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激化するアイルランド紛争下で暮らす家族を描いたアカデミー賞ノミネート映画「ベルファスト」の見どころ

2022.03.07

■連載/Londonトレンド通信

 『父の祈りを』(1993)、『ブラディ・サンデー』(2002)、『麦の穂を揺らす風』(2006)、『ハンガー』(2008)、『ベルファスト71』(2014)等々、アイルランド紛争を描いた映画には秀作が並ぶ。そこに加わるもう1本が、3月25日公開のケネス・ブラナー監督『ベルファスト』だ。

 この映画はファミリードラマでもある。先にあげた5本は紛争に身を投じた人や紛争そのものを描いているが、『ベルファスト』は家族の物語だ。アイルランド紛争が激しさを増した頃の、北アイルランドの首都ベルファストに暮らす労働者階級一家を描く。

 主人公となるのは、9歳の少年バディ(ジュード・ヒル)だ。

 子どもと動物にはかなわないとよく言われるが、この映画も例外ではない。ヒルの自然な子どもらしさに惹きつけられる。子どもの毎日は面白い。

 冒頭の写真は、バディの両親、マー(カトリーナ・バルフ)とパー(ジェイミー・ドーナン)のダンス・シーンだ。まだまだケミストリーを失わない両親に加え、祖父母、グラニー(ジョディ・デンチ)とポップ(キアラン・ハインズ)の愛情も一身に受け、伸びやかに暮らすバディの日々が描かれていく。

 そのファミリードラマ部分があるからこそ、家族に落ちる紛争の影が際立つ。紛争が激しくなるにつれ、路地はもうバディの遊び場でなくなる。それどころか、間近にまで暴徒が迫り、家にいるのさえ危険になる。

 プロデューサーも務めつつ、脚本も書いているブラナー監督の少年時代がベースになっている。

© JOHAN PERSSON

 モノクロの映像が、紛争を写実的に見せながら、少年の頃へのノスタルジーも醸し出す。

 そもそも俳優として出発したブラナー監督、最近ではアガサ・クリスティ原作の探偵エルキュール・ポワロでお馴染みだ。自身がポワロを演じたほか、やはりプロデューサーと監督も務めた『オリエント急行殺人事件』(2017)をヒットさせ、現在『ナイル殺人事件』が公開中だ。

 犯人探しが見どころになる探偵ものは、重要度に比重をつけて犯人がばれては困るせいか、満遍なくそれぞれの俳優に見せ場があり、堪能できる。

 ブラナー監督は、今回の『ベルファスト』でも、俳優を輝かせている。自身が俳優というのもあるかもしれない。

 バルフとドーナンのダンスも、両者ともに魅力的だ。マーとパーになる以前の、カップルとしての歴史まで感じさせる良いシーンになっている。

 そして、終盤、様々を経てアップの表情だけで想いを表すデンチが、さすがだ。そこから繋がっていくラストの、ブラナー監督の心情と重なるのであろうナレーションは、それぞれの道を行くベルファスト、アイルランドすべての人々に、等分な温かい眼差しを注ぐ。小憎らしいほど上手い。

 この映画はデンチの助演女優賞と、可愛い孫に相好を崩す好々爺でありながら年輪を重ねた重みもにじませるハインズの助演男優賞に、作品賞、監督賞など、アカデミー賞7部門にノミネートされている。

 さて、アカデミー賞の発表授賞式がもうすぐだ。作品賞に名を連ねた中では、ラストで胸を熱くさせるのは、この『ベルファスト』が一番かもしれない。逆に後味の悪さで尾を引く『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(https://dime.jp/genre/1260495/)は、11部門12ノミネートで大本命だ。村上春樹の原作を大きく発展させた4部門ノミネート『ドライブ・マイ・カー』(https://dime.jp/genre/1176296/)が受賞したら、もちろんうれしい。結果が楽しみだ。

文/山口ゆかり
ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com


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