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【ヒット商品開発秘話】75万個以上売れているサンキューマート「ヘアアイロン」

2022.03.09

■連載/ヒット商品開発秘話

 店内の商品がほぼ390円(税抜)で、流行に敏感な女子高生から絶大な支持を得ているサンキューマート。衣料品をはじめ服飾品、雑貨、コスメなどのほか、最近ではデジタルデバイスや美容家電の取り扱いも開始している。電機関係も390円とは驚きだが、中でも一番売れているのが、『ヘアアイロン』である。

 2019年8月に発売された『ヘアアイロン』は、持ち運びに便利なコンパクトサイズ。コンセントに接続しスイッチを入れ60秒後には、使える状態になる。190℃に温まるので、短時間で髪を直したりセットできたりする。全国106店舗とオンラインショップで販売しており、これまでに75万個以上が売れている。

実現したかった2つのこと

『ヘアアイロン』はサンキューマート初の家電。なぜ、開発が企画されたのであろうか? 最大の理由は、既存のヘアアイロンは高価で女子中高生はなかなか手が出ないものだったことにある。サンキューマートを展開するエルソニックの広報部、津呂啓大氏は次のように話す。

「SNSとかを見ていると、ヘアアイロンについて『なかなか買えない』『高い』といった声が散見されました。この現状から、うちで何とかできないだろうか? と開発を企画しました」

 開発は発売の1年近く前からスタート。初の家電だったことから、できるかどうかわからないが着手することにした。

 実現には開発・生産に協力してくれるパートナーが不可欠。仕入先などを通じて情報を収集し、国内・国外問わずできそうなところがあれば手当たり次第コンタクトを取り、サンプルを取り寄せた。工場が決まったのは発売の半年ほど前。中国の工場にお願いすることにしたが、エルソニックの中国人スタッフが交渉の窓口になり話をまとめた。

 パートナー探しでこだわったことは、やりたいことが実現できること。390円で販売できることのほかに次の2つの実現を目指した。

・コンパクトで持ち運びできること
・短時間でヘアスタイルのセットや手直しができること

 実現したかったことについて、津呂氏は次のように話す。

「女性には学校の休み時間中やデートの合間にヘアスタイルを直したいというニーズがあるのですが、これまでのヘアアイロンは大きくて持ち運びづらいという悩みがありました。どうせつくるなら、390円という低価格だけではなく、『こんなものが欲しかった』と思ってもらえるようなものをつくることにしました。目指したのは、かゆい所に手が届くものです」

エルソニック
広報部 津呂啓大氏

提案のいいところ取りをして仕様を決定

 大きいと持ち運びづらいことに加え、小回りがきかず思い通りに扱えない。それに、ヘアアイロンは扱いに慣れるまでが大変で、長く使うと熱によって髪がダメージを受け傷んでくる。実現したいこととして挙げた2点は、ヘアアイロンに関するこうした悩みを解決することを目指すものであった。

 サイズについては、各社から発売されている一番コンパクトなものなどから検討し、全長を19.5cmに決定した。

 温度は短時間でセットや手直しができるよう190℃とした。通常は150℃前後で、高くても180℃程度と言われているプロ用よりも高い。高温にすることでセットや手直しが短時間でできるほか、セットした髪が長時間崩れなくなる。津呂氏は次のように話す。

「髪に熱を加えると、水分が抜けてパサパサし、タンパク質が固まってゴワゴワします。それに熱を加えたまま髪を挟んで動かすと表面のキューティクルが削られるので、ヘアアイロンは長時間使うと髪が傷みます。髪を傷めないよう短時間でセットや手直しができるよう、あえて高温にし、長時間髪を挟んで動かさなくてもいいようにしました」

 このような仕様は、パートナー探しの段階で実現したいことを伝えられた各工場が提案してきたことからいいところ取りしてまとめたもの。複数の交渉先に提示し、できるかどうかを話し合いで詰めていく中で最後まで残ったところが、現在の生産工場である。

 また、高温になることから、安全性への配慮が欠かせない。低価格なので「安かろう悪かろう」では済まされないところがある。「サンキューマートは『安かろう悪かろう』と言われ続けて20年以上」と津呂氏は言うが、安全に使えるよう、電気用品安全法を満たしていることを示すPSEマークの認証取得をマストとした。

 ただ、試作は思ったようにできなかったそうだ。「コンパクトにすることはできても温度が高くならなかったりするなど、最初の頃は何かが足りないものができました」と津呂氏。加えて、サンキューマートは創業当時から、オシャレなものを発信することに強くこだわってきたので、デザインにもこだわった。企画から半年程度で発売したかったが、無理難題が積み上がったこともあり、開発は難航した。

SNSで「幻の商品」と騒がれたことも

 現在、カラーバリエーションはパープル、ホワイト、ベージュの3つで展開しているが、発売開始時はパープルのみ。ホワイトとベージュは2019年12月に追加された。カラーバリエーションの追加は企画時から構想しており、パートナーを決めるに当たってもカラーバリエーションの追加に対応できることを条件の1つにしていた。

2019年12月に追加されたホワイトとベージュ

『ヘアアイロン』は発売以来、サンキューマートでつねに売上のトップ3に入り続けているという。「これほどつねに売れ続け息の長い商品になるとは思ってもいませんでした」と津呂氏。一時期は同程度の価格の競合品が販売されたが、いつの間にか姿を消し現在は競合品がない状態だ。

 店舗では商品が入荷するとあっという間に売り切れることを繰り返してきた。発売開始時もTwitterで軽く告知をしただけで1週間後には完売。売れたことで噂になるものの店舗に行っても売っていないことから、SNS上で「幻の商品」と騒がれたこともあった。

 津呂氏によれば、『ヘアアイロン』は発売からずっと、このような調子で売れてきた。Twitterでカラーバリエーション追加に関する告知をしたときも、タイミングが重なってしまった再入荷に関する告知の反響の方が大きかったほどだった。

 このような調子はコロナ禍前まで続いた。新型コロナウイルスの感染が拡大しショッピグモール内の店舗が休業することが多くなったことから生産が追いつくようになり、供給が安定した。

 持ち運びしやすいことを意識してつくった『ヘアアイロン』だが、ユーザーの中には低価格ゆえに複数本買っている人もいるほど。持ち運ぶ手間をなくすために、家や学校など普段いるところに置きっ放しにしておくというのだ。「こういう買い方をするとは誤算でした」と話す津呂氏。また、ユーザーの声から、使い終わった熱い本体がしまえるケースのニーズを確認し開発。本体とともに売れている。

ユーザーの声から開発されたヘアアイロンケース

取材からわかった『ヘアアイロン』のヒット要因

1.高いコストパフォーマンス

 税抜390円は驚きの低価格だが、安いだけではなく基本機能をしっかり抑えた。結果、コストパフォーマンスが高いものに仕上がった。

2.不満を解消

 これまでのヘアアイロンには高価、大きいため持ち運びづらく扱いにくい、効果が持続しない、髪が傷むといった不満があった。このような不満解消を目指してサイズや仕様を決定。不満を感じにくいものができた。

3.安いがゆえの複数個買い

 1つあれば足りるが、安いがゆえに複数個購入し、自宅や学校など長く過ごすところに置いておく人もいた。複数個買いしたユーザーがそれなりにいたことは無視できない。

 購入者の反応には、ネガティブなものがほとんど見られないという。強いて言えば、コードレス化の要望が多くことぐらいだ。サンキューマートらしい低価格のコードレスヘアアイロンの誕生を期待したい。

製品情報
https://390yen.myshopify.com/products/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%8A%E3%83%AB-%E3%83%98%E3%82%A2%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3?_pos=1&_sid=9d3c3c341&_ss=r

文/大沢裕司

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