
子供の頃読んだ「ファーブル昆虫記」、その中でも見かけたジャン=アンリ・ファーブルさんの顔がドーンとポップアップしているビールを見かけて思わず手に取った。別に昆虫好きという訳でもないが、個人的には有名タレントのビールの広告より100倍インパクトがあったのだ。
よくよく調べてみると、昆虫タンパクを使ったビールで「BEETLES BEER」という。しかも、ファーブルのひ孫にあたるヤン・ファーブルさんが製品開発に加わっている(そりゃ遺族の許可なしに勝手に顔写真は使えないだろう)。なんだか、ネタかと思ったらスゴく真面目に作られているようなので、早速飲んでみました。
昆虫フレーバーは特になし、普通においしいベルジャンブロンド
特設サイトによれば、誕生のきっかけは、開発者のガレージに小さな昆虫がやってきたことだったらしい。
その歴史は意外と古く、時は2015年、ホップの乾燥と殺菌を行っていたガレージに偶然昆虫が混入。そのホップでビールを醸造すると、驚くほどのコクを感じたので、そのホップを研究機関に持ち込んだところ、昆虫の成分にビール醸造に適した栄養素が豊富に含まれていることが判明したという。こうして昆虫タンパクを使ったユニークなビールが誕生したのだ。
実はちょうど2015年はEUではじめて食用としての昆虫が認可された年でもあり、このユニークなビールは世間の話題を呼んだ。そのビールのコンセプトである「未来の食」と「自然環境を踏まえた昆虫の新しい活用」に共感したのが、なんと「ファーブル昆虫記」の著者アンリ・ファーブルのひ孫で、現代アーティストのヤン・ファーブルだったのだ。今回の開発には彼も参加しているというからなんか運命的なものを感じますね。
「BEETLES BEER」はホップの香りと深いコクを味わえるベルジャンブロンドとわれる褐色のビール。リッチな味わいで普通においしい。全く昆虫っぽさは感じなかった。「※沈殿物は飲食可能な昆虫タンパクです」という注意書きに若干ビビっていたが、特に沈殿物もなくコオロギ感はゼロ。
昆虫食へのエントリーとしてビールっていいかも
未来の食糧として、昆虫食が世界的な注目を浴びていることは最近ニュースでよく目にするようになった。
日本でも昆虫専門のレストランがオープンしたり、昆虫を使ったさまざまな加工品が開発されるなど、肉や魚に代わるたんぱく源として注目されている……とされるが、正直まだネタ的にメディアが取り上げられているにすぎないかと思う。日々の食卓にコオロギをつかった食材が並んではいないわけで。
今回「BEETLES BEER」を飲んで思ったのは昆虫食の普及にはビールが意外と向いているかもということ。食べ物だとなんとなく噛みながら変な想像をしてしまうが、ビールはそんなこと考えることなく流し込むし、味も言われないと気づかない。まぁ、「BEETLES BEER」の場合、色味はコオロギっぽい色味ではあるが、普通に美味しいベルジャン・ブロンドだ。
食糧問題を解決するために近い将来に昆虫食は避けて通れない。まずは昆虫への抵抗をなくすという意味でも手始めに一杯どうだろうか?
ただ、パッケージを見て思うのはどこまで昆虫を前面に出すのかという問題だ。昆虫を前面に出しすぎると生理的に受け付けない人もいるし、その辺は普及に向けて今後検討していく必要があるだろう。
キレ味抜群のカマキリ・ドライ、漆黒に輝くスカラベ・ポーターとか…次回作への期待も膨らむ。カマキリ先生こと香川照之さんとか起用したCMなんかも作ったら面白そうだなとかいろいろ妄想は膨らんでしまう。
【商品概要】
「BEETLES BEER Powered by Jan Fabre」
品目:発泡酒(麦芽使用率86%)
原料:麦芽、ホップ、昆虫タンパク
カラー:ベルギーブロンド
アルコール度: 5.9%
内容量: 330ml
原産国: ベルギー
商品紹介ページ: https://bugsfarm.jp/beer/
※現在はすでに売り切れ
文/石崎寛明
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