テレワークとオフィス勤務を使い分ける「ハイブリッドワーク」が、着実に浸透しています。どこで働いても成果を出し続けるには、環境に依存せず集中して作業を行なわないといけません。
私が経営するクロスリバーでは、全社員39名が週休3日の勤務を実践しながら、ビジネスを成長させることができています。短い時間で成果を残すために実践している、集中力を高める3つのアクションについて紹介しましょう。
【アクション1】オンオフを45分で切り替える
生産性の向上には、ある程度のすき間(バッファー)を作ることが必要です。心のゆとりを持ったほうが、夕方まで高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。私も実践していますが、ゾーンに入るほどの集中時間を短期に設けて小まめに休んだほうが疲れにくく、パフォーマンスが高まるのです。
もちろん個人によって、どれくらいの時間が集中しやすいのかは異なります。クロスリバーのクライアント企業の8社、計4513人に行なった行動実験では、25~45分の間隔で作業をすると集中しやすいことがわかりました。
例えば、請求書の処理や議事録の作成など、同じ作業を4つのグループに分かれて実施したところ、1時間半にわたって同じ作業を続けるよりも、45分に1回ほど休憩を入れたほうが処理のミスが少なく、短時間で作業がすみました。じつは社内会議にも同じことが言えます。会議時間を45分にしたほうが活発に意見が出て、次のアクションが決まりやすくなるのです。私は45分が集中できる時間なので、45分作業+休憩5分のサイクルを繰り返すようにしています。
このように、脳の特性を理解するとオンとオフの切り替えがしやすくなり、テレワークでついつい長時間労働になってしまうことを防げるのです。
【アクション2】〝締め切り効果〟を活用する
PCに向かって作業を開始してしまうと、アッという間に時間は過ぎてしまいます。次の作業に移らないといけないのに、今、着手している作業を延長させてしまいがちです。そうならないよう、作業時間をきっちりと区切るためには、締め切りの時間を意識することで集中力を高める「ポモドーロ・テクニック」を活用してみてください。「25分で作業を終わらせる!」という締め切りを設定し、時間的なプレッシャーを自らに課すことで、作業効率が驚くほど高まります。
これは〝締め切り効果〟と呼ばれ、終わらせないといけない時間を意識すると脳が活発に動き、時間どおりに作業を完了できる確率が上がります。仕事をだらだらと続けることも避けられるのです。
特に周囲の目を気にせずにすみ、集中力を欠きやすいテレワークでは〝締め切り効果〟が抜群です。オンオフの切り替えが難しい自宅作業時にキッチンタイマーを用意し、締め切りを意識しましょう。
クロスリバーのクライアント企業26社では、社内会議を時間どおりに終わらせるため、各会議室にキッチンタイマーを設置。終了の10分前に音が鳴るように設定したところ、時間どおりに会議が終わる確率が1.3倍に。会議参加者の満足度も20%ほど上がりました。
【アクション3】ヘッドホンで〝ゾーン〟に入る
集中力を高めるためには、精神をリラックスさせることも必要です。「適度な湿度を保つ」「観葉植物を設置する」「アロマを焚く」といったことに配慮して心地いい環境を整えるのもいいでしょう。特に周囲の音を遮断するノイズキャンセリング機能対応のモデルは集中力を高めるのに効果的です。
テレワークの際は、集中力をそぐような近隣の騒音や家族の話し声を無意識に聞き続けることで、脳が疲れてしまうことがあります。昼間の騒音は夜寝る時にも悪影響を与えるそうです。そうならないためにも、ノイズキャンセリング機能を活用し、脳を疲れさせないようにしましょう。
ノイズキャンセリング機能対応のモデルは、騒音を遮断し、曲を聴きながらリラックスして作業できるだけではありません。音楽を流さずに無音状態を保つことで、左脳の働きがよくなり、仕事をバリバリとこなせます。マイク付きの機種であれば、そのままオンライン会議に参加し、発言を確実に聞き取ることもできるのです。
ぜひ試してみてください。
求人情報サイト「Biz Hits Work」を運営するビズヒッツ社が行なった調査では、「仕事効率アップのために工夫していること」として、スケジュールや時間管理に関する回答が上位に。今回紹介した3つのアクションを実践し、さらなる効率化を図りたい。
越川慎司/全員がリモートワーク・複業・週休3日を実践するクロスリバーの代表。約800名のほぼ全員がリモートワークのキャスター社における事業責任者も務める。自著16冊・累計40万部。『最速で結果を出す資料の作り方』(DIMEデジタル新書)好評発売中。