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トヨタ「MIRAI」が示したFCVの新たな可能性

2022.03.13

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 2代目にフルモデルチェンジした、トヨタのFCV(燃料電池車)「MIRAI」は、初代を発展させる方法を採らず、基礎部分から大きく改良を行なった。前輪駆動だった初代に対し、2代目は後輪駆動へと変貌を遂げる。関連して、2BOXススタイルのボディーも3BOXスタイルとなり、サイズも大型化され、カジュアルな感じからオースドックスなセダンへとキャラクターが変わった。

「MIRAI」は、タンクに充填した水素と走行中に取り込む空気中の酸素を反応させて作り出す電気で走る。それを行なうFCスタックの性能向上に加え、補機類の改良などによって発電効率を向上させ、航続距離は初代の3割増の850kmを達成している。

機械として優れているか? ★★★★★ 5.0(★5つが満点)

 走り出すと、その静かで滑らかな感覚は一般的なEV以上だ。「MIRAI」はレクサス「LS」などと「GA-L」というプラットフォームを共用しているので、その静粛性も滑らかさもワンランク上を行っている。前後50:50の重量配分や剛性を強化されたボディー、入念な遮音対策などが大いに功を奏していて、最も先進的な高級車に仕上がっている。

 スタイリングはややコンサバティブだけれども、内容に於いて「MIRAI」を最先端の高級車たらしめているのは、新たに追加された運転支援機能「Advanced Drive」の存在だ。これが、とても良く考えられていて、ドライバーの負担を大いに減らすことに成功している。

 Advanced Driveには、前のクルマとの車間距離を一定に保ちながら追走していくACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や、車線をはみ出さなかったり、車線の中央を走り続けるようにハンドル操作を補助してくれるLKAS(レーンキープ・アシスト)、さらにはレーンチェンジまで補助してくれるLCASなどの3つの機能が組み込まれている。

 それ自体は、もう珍しいことではない。最新のスバル車やメルセデス・ベンツ各車、BMW各車なども、3つの機能は標準装備されていたり、オプションに設定されている。Advanced Driveがそれらと決定的に違うのは、ACCとLKASとLCASの3つすべてを装備しながら、AIが三つを統合させて働かせているところだ。

 具体的には、例えばACCを効かせて先行車に追従して走っていて、その先行車が高速道路や自動車専用道を降りてしまい、前に何もいなくなったとしよう。ACCは捉えるべき先行車がいなくなってしまったので、設定してある最高速度まで加速を始める。

 その最高速度までの速度差が大きく開いていたりすると、まるでクルマが暴走を始めたかのようにフル加速してしまって怖くなる。Advanced Driveはそんなことはなく、多数のカメラとセンサーで周囲の他車の様子を探りながら、ナチュラルな加速を行っていく。

 さらに、左あるいは右側から他車が合流してくる場合には早目に減速を行い、車間距離を確保して他車が合流しやすく制御を行なう。ACC、LKAS、LCASの3つをバラバラに機械的に作動させるだけでなく、周囲の状況をAIが観察し、判断し、3つを統合しながら運転を支援することを極めて速やか、かつ正確に行っている点が決定的に優れている。ドライバーの負担がさらに減り、安全が担保される割合が高まるだろう。

 しかし、Advanced Driveを作動させていても、「自動運転」ではないから依然としてドライバーはつねに運転に関与して操作を行わなければならない。運転自動化の国際基準では、レベル0から5まで基準が定められていて、それによれば「MIRAI」は、レベル2に規定されているが、実質的は“限りなく3に近い2”と言えるだろう。

商品として魅力的か? ★★★★★ 5.0(★5つが満点)

 世界で初めて市販車としてレベル3を実現したホンダ「レジェンド」にも試乗したが、定義通りにレベル3を実現するためには、現実の首都高速道路の上では前提条件をいくつもクリアしなければならず、達成したレベル3というものが果たしてドライバーのためのものなのか、あるいは開発陣のためなのか、わからなくなってしまった。

 その点、「MIRAI」のAdvanced Driveはレベル3ではないけれども、ドライバーの(併せて社会の)大きなメリットとなっている。「MIRAI」は筆者が運転したことのあるクルマの中で最も先進的で、なかおつドライバーの感覚に寄り添った自然な挙動を示す運転支援機能を実現している。

 レベル2とレベル3の差は、とても大きく、現在の技術では達成が難しく、かつドライバーのメリットも少ないと判断しているボルボのような自動車メーカーもある。そうしたところはレベル3の開発は行わず、周辺技術の進化や社会情勢の変化などが伴った時に、レベル3を飛び越えて一気にレベル4以上の開発から始めると明言しているくらいだ。

 他にも、ドライバーモニターカメラや緊急ブレーキ、ドライバー異常時対応システムなども組み込まれている。オプションではなく、“Z”というグレードに2種類用意されているZ Executive Package Advanced Drive(860万円)か、Z Advanced Drive(845万円)を購入時に選択することになる。

 高価だけれども、それだけの内容はある。SUVではないから、最近の一般ユーザーへのアピールは少し弱いかもしれないが、経営者の人々が後席に乗ってバリバリと仕事をこなしたり、ショーファードリブンカーとして極上の後席空間を提供する場合に最適のクルマだろう。もちろん、個人で買って運転したって、新感覚の高級車として満足できるだろう。

 難点もあって、水素ステーションの数が少ないことと、休日や営業時間が短いことは致命的だ。週に1日の休日は理解できるが、営業が17時までだったり、12時から13時まで昼休みで補給できないところもある。法律によって危険物を扱う有資格者でないと補給作業ができないことがその理由らしいが、FCVを普及させるためには改善が必要だといえる。

◼︎関連情報
https://toyota.jp/mirai/

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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