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香川真司が加入したSTVVのマーケティングアドバイザーが考えるチャレンジングなスポーツビジネス論

2022.03.20

西村誠司が考えるスポーツビジネスの可能性

STVVと大胆なパートナーシップ契約に踏み切った西村社長(写真提供=エクスコムグローバル社)

香川加入で注目度アップのSTVVに力強い援軍現る!

 今年1月、日本代表元エースナンバー10の香川真司が加入したことで大きな話題となったベルギー1部のシントトロイデン(STVV)。これまで日本代表の遠藤航(シュツットガルト)、冨安健洋(アーセナル)らをステップアップさせた同クラブは「欧州における日本人選手の登竜門」として重要な役割を担っている。現在も東京五輪代表の林大地、橋岡大樹らが在籍しており、「第2・第3の遠藤航や冨安」が出現する可能性も少なからずある。

そんなSTVVの経営に今月、力強い援軍が加わった。タレントのイモトアヤコにちなんだ通信サービス「イモトのWiFi」、PCR検査事業で知られる「にしたんクリニック」の運営で成功を収めたエクスコムグローバル社の西村誠司社長が、クラブ初のマーケティングアドバイザーに就任したのである。

「私は昨年6月までの11年間アメリカのサンディエゴに居を構えて、グローバルビジネスマンとしての経験値や目線に磨きをかけていたのですが、世界に打って出る若者を応援したいという思いが日に日に強まっていました。そんな時、DMMグループの亀山敬司会長とお目にかかる機会があり、DMMは『日本のサッカーを強くするためのプロジェクト』としてサッカークラブを経営されていると聞き、胸が高鳴りました。

全ての物事に前向きな西村社長(写真提供=エクスコムグローバル社)

さらにベルギーから帰国した立石敬之CEOともお会いしてクラブのビジョンを伺い、彼らの情熱に心を打たれた。日本の若い人が世界に羽ばたくのをお手伝いしようと決心したんです」と西村社長はSTVVとのパートナーシップの背景を語る。

複数年で10億円単位のスポンサー契約。渋谷にリアル出店も計画!

今回、同社がSTVVとの間で締結した内容は、複数年で10億円単位のスポンサー契約。2021年時点で年間運営規模20億円程度のクラブにとっては破格の内容と言っていい。さらに、都内でのリアル店舗出店やメディアを活用したクラブ応援コンテンツ制作といったマーケティング施策も進めていくというから驚きだ。

「今年は1112月にカタールW杯があるので、その前の秋頃までに渋谷に飲食のできる店舗を出すことを考えています。欧州では仕事帰りに人々が集まってビールを飲みながらサッカー談議に花を咲かせるような場所があちこちにありますよね。そういう社交場ができれば、STVVの認知度も高まりますし、イメージアップにもつながる。やはり人が集まれる場所を作ることが一番なんです。

また、エクスコムグローバル社としても過去にメディアを使った大規模施策を手掛けていて、知見もある。『イモトのWiFi』も『にしたんクリニック』もそうでしたが、やはり重要なのはSTVVの存在をどれだけ多くの人に知ってもらえるかが肝心。今は欧州サッカーを地上波で気軽に見られない環境にあるだけに、メディア戦略についても絶賛画策中です」と西村社長は目を輝かせる。

香川から直々に贈られたユニフォームとスパイク。これもリアル店舗で見られるかもしれない(写真提供=STVV)

彼らにとってはまさに大胆な投資に他ならない。が、日本サッカーがキラーコンテンツだった時代は過去のものという見方をされることも少なくない。実際、日本代表も昨年9月から始まった2022年カタールワールドカップ(W杯)アジア最終予選で大苦戦。序盤3戦で2敗という予期せぬスタートを強いられた。その後、必死に巻き返して今月24日のオーストラリア戦(シドニー)に勝てば7大会連続出場権獲得というところまで浮上したが、「W杯ベスト8」という大目標はまだ遠いという印象を抱かざるを得ない。

若者たちの未来のために、日本サッカーとSTVVを全力で応援!

西村社長が直々に関わることになるSTVVにしても、202122シーズンは30試合終了時点でリーグ11位。レギュラーシーズンは残り4試合で、58位が進出できるUEFAヨーロッパコンフェレンスリーグ進出をかけたプレーオフ参戦はかなり微妙な情勢だ。香川加入の追い風もあって2月以降は無敗で来ているものの、UEFAチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグ出場への道は険しいと見られ、巨額投資の回収はかなり先になりそうだ。

「近年はスポーツビジネスに参入するIT企業や新興企業が目立ちますけど、私にとっては社会奉仕やスポーツ振興、若者たちの未来への投資が最優先。マネタイズは後から考えればいいんです。サラリーマン的な感覚を超えた壮大なトライをしたいですし、それだけの価値がスポーツやサッカー、STVVにはあると確信しています。亀山さんと立石さんと一緒に夢を追いたいからできる限りのことをしたい。そういう心意気でやっています」

笑顔を見せる西村社長の経営センスは規格外と言っていい。それだけの修羅場を潜り抜けてきたからこそ、壮大なスケールのマネージメント術を身に着けたのだ。

苦労を重ねた結果、辿り着いた矜持は「現状維持は後退を意味する」

1970年に名古屋市で生まれた彼は、父の病などで過酷な幼少期を送った。貧しい暮らしを強いられ、新聞配達に始まり、葬儀会社でのアルバイトもしたことがあるそうだ。苦学の末に名古屋市立大学を卒業。93年にアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社したが、わずか2年後に現会社の起業に踏み切る。ボイスメール事業を皮切りに、海外用携帯電話サービス事業などを手掛けたが、最初の5年間は低迷。それでもへこたれることはなく、「面白いと思ったことはどんどんやってみよう」と前向きなマインドを持ち続けたという。

浮上のきっかけをつかんだのは2012年。ブロードバンド急拡大に目を付け、レンタルWiFi事業に参入。知名度を上げるため、個性派タレント・イモトアヤコを起用。そのままブランド名にすることで勝負をかけ、飛躍的な収入増に成功する。

2020年のコロナ禍で海外旅行需要がほぼゼロとなり、年間利用者100万人を突破していたレンタルWiFi事業が窮地に陥ると、今度は「コロナの逆風を逆手に取れる事業はないか」と模索し、PCR検査に着眼。8月には新事業を動かし、売上177億、営業利益98億円と業績をV字回復させた。

チャレンジャーのメンタリティは成功に不可欠!

「私はチャレンジャーのメンタリティを持った人物に憧れを抱きます。サッカー界でいえばカズ(三浦知良=JFL鈴鹿)さんですね。まだ日本がW杯に出たこともなかった1980年代にブラジルに渡ってプロになるなんて、他に考える人はいなかったと思います。

プロ野球でいえば野茂英雄(NOMOベースボールクラブ代表理事)さん。自分もその姿に刺激を受け、2010年にアメリカ移住に踏み出したほどです。別の選手で日本の球団から高年俸を提示されてアメリカ挑戦を断念した例がありましたけど、夢よりカネを選ぶ人生はつまらないし、好きじゃない。幕末の維新の人々のように命がけで信じたものに突き進んでいく精神に感じるものがあるんです。

 自分も数々の失敗を繰り返してきましたけど、現状維持はマイナスを意味する。積極果敢に挑戦してこそ未来は開ける。そのことを今回のSTVVとのパートナーシップによって示していきたいですね」

西村社長も香川の完全復活を心から祈っている(写真提供=STVV)

時を同じくして、香川真司が欧州でのキャリア再構築に踏み出した。ちょうど10年前にボルシア・ドルトムントで大いなる成功を収め、世界的名将であるアレックス・ファーガソン監督に直々にオファーを受け、マンチェスター・ユナイテッド入りした日本最大のスターも、ここ数年間はケガや所属先の起用法にフィットできず、不完全燃焼の日々を余儀なくされていた。そんな元日本代表10番の再起にも西村社長は期待する。

「香川選手が復活し、STVVが強くなれば、私にとっては理想的なシナリオです。34日のKVメへレン戦で後半45分間プレーする姿を見て感動したファン・サポーターは本当に多かったでしょう。彼が再び輝くことを願っている人々は少なくない。アメリカ・メジャーリーグで大活躍している大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)や日本ハムの新庄剛志監督もそうですが、スポーツ界のスーパースターを増やしていくことで、スポーツビジネスの可能性ももっと広がる。そうなるように私自身も頑張っていきたいと思います」

 即断即決の敏腕社長の存在が日本サッカー界とSTVVの飛躍の原動力になってくれれば、未来は明るい。まずは今秋に本格スタートする予定の都内リアル店舗とメディア戦略の行方に注目したいものである。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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