
ステイホーム中は、家の中の汚いところがどうしても目についてしまう。特に子育て中の家庭は、片づけても片づけても子どもがモノを散らかしてしまうという悩みもつきない。
親としては、自分が片づけるだけでなく、子どもに片付けを教えることも意識したいところだ。
そこで今回は、子育て参加にもつながるパパならではの片付け術、子どもへの片付けの教え方などを紹介する。
片付けのパパの活躍どころ
今回、話を聞いたのは、「片付けパパ(R)」「片付け部長(R)」として活動している整理収納アドバイザーで、3児のパパでもある大村信夫氏。自身の体験談から、家族が喜ぶパパの片付け術をアドバイスしてもらった。
まずは、パパは片付けシーンのどんなところで活躍できそうなのか聞いてみた。
【取材協力】
大村 信夫氏
共働きで3児の子育てパパ
家電メーカーに勤務しながら「片付けパパ(R)」「片付け部長(R)」「パラレルキャリア研究家」として活動。講演・ワークショップ受講者は1万人を超え、満足度は96%を超える。
著書「片付けパパの最強メソッド ドラッカーから読み解く片付けの本質」(インプレス)
https://omuranobuo.net/
「片付けは、実はロジカルな行為なんです。製造業・サービス業などで職場環境の維持改善で用いられるスローガンに『5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)』がありますが、家庭における片付けは、5Sと共通しているところが多いのです。男性はロジカルな傾向があるといわれるため、この5Sにのっとり、職場と同様に実施してみるのはいかがでしょうか。
またモノの配置、導線や収納などを考えるのが得意とも考えられるため、電機製品の配線やネットワーク機器の設定など、テクニカルなところはパパの出番かもしれません。例えば、ルーターは床置きよりも1.5~2mの高さが良いといった知識を用いて配置してみるなど。
女性はインテリアなどの見せ方のセンスがあるといわれるため、そこはママにまかせるのも良いでしょう」
一方で、やってはいけないこともあるという。
「絶対にやってはいけないのは、パパが良かれと思って家族の了解も得ずに、勝手にモノの配置や収納などを決めてしまうこと。確かに片付けは理屈の部分が多いですが、それを一方的に押し付けてはだめなのです」
家族が喜ぶちょっとした片付けTIPS〜プリント類はスマホ撮影で電子化
ここで、家族が喜ぶ片付け術を一つ、教えてもらった。
「片付けの業界では『衣類』など『類』がつくものは散らかりやすいと言われます。その代表的なもののひとつが『書類』。子育て世帯にとって、悩ましいのがプリントです。放っておいたらあっという間にたまってしまい、いつのまにかリビングなどに置き場が必要になって、幅をきかせていませんか。
そのプリントの片付け術をご紹介します。プリントは、何かお知らせを伝えるために作られたものです。だから、重要なのはプリントという物理的な紙ではなく、そこに書いてある内容です。内容だけを残す方法でもっとも簡単なのが、電子化すること。
とはいっても、いちいちスキャナーで取り込むのは面倒なので、スマホで写真を撮りましょう。今は、解像度も高いですし、クラウドに保存すれば容量もそれほど気になりません。また夫婦で簡単に共有することもできます。もしも大事なプリントを誤って捨ててしまった場合でも、プリントアウトすることでリカバーできることもあります。共有アプリなども活用しながら整理するのも良いかと思います」
子どもに片付けを教えたい!どう教えるべき?
パパとしては、子どもに片付けを教える、教育目線も取り入れたいところだ。そこで片付けと子育てを一緒に行う方法を教えてもらった。
なかなか片付けない子どもに対して、パパとしてはどうアドバイスすればいいだろうか。
「みなさんが小さいときに、親から何かやれと言われてもできませでしたよね? 少なくても私はそうでした(笑)。時々お見受けするのは、パパが酔っ払って帰ってきて、カバンは放りっぱなし、靴下はその辺へ脱ぎ捨て、ソファーでいびきをかいて寝ている。そんなパパが『片付けなさい』と言っても説得力はないですよね(笑)。
まず、親が率先してやる、そして楽しそうにやる。これがお子さんが片付けをするようになるための近道だと思います。そしてお子さんが片付けをできたら褒めてあげるのも大切です」
また、教えるべきスキルは具体的にどんなスキルだろうか。
「片付けは『小さな選択と小さな行動の繰り返し』です。『これは捨てる、これは捨てない。捨てるものは分別して捨てる、もしくは誰かにゆずる、フリマアプリで売る。捨てないものはどこに保管するのかを考えて整理整頓する』。このスキルを鍛えることは、ビジネスにおいてもとても大切ですから、大人になっても必要なスキルです。片付けを通じてお子さんに教えてあげましょう。
そのときに大事なのは、お子さんの『選択』を尊重することです。例えばお子さんがモノを捨てようと決断したのに、『これは義理の親御さんが買ってくれたからまだ取っておきなさい』みたいなことを親が言ってしまうと、子どもは混乱してしまいます」
まずは家族で「どんな部屋にしたいか」を話し合おう
大村氏によれば、何より、片付けを始める前にやるべきことがあるそうだ。
「片付けはあくまでも『手段』であり、一番大事なのは片付けの先にある『状態』をイメージすることです。これを実現するための手段が片付けなのです。ぜひ初めにお子さんと一緒に、『どんな部屋にしたいか』、『そこでどんな時間を過ごしたいか』を話し合ってみてください。理想の部屋が共通認識として固まれば、家族で効率的に片付けを進めていくことができます。まずは一家だんらんのときなどに、家族みんなで楽しく会議を開いて話し合う時間を持ちましょう」
パパならではの片付け術を教えてもらった。この方法なら、子育て参加にもつながるだろう。まずは家族そろって理想の部屋について話し合うことから始めてみよう。
取材・文/石原亜香利