OPELはジャンルを問わず様々なコンペティションに挑戦し、世界中の人々を魅了してきた。ここではその主たるものの足跡を振り返ってみたい。
〝ハコ〟のレースにおけるオペルの活躍
レースは走る実験室、という言葉があるように、自動車メーカーがコンペティションに参加する理由はそこに集約されている。持てる技術を注ぎ込んだマシンが、過酷な状況下でどのような振る舞いを見せるのか。そこで得たフィードバックを市販車製造に生かしてより良いものを生み出そうという、技術者たちのあくなき探究心の表われとも言えるだろう。
この点で言えば、オペルは身近な市販車をベースとしたラリーやツーリングカーレースに積極的に関わってきた。真っ先に思い出されるのは70〜80年代のラリーシーンで『KADETT GT/E』や『ASCONA/MANTA 400』を投入して覇を競っていたことだろう。ワルター・ロールやヘンリ・トイボネン、ラウノ・アールトネンといった腕利きドライバーを擁し、中でもロールは1973年のヨーロッパ・ラリー選手権でオペルにチャンピオンの称号をもたらし、82年には『ASCONA 400』で世界ラリー選手権のドライバーズタイトルを獲得するなど、鮮烈な印象を残している。
また、一方のサーキットでは『KADETT』や『OMEGA』などで各地のツーリングカーレースに参戦。94年から『CALIBRA』で本格参戦を果たしたドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)では、事前の入念なマシン開発が功を奏して早い段階から入賞を重ね、96年にシリーズタイトルを勝ち取ることに成功した。DTMマシンは中身が別ものとはいうものの、エアロダイナミクスの重要性は市販モデルに通じるものがあり、またレーシングエンジンもベースとなる「ECOTEC V6」の素性の良さがあってこそ、パフォーマンスが存分に引き出せるはずだ。
そんなオペルの活躍に魅せられたファンも多く〝世界で最も偉大な草レース〟の異名を持つニュルブルクリンク24時間耐久レースには、地元のプライベーターが『MANTA』をベースとしたレーシングカーで30年近くにわたって参戦し続けている。〝FOXTAIL〟の愛称で知られるこのマシンは、本来なら参戦は不可能だったが特例措置が与えられ、2015年にクラス優勝を果たすなど、想像以上のパフォーマンスを披露して人気を博している。
世界初のEVワンメイク。ラリーシリーズが始まる
DTMでの『CALIBRA』の活躍以降は目立った成績は残せていないものの、つい最近になってオペル・モータースポーツ史の1ページ飾るモデルが登場したことも付け加えておきたい。それが『CORSA-E Rally』で最新型『CORSA』のEVモデルをベースにレーシングトリムを施したマシンだ。
このワンメイクラリーシリーズは2020年に開幕し、新時代のオペルと新たなコンペティションの道を切り拓き始めている。
それまで活躍を続けていた『ASCONA』に代わって、WRCホモロゲーションを取得した『MANTA 400』。特にターマックではそのバランスの良さが光った。
最新モデルがひしめくニュルブルクリンク24時間レースで実力を発揮する『MANTA FOXTAIL』。メカニカルコンポーネンツは現代のものに置き換えられている。
OPEL Racing Gallery
OPELは1900年代初頭から公道レースに打ち込み、ラリーやサーキットなど様々なカテゴリーでコンペティションに挑戦しクルマの性能を磨き続けてきた。マシンやドライバーにも恵まれた時代にはチャンピオンの座を獲得し、その名を歴史に刻んだ。そんなOPELのレース史における新たな取り組みがEVモデル『CORSA-E』で実施するワンメイクラリーシリーズだ。このラリーは2020年にスタートし2022年も『ADAC Opel e-Rally Cup』として全6戦が開催される予定。EVの可能性を探るこのレースの動向にも注目していきたい。
取材・文/桐畑恒治
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- 注目のクリエイターが語るNEW OPELの魅力
- アンバサダーを務めるリバプールFC監督・ユルゲン・クロップ氏とOPEL
PART 4 ドイツから特報!元気なOPEL
- 「MOKKA」「CORSA-e」「GRANDLAND」現地試乗レポート詳報
- オペルCEO Uwe Hochgeschurtz氏インタビュー
PART 5 Republish of Historic car impression
革新的な挑戦を続けてきた自動車ブランドOPELの歴史
- 老舗自動車専門誌の編集者が語るOPELの魅力
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- 「CORSA」「ASTRA/KADETT」「VECTRA」「OMEGA」「SPEEDSTER」「GT」「MANTA」「CALIBRA」「ZAFIRA」
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