイクルが生まれます。今回のプロジェクトではお客様にファッションの高揚感を届け、アップサイクルを通して未来を想像してもらえたら嬉しいです。今後はデニムのみではなく別の素材で取り組み、社会課題解決に向けたプロジェクトも考えています」(神谷さん)
多くの人の熱い想いによって、さまざまな垣根を越え実現した「デニム de ミライ~Denim Project~」。開催初日には多くの客が伊勢丹新宿店に足を運び、目を輝かせながら買い物を楽しんでいました。大量生産・大量消費など多くの課題を抱えるファッション業界が持続するためには、一人ひとりが柔軟に未来を描き、連携していくことが一つの鍵かもしれません。
・デニム de ミライ~Denim Project~
期間:開催中~2022年4月5日(火)※一部拠点は3月29日(火)まで
場所:伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージ他、本館・メンズ館各拠点
スペシャルサイト :
https://www.mistore.jp/shopping/feature/shops_f3/st_denimdemirai_sp
※紹介商品は完売の場合もあります。
取材・文/小浜みゆ
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