
遠出や密を避けて楽しめるレジャーとして大好評の「車泊(くるまはく)」とは?
「車中泊」ならぬ「車泊(くるまはく)」が、人気を博している。
「車泊」とは、有料で公認の場所に車中泊するというもの。道の駅などでの車中泊と違って、事業者のサイトに個人情報を入力して予約するため、農泊や城泊といった地域滞在型ツーリズムに近い位置づけだ。
■コロナ禍が人気を後押し
サービスを提供する側は、外部電源やWi-Fiを整備するなど、従来の車中泊より利便性と安全性が高い環境を用意するというものだ。
車泊の利用場所は、不稼働時間帯の駐車場や遊休地で、現在40か所あまり。九州が多いが、人気の高まりを受けて本州にも広がりつつある。
このサービス、もともとは九州周遊観光活性化コンソーシアムが、総務省の「IoTサービス創出支援事業」に応募・採択されてスタートした事業。当初は、「被災地復興・観光振興に繋げる事業」という意味合いがあり、熊本地震で打撃を受けた地域より始まった。
それから4年経ち、車中泊ブームとコロナ禍で密を避ける滞在の流れが後押しして、サービスが急拡大したというのが背景にある。
ライトアップされた島原城(長崎県)近くでの車泊も楽しめる
■周遊観光のしやすさが人気の理由の1つ
車中泊といえば、一定条件をクリアした道の駅やオートキャンプ場を紹介するサービス「RVパーク」が、快適に安心して車中泊ができるということで最近、伸びている。
こうした安心感に加え、さらに利便性を高めた車泊。同コンソーシアムのメンバーである軒先(株)の代表取締役・西浦明子さんは、こう説明する。
「車泊には3つの特徴があります。1つめはスマートフォンなどから事前予約ができること。
2つめは予約された方に発行されるQRコードを使って現地で外部電源が利用できるサービスを提供していること。
そして最後の3つめは近隣に道の駅や温浴施設がある施設が多く、周遊観光しやすい立地にあることです。
事前に予約ができ、効率的に旅の計画を立てられます。車泊場所を起点とした周遊観光を、ぜひ楽しんで頂きたいと思います」
車泊の具体的な利用法だが、まずは公式サイトにアクセス。「施設一覧」ページから行きたい施設名をタップして、利用料金や付帯施設など確認。そこから予約ページに入って、希望の日程を選び、所要の情報を入力する。ホテルのネット予約とよく似た、わかりやすい方法だ。
車泊したい施設の予約画面で、希望日時を選んで予約
ちなみに、予約者全体の平均年齢は50歳で、利用者の3割が2回以上のリピーター。なかには、利用回数が10回を超える猛者もちらほら。トップ利用者のAさん(福岡県)は、10か所で計83回も利用している。この方は、熊本県を中心に月2回ペースで利用しているそうだ。
車泊のリピーターベスト10と全体に占めるリピート回数
■滞在地で仕事をする“バケワーク”も視野に
車泊は、温泉や自然の豊かなロケーションが特に人気。週末やハイシーズンは、予約が埋まることも。これほど好評な理由について、西浦さんは、次のように解説する。
「昨今のキャンプブームに加え、やはり車泊ならではの魅力がリピーターを増やしていると感じています。混雑した都会を離れ、少人数で自然を感じながらゆったりとした時間を過ごすことができる一方で、安心安全が担保されているという点や利便性、その土地ならではの食事や地域の生活、文化、歴史にも触れられる点も評価いただいているのではないでしょうか。
また、気兼ねなくペットとともに宿泊できるという点も、多くのペット愛好者に支持されている理由かと思います」
ペットとともに車泊できるのも魅力(道の駅きくすい)
2021年12月は、寒さが身にしみる時期にもかかわらず、過去最高の月間予約件数となった車泊だが、これからの展望について西浦さんにうかがった。
「車泊は、新たな旅の形としてだけでなく、新たな働き方の選択肢としても大きな可能性があると感じています。バケーションとワークを掛け合わせ、旅先で仕事もできる“バケワーク”と称し、各地の車泊拠点を観光ルートや旅行商品としてつなぎ、より多くの方に体験頂けるようモニターツアーを実施しています。また、車泊をきっかけに地域の方と交流を図れるような仕掛け作りにもご期待ください」
車中泊デビューを考えていても、それにまつわるデメリットで二の足を踏んでいる方にとって、車泊はまたとない選択肢となるのではないだろうか? 関心を持たれた方は、公式サイトをチェックされることをすすめたい。
車泊公式サイト:https://rvparksmart.jp/
文/鈴木拓也(フリーライター)
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