
住宅ローンにおいて借入当初から10年間金利が変わらない10年固定金利。その10年固定の住宅ローン金利が2022年2月及び3月に上昇したことが話題を呼んだ。
MFSが運営するオンライン住宅ローン比較サービス「モゲチェック」ではこのほど、10年固定の住宅ローンにおいて、11年目以降の金利がいくらなのかを調査した。
1.固定金利特約型(固定金利選択型)の住宅ローンとは?
固定金利特約型(固定金利選択型)の住宅ローンとは、一定期間は固定金利でその後変動金利に切り替わる住宅ローンだ。代表的なものは10年固定金利であり、この2月と3月に金利上昇したことで注目を集めた。なお、住宅金融支援機構の調査※では、固定金利特約型のシェアは2割程度とのことだ。
※住宅ローン利用者調査(2021年10月調査)
2.11年目以降の金利は意外と高い
10年固定金利だが、当初10年間の固定金利は表示されているものの、11年目以降の変動金利は「基準金利から◯%引き下げ」と記載されることが多く、実際にいくらなのかが分かりづらい問題がある。
この度、主要なメガバンクとネット銀行の11行を対象に10年固定金利の商品※を調査した。なお、11年目以降の金利は、現時点の変動金利の基準金利から引き下げ幅を差し引くことによって計算している。
メガバンク4行の金利は上記のグラフの通りとなった。4行の最低金利と最高金利を線で示している。当初10年間の固定金利は1%前後で設定されており、その後の変動金利は0.3%台〜1%台と幅広いレンジとなっている。
続いてネット銀行7行だ。下のグラフでは、7行の最低金利と最高金利を線で示している。当初10年は総じてメガバンクよりも安い金利設定がされているが、11年目以降はメガバンクより高いネット銀行もあり、最高で2%超えとなる。
続いて、11年目以降の金利がどの程度なのか、借入初年度から変動金利を借りた場合の金利水準と比較する。なお、当該金利の11行平均は0.45%だ。
上のグラフの通り、同じ変動金利にも関わらず10年固定金利の11年目以降の変動金利が極めて高いことがわかる。当初10年間は低金利で設定しているため、11年目以降の金利を高くすることで収益を確保しているものと考えられる。なお、11年目以降の金利が低い銀行top3は下記の通り。
※メガバンク:三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行の4行。ネット銀行は住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、ソニー銀行、PayPay銀行、新生銀行、イオン銀行、楽天銀行の7行。10年固定については、引き下げ幅が当初10年間は大きく11年目以降は小さくなるプランを選択。
3.固定金利の特約期間が終了するタイミングで必ず見直しを
教育費などの家計負担が予想される家庭では10年固定金利を選択し、10年間は返済額が増えない安心を選ばれることが多いと思われる。しかしながら、11年目以降の金利が跳ね上がるケースが多いため、固定金利の特約期間が終了するタイミングで必ず住宅ローン金利を確認するべきだ。そして、金利が高い場合には他行への借り換えを強くオススメする。
残債3000万円・残り25年・0.45%の住宅ローンに借り換える場合、11年目以降の金利が1%であれば100万円、2%であれば500万円以上お得になる。
住宅ローンは35年間と長期に渡って返済するもの。最適な住宅ローンを選べるよう、適宜の見直しを心がけていただきたい。
出典元:モゲチェック調べ
構成/こじへい