一見すると、デジタルコンテンツとは“無縁”に見える高級ブランドメーカーが、NFT事業に参入し始めた。
GUCCIやルイ・ヴィトンなど世界的に有名なブランドが、ビジネスチャンスをつかもうと、躍起になっている。背景には、メタバース(仮想空間)での、デジタル・ファッション・コンテンツとしての利用がありそうだ。どのような取り組みがあるのか。またその狙いはなにか。本記事で紹介する。
NFT参入を発表している高級ブランド
・GUCCI
・FENDI
・ドルチェ&ガッバーナ
・ルイ・ヴィトン
・バーバリー
・ジミーチュウ
GUCCIでの取り組み例:メタバースコンテンツとのコラボレーション
引用元:SUPERPLASTIC公式YouTubeチャンネル
SUPERPLASTICはオリジナルキャラクターコンテンツを手掛ける企業
引用元:Kickstarter
SUPERPLASTICとは2018年にアメリカで創業したエンターテイメント企業で、オリジナルキャラクターを使ったフィギュアなどを手掛けている。これらのキャラクターデータをデジタル化したNFTにも進出している。
このキャラクターデータのデザインにGUCCIのデザインを使うコラボレーションを発表している。
各ブランドメーカーでのNFTの取り組み例
① GUCCI
引用元:https://onlineonly.christies.com/s/proof-sovereignty-curated-nft-sale-lady-pheonix/gucci-est-1921-6/121268
2021年5月、はじめてNFT作品を発表した(上掲)。以降、NFTへの取り組みを続々と発表している。2022年2月10日には、The Sandboxというメタバース上で様々な構造物を作れるNFTゲームの土地を購入したと発表(GUCCI公式Twitter)。ファッション業界が、メタバース×NFTでどのようなビジネスモデルを展開するか、試金石となりそうだ。
② FENDI
Powering the Web3 revolution with @Ledger. Discover the #FendiXLedger collection, unveiled on the #FendiFW22 men’s runway. pic.twitter.com/BfvZGQvROs
— Fendi (@Fendi) January 15, 2022
引用元:Fendi公式アカウント/Twitter
イタリアの高級ブランドのFENDIは、2022年1月16日に、仮想通貨ウォレットのLedger社とコラボすると発表した。Ledger社が手掛けるハードウェアウォレットを組み込んだミニバッグ(上掲図)。仮想通貨や、仮想通貨と同じように扱うNFTを持つ富裕層向けに、より安全にかつおしゃれなウォレットを提供し、新たな需要を獲得しようとしている。
③ Puma
高級ファッションとまではいかないが、スポーツ用品を手掛ける大手Pumaは、2022年1月、NFTやメタバースに関する人材の求人を公開した。同時期には、メタバース空間で使うスポーツ用品などの商標登録を申請している。メタバース内でのアバターにPumaブランドのファッションが使える日が近いのかもしれない。
メタバース上での商品提案やNFTの流通はファッション業界にとって好都合
ネット通販で服を購入したとき、届いてみたらサイズが合わなかった。イメージと違っていた。などの失敗経験はないだろうか。
通販サイト内のモデルの試着画像があるとはいえ、自分で試着してみないと、このような失敗はどうしてもつきものだ。
この失敗リスクをできるだけ下げるのに、メタバース上での提案が有効になる。また、購入した服をメタバース上でNFTとしてアバターに着せたり、他人に売ったりといったことも可能になる。
前提として、メタバース上のアバターは、自分の体形に似せたものでないと、試着の失敗リスクは無くせない。リアルの自分に似せたアバターを作れる技術が登場しているものの、メタバース内での普及はまだまだこれから。商機はありそうだ。
また、Bored Ape Yacht ClubというNFTのプロジェクトでは、このNFTを所有している人のみで構成するコミュニティがある。
例えば、高級ブランドのNFTを所有している人のみでのコミュニティを作って、新商品の限定販売など、新たな付加価値を生み出す商機が考えられる。
メタバースのアバターファッションを通じて、現実世界での売り上げ増加につなげたいということだろう。
取材・文/久我吉史
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