全国の新規感染者数は減少傾向にあるものの、東京都では今も1万人前後で推移するなど、依然として感染拡大が続く新型コロナウイルス。
その影響は各方面に多大な影響を与えているが、エンタメ業界の中でも映画館には逆風が吹いていると言えるだろう。いわゆる3密問題に加え、外出自粛による動画配信サービスの利用増も指摘されているからだ。
そこで、顧客の反応可視化ツールを提供するスパコロでは、昨今の映画館利用意識や動画配信サービス利用との関係性について調査を実施。結果をグラフ化して公開した。
コロナ禍の映画館利用意識、4割以上が「減った」と回答
全国の15~69歳の映画館利用経験者にコロナ禍の映画館利用について聞いたところと、「増えた」と回答した人の合計は5.2%、「変わらない」と回答した人は50.4%、「減った」と回答した人の合計は、44.4%という結果に。映画館利用経験者の半数近くがコロナ禍において映画館に行く頻度が下がっていることがわかる。
また世代別では、「増えた」と答えた人は若年層ほど多いこと、高年齢層ほど「減った」と回答した人の割合が高いことが判明した。
映画館と動画配信サービスは競合するのか
映画館と動画サービスの利用の関係については、全体で「映画館のみ利用」が約3割、「映画館・動画配信サービスともに利用」が約1割、「有料動画配信サービス」が約1割、「映画館・動画配信サービスともに非利用」が約5割という結果となった。
映画館の利用者のうち、およそ4人に1人が動画配信サービスを併用、動画配信サービス利用者の2人に1人が映画館を併用しているようだ。
また世代ごとの各ポイントの構成比に大きな違いは見られないものの、動画配信サービスの利用率では40代以下でややポイントが高く、50・60代でやや低いことが見て取れる。
コロナ前後、映画の見かたは変わった?
新型コロナウイルスの流行前と後では映画を観る手段はどう変わったのか? 現在の映画を観る手段として利用率の上位から「テレビ放映」51.2%、「映画館」39.5%、「有料動画配信サービス」22.8%、「無料動画配信サービス」20.6%、「店舗レンタル」14.6%が続く。
コロナ前から利用率の増えた項目として「テレビ放映」で+3.0ポイント、「有料動画配信サービス」で+8.7ポイント、「無料動画配信サービス」で+3.5ポイントという結果に。
最も上昇率の高かった「有料動画配信サービス」ではコロナ前後で1.6倍以上利用率が高くなっている。一方、対面で人との接触が必要なサービスでは、全体的に利用率が減少傾向となっているようだ。
動画配信サービス利用者は映画館の利用割合が減るのか
前述の映画館の利用経験者全体の値と比較して有料動画配信サービス利用者の映画館利用頻度を比較してみると、「増えた」と回答した人の合計は7.0%(全体+1.8ポイント)、「変わらない」と回答した人は50.2%(全体-0.2ポイント)、「減った」と回答した人の合計は42.9%(全体-1.5ポイント)という結果に。
動画配信サービス利用者の映画館利用頻度は全体と比較して「増えた·計」が微増、「減った·計」が微減と、全体とほぼ変わりない比率であることがわかる。
これにより動画配信サービス利用の有無は、映画館の利用の増減とはあまり相関がないことが推察できる。
昨今の状況でも映画館で見たい作品はどんな作品?
映画館利用者は、どんな作品ならば映画館で鑑賞したいと考えているのか?
以下は、『コロナ禍の映画館においてみたいと思う作品はどんな作品か?』を聞いた自由回答のスコアが高い単語をユーザーローカル テキストマイニングツールを用いて分析・可視化した図だ。
頻出語句・相関語句ではともに「アクション」 「迫力」 「SF」 「サスペンス」 「映像」「臨場感」など語句が目立っており、劇場だからこそのダイナミックな映画体験が感じられる作品が映画館で観たい作品と考えられていることがわかる。
【調査概要】スパコロ『映画館の利用意識調査』
調査方法:全国15~69歳を対象としたインターネットリサーチ
調査期間:2022年1月14日(金)~16日(日)
有効回答数:7,056名 ※人口構成に合わせたウェイトバック集計を実施
関連情報
https://service.supcolo.jp/info/
構成/清水眞希