
SAKAMAは新潟県佐渡市のダイチク佐渡と協力して、佐渡島沖で漁れた南蛮エビ(甘エビ)を活きたまま届ける食育セット「はねっ娘セット」の販売を、3月11日にスタートした。価格は3980円(税込・送料込)、同社のアプリやLINEから購入できる。
生きた甘エビを食べて命の尊さを知る
同社は全国の漁港とユーザー、飲食店を直接結ぶ鮮魚通販アプリを運営する。複雑な流通をITでシンプルにし、これまでにない生産者と消費者のマッチングを実現する。「新鮮な魚を安く買える(生産者は高く売れる)」「市場に流通しない珍しい魚が食べられる(生産者はロスがなくなる)」などの価値を提供する。
「はねっ娘セット」は、海水とともに生きた甘エビ5尾と、生鮮の甘エビ25尾、観察用レポート用紙兼はねっ娘のパンフレットがセットになった商品だ。
「海に切り身の魚が泳いでいる、工場で焼き魚や刺し身がつくられる、と真剣に信じている子ども多く、水族館の魚と食卓の魚が結びついていない。生きている魚を見せてあげることが大事」と代表の柴田壮潤氏。
手にとって観察したり、直前まで活きていたエビのぷりぷりした食感を味わってほしいという。まずは生き物を知り、食べる辛さとともに、命の尊さを学ぶ食育キットだ。
[ビジネスのポイント]食育を通した価値創造
動いている甘エビを食べる体験は、「命をいただいている」という意識をうむ。食べ物を大切にする気持ちは、年間600トンにもおよぶ食品ロスを減らし、他者を思いやるやさしさを育むなど、教育的な効果が見込まれる。
SDGsへの意識が高まる中で、ビジネスとしても、生きた魚を通した食育はポテンシャルがある。「商品に新たな価値をつける取り組み」と柴田氏は「はねっ娘セット」を位置づける。
一般家庭のユーザーに付加価値を提供するとともに、教材として塾や学校に届けるなどマーケットの開拓にもつながる。
これまで締(し)めていた魚を生きたまま出荷するなど、生産者に新たな工夫を促す可能性もあるだろう。
生きたままエビを運ぶのは大変だが、すでに短期畜養の「活甘エビ」は、旅館などにも卸されている。同社はほぼそのままで、食育キットという新しい商品に変えてしまった。
既存の商品に食育または教育の要素を加えて、新たな価値をうみだすチャレンジは、あらゆる業界で応用できるアプローチではないだろうか。ぜひ、ビジネスのヒントにしていただきたい。
●プレスリリース
佐渡島のアマエビを、活きたまま自宅に直送!命の尊さを学べる食育セット「はねっ娘セット」
取材・文/ソルバ!
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