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企業の採用試験で家族のことについて聞かれたらどう対応すべきか

2022.03.16

■連載/あるあるビジネス処方箋

 新卒や中途の採用試験において、受験者(エントリー者)の家族構成を面接やエントリーシートを通じて確認することは通常は好ましいことではない、とされている。

 とはいえ、それを堂々と行う会社は多い。私自身の経験でも、過去に10数社はある。友人・知人から聞く限りでも30社は超える。会社は採用試験でなぜ、家族構成を聞くのか。今回は、その真意をあぶりだしたい。

 厚生労働省は「本人の適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり、面接で尋ねて把握することは、就職差別につながるおそれがある」と指摘している。例えば「本人の適性と能力に関係がない事項」として、同省のホームページで下記を挙げている。

・本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当)

・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当)

・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)

・生活環境・家庭環境などに関すること

 それにも関わらず、家族構成を尋ねる会社は少なくない。同省はホームページで下記を公開している。

厚生労働省ホームページ
「公正な採用選考の基本」から抜粋

 上記によると、応募者(受験者)が「適性・能力以外の事項を把握された」と指摘したうち、「家族に関すること」が46.9%と半数近くになっている。

 なぜ、会社は好ましくないことを執ように繰り返すか。私の取材経験をもとに言えば、その理由は主に2つある。以下のものだ。

・本人の性格や気質を知る判断材料
・入社後、働くうえで起こりうる問題などをあらかじめ把握しておくため

 例えば、人事担当者や役員は離婚をしている人を面接すると、何かを感じる時があるという。私の理解を超えている人たちだが、離婚者に偏見を持つ人事担当者や役員は確かにいる。あるいは、40~50代以上の独身者にも一定の偏見を持つ人もいた。結婚をしていても、子どもがいない人に偏見を持つ人もいる。

 会社によっては離婚や独身であること、子どもがいないことと、本人の適性と能力に何らかの相関関係があると見ている場合はあるのだ。ベンチャー企業や中小企業、役所でもいる。決して、歴史のある大企業だけではない。その意味で、「ベンチャー企業が進歩的」といった捉え方には私は与しない。

 おそらく、会社というよりも、その人が生きてきた環境によるもの、と私は見ている。例えば、私のように16歳で高校を辞めていると、中卒が当たり前で、高校や大学を卒業している人が奇異に見える場合がある。親に学費を払ってもらい、通うところには到底思えないからだ。そして、離婚はごく当たりまえのこととして受け止めているが、そんな人は日本の企業社会では少数派だろう。

 「入社後、働くうえで起こりうる問題をあらかじめ把握しておくため」で言えば、確かに離婚者や独身者、子どもの有無を知っておくと、役員や管理職はその人に合わせた仕事の依頼や部署のメンバーの仕事の割り振りができる。取材では、こう答える人が多い。

しかし、これは理想論であり、建前の域を出ていないように私は思う。実際は、離婚者を見ては偏見のもと、自分の現在の幸福を確かめ、密かに優越感や平穏無事な人生を感じ取る人のほうがはるかに多いように見える。今後も別れとは無縁の人生を送る、と言わんばかりの人もいる。明日は我が身でもある、と悟る人は少ないのではないか。離別はなくとも、死別は間違いなくあるのだが。

 私が小学生~中学生の頃、家庭訪問があった。教師がそれぞれの生徒の家庭を訪ね、親と20分ほど話し合う。教師の狙いの1つには、家庭環境を知っておき、何かがあった時に指導に生かすことがあったのだろう。

 中学生の頃(1970年代後半~80年代前半)は10代の非行が社会問題になり、校内暴力が吹き荒れた。私が通った中学の窓ガラスの3分の1は、非行生徒らが鉄パイプで割ってしまった。その時、大半の教師は恐怖で震えるばかりで、家庭訪問でつかんだものを指導に生かすことはできていなかったように思う。

 当時の教師も現在の会社の人事担当者も勘違いしている面がある。事前に家族構成を把握すると、自らが適切な行動をとれると信じ込んでいるようだ。だが、そんな力や経験、見識、考え、思いを本当に持っているのかどうか、とまずは自問自答すべきだろう。その意味で自信や責任感がないならば家族構成など聞くべきではない、と私は思う。

 離婚であろうと、独身であろうと、子どもがいようといなかろうと、その都度、その人に合わせた指導、育成を心身共にへとへとになるまで取り組まないと、絶対に人は育たない。

 その覚悟があるのかどうか。それこそ、問われるべきだろう。私は、そんな管理職や役員をこの30年で1人も見たことがない。

 読者諸氏は、採用試験で家族構成を尋ねることをどう思うだろう。

文/吉田典史


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