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がん治療に新たな選択肢?腫瘍近くに留置する植え込み型の医薬品製造工場でマウスのがんが死滅

2022.03.16

体内留置の「医薬品製造工場」でマウスのがんが死滅

免疫系のタンパク質を大量生産する小さな植え込み型の「医薬品製造工場」を使った治療が、がんの新たな治療選択肢となる日が来るかもしれない。

米ライス大学のOmid Veiseh氏らは、サイトカインの一種であるインターロイキン-2(IL-2)を一定量、持続的に放出する小さなビーズ状の「工場」を作製。

これをマウスの腫瘍近傍に留置する実験を行なったところ、キラーT細胞などの免疫細胞が活性化され、卵巣や大腸の腫瘍が死滅したとする結果を、「Science Advances」2022年3月2日号に発表した。

IL-2は、がんなどの疾患に抵抗する免疫反応を調節するサイトカインである。これまでにもProleukinと呼ばれる注射薬のIL-2製剤はあった。

同薬は1998年に、全身に転移がある進行悪性黒色腫と進行腎臓がんの治療薬として米食品医薬品局(FDA)に承認され、一部の患者でがんの寛解に寄与した。

IL-2は、血中の半減期が極めて短い。そのため、Proleukinの場合、何日もかけて高用量を注射する必要がある。

同薬の副作用には、重要な臓器の損傷につながる毛細血管漏出症候群などがある。また、効果の低下につながり得る同薬への耐性が生じる患者も少なくない。このため、多くの患者にとって、同薬の認容性は低い。

研究者たちはこれまで、IL-2の利点を最大限活かし、望ましくない部分は抑える方法について検討を重ねてきた。

そのほとんどは、有効性を高めるとともに、有害性を抑えるための設計に主眼が置かれていた。

これに対して、Veiseh氏らのアプローチは、IL-2を患部に届ける方法と自然な状態のIL-2を作り出すことに照準を合わせている点がユニークだという。「われわれは、IL-2は既にベストな状態にあると考えている」とVeiseh氏は話す。

Veiseh氏らの研究にインスピレーションを与えたのは、卵巣がん患者を対象とした小規模な臨床試験だった。

この試験では、IL-2を患者の血流ではなく、腹膜に注射した。その結果、試験に参加した一部の女性で完全奏効が得られた。

これは、死亡リスクの高い卵巣がんの臨床試験結果としては衝撃的なものだった。ただし、この治療法は、副作用の頻度は少な目であったものの、高用量が必要なことに変わりはなかった。そのため、多くの女性がその毒性に耐えることができなかったという。

Veiseh氏らが開発した、IL-2を腫瘍細胞に届ける新たな方法は、小さなビーズを用いたものだった。ビーズの中には、自然な状態のIL-2を産生するよう設計されたヒトの細胞が含まれている。

腫瘍近傍や腹膜内にこのビーズを留置すると、一定量のIL-2が放出されて必要な場所に集結する一方で、体内の他の部位にはその影響が及ばないようにした。

マウスを用いた実験では、この治療法の効果が数日以内に現れ、治療を行なった全てのマウスで進行卵巣がんが死滅。また、進行大腸がんに対しても、1例を除いた全てのマウスで同様の効果が得られた。

この研究には関与していない米国臨床腫瘍学会(ASCO)チーフ・メディカル・オフィサーのJulie Gralow氏は、Veiseh氏らの研究について、「かなり初期段階のデータであり、マウスで認められた効果がヒトでも得られるとは限らない」と指摘した上で、「極めて革新的な戦略ではある」と評価している。

Veiseh氏らは、「この技術はヒトにも適用できる可能性がある」として、早ければ今秋にもヒトを対象とした臨床試験を開始する計画であることを明らかにしている。(HealthDay News 2022年3月3日)

Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.
写真:体内に留置するビーズ状の「医薬品製造工場」が入った瓶を持つOmid Veiseh氏。Photo Credit: Jeff Fitlow/Rice University

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abm1032

Press Release
https://news.rice.edu/news/2022/drug-factory-implants-eliminate-ovarian-colorectal-cancer-mice

構成/DIME編集部


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