
マイホーム暮らしの人のほとんどが、持ち家購入時に利用する住宅ローン。昨今の新型コロナウィルス感染症の流行により景気が後退しており、家計に及ぼす影響も少なくないものと考えられる。
そんな中、株式会社ウィルファクトリーは住宅ローンを利用中の25歳以上の男女304人を対象に「住宅ローン返済」についての意識調査を実施した。
今回の調査では住宅専門ファイナンシャルプランナーで家計とマイホーム相談室代表の草野芳史氏に監修を依頼。併せて回答結果に対する見解も聞いた。
住宅ローンを借り換えできることを知らない人は3割弱
【1】コロナの影響で住宅ローン返済が苦しくなった人は3割を超える
「コロナの影響で住宅ローン返済が苦しくなったと感じますか?」との質問に対し、「とても苦しくなった」が9.4%、「やや苦しくなった」が25.3%と、程度の濃淡はあるものの全体の3割を超える(34.7%)人が苦しくなったことを実感していることがわかった。
<草野氏の見解>
各種統計でも4割近い人が「収入が下がった」と回答しているので、「住宅ローンの返済が苦しくなった」という人が3割を超すというのは当然の結果と言えるでしょう。ただ、コロナ禍という未曽有の事態だからしょうがないという訳ではなく、ちょっとした景気や社会情勢によっても収入は下がり得ますので、収入が下がっても余力を持って住宅ローンを返せるよう、ライフプランに基づいて家計のシミュレーションを行ったうえて予算や借入額を設定することが重要です。
【2】金融機関のコロナ対策支援に4割弱が興味あり!
「金融機関によるコロナ対策支援(住宅ローンの返済猶予等)に興味がありますか?」との質問に対し、「とても興味がある」が8.5%、「やや興味がある」が29.7%と、全体の4割弱(38.2%)が興味を持っていることがわかった、
<草野氏の見解>
各金融機関では住宅ローンの返済猶予や返済期間の延長といったコロナ対策支援を行っています。返済が滞ってしまうと個人信用情報に記録が残ったり、最悪の場合は自宅が差し押さえられてしまうなど対策の打ちようが無くなるので、返済が苦しいと思ったら延滞をする前に早く金融機関に相談しましょう。
【3】3割弱が住宅ローンを借り換えできることを知らない
「住宅ローンは他の金融機関に借り換えできることを知っていますか」との質問に対し、「知らなかった」人が全体の3割弱(28.6%)もいることがわかった。
【3-1】25~34才では住宅ローンの借り換えができることを知らない人が4割以上!
もっとも若年層である25~34才の住宅ローン利用者のうち4割以上(41.8%)が、借り換えができることを知らないと答えており、他年齢層より多くなっていることがわかった。
【3-2】住宅ローン返済に困っていない人ほど、借り換えできることを知っている
先述の質問「コロナの影響で住宅ローンの返済が苦しくなったと感じますか?」で、「とても苦しくなった」人のうちの35.2%、「やや苦しくなった」人の37.8%が、住宅ローンを他の金融機関に借り換えできることを知らなかったと答えている。
一方で「苦しくなったと感じていない」人のうち、借り換えできることを知らなかったのは24.1%と比較的少ないようだ。
つまり、本来であれば借り換えできることを知っておいた方がよいはずの住宅ローンに困っている人ほど、知らない人が多いという逆相関が起きている。
<草野氏の見解>
昨今の低金利で「住宅ローンを借り換えると返済がラクになる」ということを知っている人もだいぶ増えてきて、実際に借換えを行って返済額を下げ、住宅ローン返済の負担を軽くした人も少なくありません。
ただ、借り換えができるという知識のない人は、住宅ローンの負担に苦しみながら住宅ローンを返済し続け、さらに生活が苦しくなるという悪循環に陥っている可能性があります。一般的に住宅ローンを借り換えて返済総額が下がる条件は「残高1000万円以上、残期間10年以上、借り換え前後の金利差1.0%以上」なので、この条件に該当する人は借換えの検討をお勧めします。
【4】今後の住宅ローン返済に6割超が不安!
「今後の住宅ローン返済に不安を感じますか?」との質問に対し、「とても不安」が9.7%、「やや不安」が51.2%と答えており、合わせて6割超(60.9%)の人が不安を感じていることがわかった。
【4-1】今後の住宅ローン返済に「とても不安」な人ほど借り換えできることを知らない
住宅ローン返済への不安感と借り換えの知識の有無を検証したところ、「やや不安」の26.4%、「まったく不安はない」の27.6%が借り換えできることを知らなかったのに対して、「とても不安」と答えた人の44.2%が知らなかった。
先述の「住宅ローン返済に困っていない人ほど、借り換えできることを知っている」でも明らかなように、住宅ローンの返済においては、他金融機関への借り換えなど、さまざまな対処法があることを知っておくことが不安感の解消につながるはずだ。
<草野氏の見解>
今回の調査では、住宅ローンという「大きな買い物」では、いかに知識を持つことが重要か示されています。知識があれば、たくさんある住宅ローンの中から自分に合った商品やより有利な商品を選ぶことができるとともに、返済で苦しくなった時の対処法も分かり、早い時期に対策を打つことも出来ます。
単に住宅会社や不動産会社から言われるがまま住宅ローンを選ぶのではなく、金利タイプ(変動、固定、期間固定)や団体信用生命保険、保証料、各種手数料など住宅ローンのことをしっかり勉強して選ぶことが重要と言えるでしょう。
<監修者:家の賢い買い方アドバイザー・草野芳史氏>
家計とマイホーム相談室代表/金城学院大学非常勤講師
保有資格:CFP(r)、住宅ローンアドバイザー、宅地建物取引士、公認ホームインスペクター(NPO法人日本ホームインスペクターズ協会)
<調査概要>
調査対象:現在住宅ローンを利用中の全国の男女304人
調査対象の性別:男性170人、女性134人
調査対象の年齢:25~34才43人、35~44才74人、45~54才103人、55~64才36人、65才以上48人
調査期間:2022年2月9日〜12日
調査方法:インターネットによる選択式回答
出典元:土地活ナビ調べ
構成/こじへい