
情報技術開発は、AIが身の回りの音を通知する聴覚障がい者・難聴者向けアプリのAndroid版「Sound Display(サウンドディスプレイ)」を、1月31日に提供開始した。iOS版は昨年リリース済み。
サイレンやインターホンの音をスマホで可視化
特定の音をAIが記憶し、認識するとアプリから通知するというもの。アプリ利用中だけでなくバックグラウンドでも、通知画面やPUSH通知、LEDライト、スマートウォッチなどで知らせてくれる。
緊急地震速報(テレビ)、火災警報器、緊急車両のサイレン(パトカー・消防車・救急車)、インターホンの音が認識されるようプリセット。ほかにも、認識してほしい音をアプリ内から録音・登録する機能も搭載する(最大5個)。
NPO法人Silent Voice理事 宮田 翔実(ろう者)は、「職場環境における特定の音の可視化によって、(聴覚障がい者の)働きやすさの向上やこれまで考えられなかった就労先が増えること等の効果の広がりに期待しております」とコメントしている。
iOS版/Android版ともに価格は無料。今後は、聴覚障害者のビジネスシーンでの利用を想定した、法人向けビジネスプランでの収益化を検討しているという。
体感から見える本当の困りごと
これまでも、音声をテキスト化したり、筆談をサポートするなど、コミュニケーション向けのアプリは数多くリリースされてきた。いっぽう「Sound Display」が対応する「来客や宅配の際に相手を待たせてしまう」「災害時の警告音に気付かない」といった課題を、他人は見過ごしてしまうのではないだろうか。
テキストでコミュニケーションが成立した時点で、障がいを持たない側の困りごとは、解決してしまうからだ。
「Sound Display」のアイデアは、日本アイ・ビー・エム/愛徳会共催のコンテスト「DXチャレンジ 2019」に参加する過程でうまれた(コンテストではスマートグラスを提案)。チームメンバーの半数以上が親族に聴覚障がい者を持っており、課題を身近に感じていたという。
実際に自分や家族の問題として体感したり、実体験をヒントに想像力をはたらかせることでしか、得られない当事者視点がある。調査やリサーチだけでなく、身を持って感じることの大切さを示唆する新ビジネスだ。
●プレスリリース
情報技術開発、聴覚障がい者・難聴者向けアプリ 『Sound Display(Android版)』 2022年1月31日より提供開始 “音の見える化”で生活向上の一助に
取材・文/ソルバ!
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