小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

オフィスのDXはどこまで進む?WeWork Japanが実証実験を進めるAIロボット「temi」の活用法

2022.03.23

今、オフィスのDXはどこまで進んでいるのか? フレキシブルオフィスを全国に展開するWeWork JapanとJR東日本情報システムが共同で、AI機能を持つ移動型ロボット「temi」の実証実験を行っている。どんなロボが何をしているのか? WeWorkに見に行ってきた。

WeWork内でオフィスロボの実験中。

WeWork発のオープンイノベーション型プロジェクト

AIアシスタント機能を持った移動型パーソナルロボット「temi」(テミ)の実証実験が行われているのは、東京新宿駅近くのWeWorkリンクスクエア新宿拠点。

temiはRobotemi社(米)が開発したAIアシスタント機能付きのロボットで、自律的に移動することができる。もちろん遠隔操作が可能だ。

検証を行っているのは、JR東日本情報システム(以下JEIS)だ。JEISのテクノロジー応用研究センターでは、IoT、AI等を活用した応用研究をJR東日本グループに幅広く適用することを目指して取り組んでおり、約1年前からtemiを使った オフィス DXの可能性を研究している。担当の山田康弘さん(JEIS)は、「将来的には駅や駅ビルをはじめとした施設での利用など、新しいビジネスにつなげたい」としてオフィス内の検証を進めてきた。

WeWorkを実証実験の場に選んだのは、JEIS自身がWeWorkリンクスクエア新宿拠点にサテライトオフィスを置くメンバーであることに由来する。「さまざまな事業、職種の人が行き来するオフィスは多様性に満ちており、実験のフィールドとして最適」(山田さん)と判断した。

さらに、同じくWeWorkのメンバーであるソフト開発スタートアップ2社が、temiのソフト開発を担当している。加えてWeWork Japanの各拠点の運営を行うコミュニティチームも企画段階から参画。WeWork リンクスクエア新宿拠点を実証実験のフィールドとして提供した。つまり、これはWeWorkリンクスクエア新宿拠点発のプロジェクトといえる。

実証実験を率いるJR東日本情報システム・テクノロジー応用研究センター次長の山田康弘さん。

コミュニティチームの一員としてのロボット

実証実験の内容は主に次の3つ。

(1)WeWorkコミュニティチームのサポートをする案内ロボット機能。
(2)快適なワークスペースを提供するための環境可視化機能。
(3)電話ブースエリアの利用状況の可視化。

●案内ロボット機能

オフィス内の機能案内。

オフィスのフロアマップ、設備案内、メンバーのコミュニティイベント情報など。メンバーたちの過去の事業事例も画面上で見られる。メンバー自身はもちろん、フロアや設備内容に不慣れなゲストに特に有効だ。

WeWorkはメンバーたちが快適に仕事するためのサポートを行う専任のコミュニティチームを置いていることが大きな特徴だが、「スタッフが口頭でご案内していたことをtemiが代わって案内できるかどうか」を実験中だ。スタッフの仕事の効率化の側面が強いが、コロナ禍以降、対面で話さなくてもいい機能が求められるという背景もある。

「temiを連れて行く」という指示もできる。その場合は下の画像のようになる。

temiと歩く山田さん。temiは人型ではないが、人の動きに反応して動く姿は愛らしい)

上部にアタッチメントをつければ飲み物やお菓子が運べる仕様。もっとも、デリバリー機能を実験しているわけではない。

●オフィス内のCO2や温度湿度を測定

WeWorkには数多くのブースが配置されている。自律的に移動できるtemiが、オフィス内をパトロールし、各地点のCO2、温度湿度の測定を行う。通常これらの測定はビルの管理会社の業務テリトリーに入るだろうが、その場合、各フロアの数値はわかっても各ブースの測定は行われない。特にCO2濃度の可視化は、換気が必要なこの時代、とても役に立つ。

●電話ブースの利用状況可視化

電話ブースの利用状況を確認中のtemi。

WeWorkには複数の電話ブースが設置されているが、満室のこともある。そこでtemiがブース前を巡回して、ブースの利用状況を読み取って来る。このデータが可視化され、メンバーがリアルタイムでわかるようになれば、オフィスはより使いやすくなるだろう。

オフィス実験の場としてフレキシブルオフィスの可能性

WeWork Japanにとって、今回の実証実験はどんなメリットがあるのか。といえば、まさに入居しているメンバー企業がマッチングしたプロジェクトの好事例となる。

「我々にとって、入居メンバーの事業成長を支援することは重要なミッションだ。オープンイノベーションを期待して入居するメンバーが多く、コミュニティ内でのメンバー企業のマッチングはもっとも重要視していることのひとつ」(WeWork Japan広報)と話す。

しかも上述した実証実験の内容にはWeWork Japan自身が関わっている。フレキシブルオフィス企業だからわかるオフィスDXのニーズの提案、課題の洗い出しなどに、その意見は大いに奏功したことだろう。

日本のオフィスのDXは「まだまだの段階」とJEISの山田さんは言う。仕事の効率化はもちろんだが、働く人が働きやすい環境づくりにDXは欠かせない。オフィスのDXの可能性を探り、いち早く導入していくことも、常にアップーデートが求められるオフィス事業には必要なことだろう。多様な職種、業種が集まるフレキシブルオフィスでのアシスタントロボ実験。ここで得られたデータが、日本の駅ナカにどのように活用されるのか、楽しみだ。

実証実験はWeWorkリンクスクエア新宿拠点で3月末まで行われる。

取材・文/佐藤恵菜


@DIME公式通販人気ランキング


@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2023年11月16日(木) 発売

DIME最新号の大特集は「ポイント大再編時代の賢い稼ぎ方」「シン・家電ブランド大図鑑」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。