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【ヒット商品開発秘話】累計14万個以上売れているゲオの骨伝導ワイヤレスヘッドホン「GRFD-BCH200B300」

2022.02.23

■連載/ヒット商品開発秘話

 テレワークに欠かせないアイテムの1つがイヤホンやヘッドホン。ただ、長時間装着していると痛くなったり不快感を覚えたりする。

 そのような人にとって選択肢の1つになるのが、骨伝導で音が聞けるもの。こうしたタイプで現在売れているのが、ゲオの『骨伝導ワイヤレスヘッドホンGRFD-BCH200B300』(以下、B300)である。

『B300』はBluetooth接続するワイヤレスタイプで2021年4月に販売開始。耳を塞がないので周囲の音や会話も聞こえ、安心・安全に使用できる。約2.5時間の充電で最大約5時間の連続通話のほか、最大約7時間の連続音楽再生が可能だ。ブラック、レッド、ネイビーの3色で展開しており、これまでに累計14万個以上売れている。

普及のために重要なことは安価であること

 ゲオといえばゲームやスマートフォンなどの販売・買取、DVD/CDのレンタルでおなじみだが、自社オリジナル商品も店舗や自社のオンラインストアで販売している。ゲーム周辺機器など豊富なアイテムを手がけているが、売れ筋の1つがイヤホンやヘッドホン。2017年12月に発売を開始して以来、累計で250万個以上販売している。

 名前が表すように、骨伝導は骨を振動させて音を伝えるもの。こめかみ付近の骨から頭蓋骨を振動させることで、耳の奥にある聴覚を担う蝸牛(かぎゅう)に直接振動が届き、音として脳に伝わる。

骨伝導のイメージ

 同社の骨伝導ヘッドホンは『B300』で2代目になる。初代は2019年7月に発売された『骨伝導ワイヤレスヘッドホン GRAMO-BCH01』(以下BCH01)。 『BCH01』はユーザーからフィードバックが返ってくるアンバサダープログラムを実施して販売を実施したところ、反応が高く、生産した5000個を販売。フィードバックを見ると、料理やジョギングなど何かをしながら音楽を聴くといった使い方をするユーザーが多かった。

『B300』は発売の1年ほど前から開発に着手したが、『BCH01』をモディファイしたようなものではない。

「『BCH01』と『B300』は生産工場が別。安く販売したかったので、モデルも異なります」

 こう話すのはリテール商品部ゲオ製品開発1課の廣常秀明氏。『BCH01』は4980円(税抜)なのに対し『B300』は2980円(同)。この価格で売れるものをつくるため、サンプルを取り寄せては検証を繰り返し、ベースモデルを決めることにした。

 安く売りたかったのは、骨伝導を広く普及させたかったからであった。『BCH01』を発売した当時、一部のマニアの間で注目されていた感が否めなかったが、イヤホンやヘッドホンで完全ワイヤレスタイプが急成長したこと、テレワークやウェブ会議で長時間耳を塞ぐことに不満を感じている人が増えため、注目を集めるようになり、骨伝導の普及にチャンスが訪れた。

 普及に当たって重要と考えていたことの1つが価格だった。2980円という価格設定について、リテール商品部リテール商品1課の松岡良房氏は次のように話す。

「ナショナルブランドだと1万円を超えるものがありますが、目指したのは市場売価の3分の1。私たちのイヤホンやヘッドホンであれば同じ1万円で骨伝導、ワイヤレス、ノイズキャンセリングの3タイプが買えることをイメージしています」

ゲオ
リテール商品部リテール商品1課
松岡良房氏(左)
リテール商品部ゲオ製品開発1課
廣常秀明氏(右)

100名近くの社員がライフテストに協力

「コストは抑えるが品質が保証された商品を発売したかったため、中国からサンプルをいろいろ取り寄せたり、ライフテストを繰り返し実施したりしました」

『B300』の開発をこう振り返る廣常氏。開発に1年近く要したのは、サンプルの選定に手間ひまかけたからであった。骨伝導と謳っていても空気伝導のものがあり、それは使ってみないとわからない。ベースモデルの選定は一筋縄ではいかなかった。

 開発は中国で流通しているものを日本仕様に改良する形で進めたが、最大の変更箇所は音質。また、iPhoneユーザーが多い日本の事情に合わせ、コーデックにはSBCのほかAACを搭載。SBCで聴いてもAACで聴いても同レベルになるものを目指した。

 ベースにした中国製の音質を一言で表すと、ドンシャリ系(低音がドンドン響き高音がシャリシャリ聞こえるタイプ)だった。あまりにも低音が強すぎるとボーカルが聞こえづらいため、低音域、中音域、高音域のバランスが良くなるようソフトウェアを改良した。

 ライフテストは100名近くの社員にサンプルを配布して実施。音質を含め様々な点から評価してもらった。1つの製品を100名近くが評価するのは同社でも珍しいこと。骨伝導は社内でも使ったことがない人が多いことから、好きになってもらう意味も込めて、あえて多くの社員にサンプルを配布した。

 しかし、なぜ安くつくることができたのか? ゲオは全国に約1100店舗あるので量産による製造コスト低減は期待できるが、それ以外の理由について松岡氏はこのように明かす。

「中国で生産したものを当社が直接輸入・販売し中間マージンを削減できていることから、製造コストを抑えることができます。それに一般的なユーザーが満足できる最低基準を目指していたので、余計なものは搭載しないことを徹底しました」

カラーバリエーションを増やすと売上が伸びる

『B300』は当初、年間5万個の販売を見込んでいたので、売れ行きは予想をはるかに上回った。最初はブラックのみだったが、販売が好調だったことから予想以上のニーズが存在することが判明したため、増産とカラーバリエーションの追加を検討。2021年9月に新色としてレッドとネイビーを追加することにした。

2021年9月に追加されたレッドとネイビー

 カラーバリエーションを増やしたのは、ファッションやインテリアによってカラーを変えるというニーズに対応することと、過去の経験からカラーバリエーションを増やせば売れ行きが伸びることがわかっていたからであった。事前の売上予測を元に製造したが、「予測を大幅に上回る売れ行きとなりました」と松岡氏は話す。

 キャッチコピーを「ながら専用」とし、店頭をはじめウェブ媒体でのプロモーションも活用した。プロモーションはほぼウェブ媒体に限定。タイアップ記事の掲載やSNSへの広告出稿で、オンラインストアにアクセスを促すようにした。

 ユーザーがTwitterをはじめネットで紹介したほか、ユーチューバーが自分たちの動画で話題にする例もあり、予想外の形で認知が広がった面もあった。「思っていた以上にクチコミが広がっています」と松岡氏。実物を手に取って購入できないことから、クチコミやレビューが購入を後押しした面もあり売上が飛躍的に伸びた。

取材からわかった『骨伝導ワイヤレスヘッドホンGRFD-BCH200B300』のヒット要因3

1.トレンドへの追従と市場ニーズの具現化

 イヤホンは完全ワイヤレスが主流になりつつある。また、耳を塞ぎたくないというニーズもある。トレンドとニーズが明確であったが、これら2つを1つで満たすことができた。

2.発売のタイミングが良かった

 第1弾を発売した2019年当時は、まだ骨伝導が広く知られているとはいえなかった。しかしその後、骨伝導の認知が徐々に拡大。認知が拡大してきた中での発売はタイミングが良かった。

3.エントリーモデルに最適

 2980円(税抜)という価格は、有名なナショナルブランドのものと比べたらかなり安価。骨伝導には興味があるがいきなり高価なものは買えないというエントリー層を取り込むのにピッタリだった。

 シリーズ化を目指す上で重要だと捉えているのが、カラーバリエーションではなくサイズだという。『B300』はサイズが調整できないため、中にはサイズが合わない人もいる。より多くの人にゲオの骨伝導ヘッドホンを使ってもらう上での課題は明確。今後の対応が待たれる。

製品情報
https://product.geo-online.co.jp/product/headphone/boneconductionheadphone/grfd-bch200b300/

文/大沢裕司

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