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地域格差や情報格差も克服し得る「地域通貨」の可能性

2022.03.31

「地域通貨」が注目されている。

日本という国は「島国」だが、同時に「火山島」であることを忘れてはならない。山脈が背骨のように走っている細長い島だ。その島の中では「山を越えたら文化圏が異なる」ということも珍しくない。

そこへ現代の最先端テクノロジーがやって来た。地域性とテクノロジーの融合。そのひとつが地域通貨である。

パンデミック前の地域通貨の「役割」

岐阜県高山市・飛騨市・白川村の地域通貨『さるぼぼコイン』は、この分野のスター選手である。

さるぼぼコインを発行するのは地元の金融機関・飛騨信用組合。パンデミック前は外国人観光客からもたらされた利益を飛騨高山地方だけで循環させることが期待されていた。

2018年のさるぼぼコインとAlipayの機能連携は、フィンテック分野のジャーナリストを大いに驚かせた。

当時のAlipayは、日本でも「中国人爆買いの象徴」のように扱われていた。

恐るべき額のカネを観光地や小売店に落とす中国人観光客は、現金ではなく銀聯カードかAlipayを利用する。

つまり、日本の観光産業もこのどちらか或いは両方に対応すれば、「爆売れ」が見込めるということだ。

さるぼぼコインとAlipayのQRコード互換は、飛騨高山地方がインバウンド対応に120%の本気を見せた証でもあった。

が、2020年からはその流れが大きく変わった。新型コロナウイルスは世界中の観光地を閑散とさせるほどの拡散力と危険性を持っていた。

日本を訪れる中国人観光客も見かけなくなり、この記事を書いている今も北京の習近平指導部はゼロコロナ政策に基づく都市封鎖を継続している。

インバウンドが見込めない今、地域通貨は無用の長物になったのか?

そうではない。無用の長物どころか、実際はパンデミックをきっかけに「地域に欠かせない生活インフラ」となっているのだ。

自治体独自の還元キャンペーン

飛騨市では現在、「子育て世帯応援キャンペーン」を実施している。

これは子育て世帯への臨時特別給付金の対象者に向けた企画で、さるぼぼコインに残高をチャージすると15%分のポイントが付与されるという内容だ。

チャージ上限は5万円で、最大7500円分のポイントが追加される。その上で、飛騨市内の加盟店でさるぼぼコインを利用すると、抽選で追加のポイントが発生する。

つまり飛騨市では全国展開の決済銘柄でなく、さるぼぼコインを利用したほうが得をするという状況を作り出しているのだ。

なお、さるぼぼコインで市県民税や固定資産税、国民健康保険料などを決済することもできる。す、すごい!

メガバンクよりも「我が町の金融機関」

これは大都市圏の外のある地域では「メガバンクよりも地元の金融機関のほうが絶大な信頼を得ている」ということもある。

飛騨信用組合に限らず、日本各地にある地方銀行や信用金庫、信用組合は「ウチの金庫」である。

筆者がかつて見たのは、取材先の地方中小企業の社長が地銀の本店を訪れて「彼は澤田くんというライターなんだけど、これからこの町の撮影に回るんだって。悪いけど、彼の荷物をしばらく預かってやってくれないかな?」と行員に頼んだ光景だ。

まさに隣近所か親戚付き合いのような頼み事を、地銀にしているのである。

地方の金融機関のネットワークを甘く見てはいけない。地元企業の社長から一労働者に至るまで、「爺さん婆さんの代からこの銀行を利用している」ということもよくあるのだ。

そこへ新型コロナウイルスというものが現れて、上京していた息子や娘たちが帰郷するようになった。

対等な目線からの技術革新

テレワークの確立により、東京本社に在籍しながら実家で仕事をすることができるようになった。

こういう話になると、筆者がよく例に出すのは矢口高雄先生の漫画作品『おらが村』である。

この作品の舞台は1970年代の東北の農村。コメの品種改良のおかげで昔のような飢饉は発生しなくなったが、代わりに国が減反政策を実行したため村は決して豊かな地域ではない。

故に、農閑期になると若者は東京へ出稼ぎに行ってしまう。

そのような村に嫁ぎに行こうという女性はおらず、火事が起きても消防団の担い手がいない。即ち、村の運営に必要不可欠な20代から40代あたりの人手がポッカリ欠けているのだ。

しかし今では「オンライン環境があれば、実家にいながら東京本社の仕事ができる」ということが明らかになった。

そして東京から帰郷した子供たちは、「キャッシュレス決済で買い物をする」ということにすっかり慣れている。

最先端テクノロジーの扱い方を身につけた子供たちと、それをまだ知らない両親や祖父母たち、そしてパンデミックからの経済復興を目指す地域を結ぶのは、他でもない「地域通貨」である。

パンデミック以後の地域通貨に与えられた役割は「対等な目線からの技術革新」ではないか。

最先端テクノロジーを扱える人とそうでない人を区別し、後者に対して革新を強要するのは「上から目線の行動」である。

それで情報格差が解消されるかといえば、絶対にそうはならない。強要に反発する人が必ず現れるからだ。

我が国独自のデジタル決済手段「地域通貨」は、地域格差や情報格差をも克服し得る可能性を秘めている。

【参考】

さるぼぼコイン-飛騨信用組合

飛騨市子育て世帯応援キャンペーン-飛騨市

取材・文/澤田真一

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