
老後に受け取る年金を自分で作る公的制度「iDeCo」が2022年春に改正される。そこで、現役時代から〝節税メリット〟を享受できるこの制度の活用術をまとめた。始めたら確実に儲かる、というものではない。だが、知らなければ確実に損をする──そんな「老後資金の増やし方」について今こそ考えたい。
ビジネスパーソンも自営業も「節税でお得」になる制度
年金が2022年度も減らされることが決まった。1月21日に厚生労働省は、公的年金の支給額を前年度比0.4%減とすると発表、2年連続の減額となった。一方で、同省が毎年発表する日本人の平均寿命は男女ともに過去最高を更新。現役世代の「長生きするほどお金が足りなくなってしまうのでは?」という不安に拍車をかけている。
その不安が〝不満〟となって爆発したのが、2019年の「老後資金2000万円」問題だろう。この数字は金融庁が算出したものだが、「2000万円」という金額だけが独り歩きしてしまい、その意図は国民にうまく伝わらなかった。金融庁としては、「老後の生活を少しでも充実させるために、NISAやiDeCoなどの制度を活用してほしい」と啓発したかったはずが、不安を煽りすぎてしまったわけだ。
だがこのほど、「iDeCo」が制度改正を迎えることから注目を集めている。22年5月から投資可能期間が「65歳になるまで」と現行より5年間延長されるのだが、これは言い換えれば「住民税や所得税を減額できるチャンスが5年間延びる」ということだ。
一方で、iDeCoはあくまで「投資信託などの投資商品を買った分だけ税負担を軽減する」という制度。株を買うわけだから元本割れするリスクもある。そのため、リスクを最小限に抑えるための「銘柄の組み合わせ」も考える必要がある。投資商品の分析を行なう、モーニングスター総合企画部次長の武石謙作さんに話を聞いた。
「投資の超初心者でも安心してiDeCo投資ができるような商品や、定年退職などある特定の年齢をターゲットにした商品が揃っています」
投資が苦手な人でも自分年金作りを後押ししてくれるiDeCoを検討しない手はない。
非課税投資「iDeCo」・「つみたてNISA」と「公的年金」の違いとは?
iDeCoは公的年金を補完する役割がある一方、つみたてNISAのように途中で受け取れないなどの違いがある。またiDeCoはサラリーマンや自営業など働き方によって加入可否や投資上限が異なる。公的年金は10年以上の資格期間(保険料を支払った期間や免除期間を合算した期間)が無いと受け取れない。
iDeCoに投資すべきはこんな人
■ 投資経験があまりないビジネスパーソンや自営業者
「分散投資」など投資の際によくいわれる基礎知識に詳しくない人でも選べる商品が揃っており、投資入門に最適。
■ 月数千円~3万円くらいなら投資できる人
iDeCoは最低月額5000円から始められ、節税効果となって表われる。生活費を少しでも節約できるならiDeCo投資に回したい。
取材・文/久我吉史