
『自動車重量税』は、自動車の持ち主が支払う税金の一つです。年に一度納める『自動車税(種別割)』とは種類が違うので、混同しないようにしましょう。税額の決め方や、いつどこでどうやって支払うのかなど、自動車重量税に関する情報を紹介します。
自動車重量税とは?
『自動車重量税』は、名前の通り自動車の重量に関する税金のことです。基本情報や税額を決定する方法などを、詳しく見ていきましょう。
自動車を所有している人に課せられる国税
『自動車重量税』は、『自動車検査証(車検証)』を取得する自動車、または車検対象外と指定を受けた軽自動車を所有している人に対して課される国税です。
自動車重量税を納めなければ車検を通すこともできず、その車は公道を走れなくなります。
税額は、さまざまな条件をもとに決定され、徴収された自動車重量税は主に交通インフラや道路整備などにあてられています。
生活や事業をするために自動車を利用する人にとって、必ず納めなくてはならない税金の一つであると覚えておきましょう。
4つの要素から税額が決定
全ての自動車に、同じ額の自動車重量税がかかるわけではありません。『車両重量』『車種』『年数』『環境性能』の四つが、税額を左右するのです。
例えば、車両重量が0.5t以下の『2年自家用(現在乗り続けている継続車検の車)』の乗用車で、新規登録からの年数が13年未満の場合は、年間で『4100円』がかかります。自動車重量税は、基本的に『2年分』をまとめて払うので、一度に払う額は『8200円』です。
普通自動車は、重量が軽いほど税額が安く、重いほど高く設定されています。一方、軽自動車は、重量に関係なく定額『6600円』を納める決まりです。
さらに、普通自動車・軽自動車問わず、新規登録からの年数が『13年以上』『18年以上』経過している場合は、『重課税』される点にも注意が必要です。
また、環境性能でも税額が変わってきます。排出ガスの量が少ないものほど環境に負担を与えにくいので、自動車重量税も軽減される仕組みです。
国土交通省が定めている燃費基準を満たす自動車であれば、維持費は安くなります。
参考:令和3年度税制改正に伴う自動車重量税の税額の基本的な考え方(乗用車の場合) その1
国土交通省が税額の照会サービスを提供
自動車の維持費は、決して小さな額ではありません。自動車重量税がかかる仕組みを知ると、大型で古い自動車に乗っている人ほど不安を感じるはずです。
税金の計算は非常に複雑なので、自分が支払う自動車重量税がいくらなのかを知りたい人は、『国土交通省』が提供している、税額の照会サービスを利用しましょう。
利用可能時間は、『12月29日~1月3日を除く、9~21時』で、検索には『車台番号』と『次回の車検予定日』が必要です。車台番号は、車検証や車の本体に打刻されています。
事前に自動車重量税がいくらなのかを知り、準備できれば安心でしょう。
エコカー減税で自動車重量税を軽減

(出典) photo-ac.com
車種によっては、自動車重量税が大幅に減税される場合があります。自動車にかかる費用を抑えたいなら、エコカー減税を利用しない手はありません。エコカー減税のポイントを見ていきましょう。
エコカー減税とは?
エコカー減税は『環境性能が優れているエコカー』を対象に、税額を下げる制度のことです。適用期間は、当初は2021年4月末まででしたが、『2021年5月1日~2023年4月30日まで』に延長されました。
エコカー減税は、国土交通省が設定している排ガスと燃費基準に適合している自動車の購入や利用が条件です。減税率は、対象となる車種ごとの、燃費基準の達成度合いによって変わります。
例えば、2030年度燃費基準を120%達成した新車を新規登録する場合、購入時と初回の車検時それぞれに必要な自動車重量税が免税される仕組みです。
参考:エコカー減税 (自動車重量税) の概要
参考;令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について|令和2年12月経済産業省
減税対象となる自動車
減税対象となる車種は、電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)・天然ガス自動車・プラグインハイブリッド自動車(PHEV/PHV)・クリーンディーゼル乗用車です。
ハイブリッド車を含むガソリン車・LPガス自動車は、排出ガス性能によって減税率が異なり、60%達成は『25%軽減』、75%達成は『50%軽減』、90%以上は『免税』されます。
環境に優しい自動車を新規に購入したり利用したりすれば、自動車の維持費を抑えられるのです。乗り換えや購入を検討しているなら、環境に優しい自動車を選ぶとよいでしょう。
減税の対象車種は、国土交通省のホームページで確認できます。
自動車重量税を支払うタイミングは?

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自動車重量税は、自動車販売会社や車検業者が手続きをしてから支払うのが一般的です。自動車重量税は、いつどんなタイミングで支払えばよいのか、詳しく紹介します。
新車で自動車を購入したとき
自動車重量税は、新車を購入した際に発生します。『新車登録時に3年分を払い、3年後の車検で2年分を払う』という流れです。
エコカーではない普通自動車の自動車重量税は、重量0.5t以下の場合で『1万2300円』、1tまでは『2万4600円』というように、『0.5tごと』に増えていきます。
一方、エコカーではない軽自動車の場合は一律『9900円』と、普通自動車よりも安くなっています。
普通自動車・軽自動車ともに、エコカー減税の対象であれば、減税率に応じてより少ない金額で済むでしょう。
車検を受けるとき
新車購入時だけでなく、2年に一度の車検時にも自動車重量税を納めなければなりません。1年ごとに税金はかかっていますが、車検時にまとめて手続きをし、2年分をまとめて納付する決まりとなっています。
車検は、自動車を所有している人の義務なので、必ず受ける必要があります。車検の有効期限が過ぎた自動車で公道を走れば『道路交通法違反』となってしまいます。
自動車重量税を納めたくないからといって車検をパスすることはできません。
廃車時は自動車重量税が還付される

(出典) photo-ac.com
払いすぎた税金が戻ってくることを『還付』といいます。不要になった自動車の廃車時に、自動車重量税が還付される可能性があるのです。条件や受け取り方などを詳しく見ていきましょう。
自動車重量税の廃車還付制度を利用可能
『廃車還付制度』は、所有している自動車が不要になって『解体届出』や『永久抹消登録』の手続きをした際に、申請可能な制度です。
2005年1月に施行された『自動車リサイクル法』にもとづいて、不要な自動車が適正に解体された場合に利用できます。
自動車重量税は、前もって2年分を納めるので、車検残存期間の『残月分』の自動車重量税額が車検証上の所有者に還付されます。
廃車にすることを決めた時点で手続きができるわけではなく、『適正に解体された後で手続きする』点を押さえておきましょう。
還付金の申請・受け取りの流れ
自動車重量税の還付手続きに必要な『還付申請書』は、『解体届出書』や『永久抹消登録申請書』とセットになっており、申請の際は『解体届出』もしくは『永久抹消登録』の申請と一緒に行うことになります。
ここでは、還付金の申請を自分で行う場合の流れを紹介します。
- 引取業者に不要な自動車を引き渡す
- 業者の解体が完了するまで1カ月程度待つ(解体までにかかる時間は業者や時期によって異なる)
- 業者から『移動報告番号』『解体報告日』のお知らせを受ける
- 運輸支局で『解体届出』もしくは『永久抹消登録』『還付申請書』などの手続きを行う
- 3〜4カ月後に還付金を受け取る
参考:使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度について|国税庁
還付金を受け取れる条件
『廃車還付制度』は、車検残存期間を『月単位』で計算した金額が還付される制度です。
そのため、車検残存期間が『1カ月未満』の場合は還付されません。廃車を予定しているなら、速やかに行動した方がよいでしょう。
しかし、車検残存期間が1カ月以上あったとしても、返ってこないケースもあります。
住民税・固定資産税など、ほかの税金の『滞納がある』場合は、還付金で滞納分を補う可能性が高く、自動車重量税の還付が受けられません。滞納分を上回る額の還付がある場合は、差し引いた額が戻ってきます。
構成/編集部
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