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覚えておきたいインサイダー取引に関する2つの犯罪行為

2022.02.16

「インサイダー取引」とは、公表されていない重要な情報を基に、上場株式の売買などを行って利益を得ることを意味します。

金融市場における不正行為とされており、金融商品取引法によって処罰される可能性があるので要注意です。

今回は、インサイダー取引に関する規制の概要をまとめました。

1. インサイダー取引に関する2つの犯罪行為

金融商品取引法では、インサイダー取引そのものと、インサイダー情報の伝達行為がそれぞれ処罰の対象になっています。

1-1. 未公表のインサイダー情報を利用した上場有価証券の売買等

規制対象者が未公表のインサイダー情報を知った場合、当該インサイダー情報を利用して、以下の取引を行うことが禁止されます(金融商品取引法166条1項、3項、167条1項、3項)。

・売買その他の有償の譲渡、譲受け
・合併、会社分割による承継
・デリバティブ取引

1-2. 未公表のインサイダー情報の伝達行為

規制対象者は、他人に利益を得させ、または損失を回避させる目的をもって、当該他人に未公表のインサイダー情報を伝達することが禁止されます(金融商品取引法167条の2第1項、第2項)。

2. 規制されているインサイダー情報の内容

情報を利用した売買等や、情報伝達行為が規制の対象となるインサイダー情報には、「重要事実」とTOBの実施・中止に関する事実の2つがあります。

2-1. 「重要事実」|決定事実・発生事実・決算情報

「重要事実」とは、投資者の投資判断に影響を及ぼすと考えられる、上場会社等に関する一定の事実を意味します(金融商品取引法166条2項)。

重要事実は、「決定事実」「発生事実」「決算情報」の3種類に分類されます。

①決定事実

上場会社等の業務執行決定機関が、一定の重要な事項を行うこと、または行わないことについて決定をした事実です。

(例)
新株の発行、資本金等の減少、組織再編行為(合併など)等に関する決定

②発生事実

上場会社等について、一定の重要な事象が発生した事実です。

(例)
災害や業務上のミスによる損害、主要株主の異動、上場廃止に相当する事実

③決算情報

上場会社等の売上高・経常利益・純利益のいずれかについて、公表済みの直近の予想値と、最新の予想値または決算値に差が生じた事実です。

2-2. TOBの実施・中止に関する事実

TOBとは「株式公開買付け」のことで、不特定多数の株主から、株式市場外で上場株式等を買い集める手続きです。

TOBの実施が公表されると、市場の株価はTOB価格に接近するような動きを見せる傾向にあります。

反対に、TOBの中止が公表されると、公表時の反動で、市場の株価は元に戻ろうとする傾向があります。

このように、TOBの実施・中止は、投資判断に大きな影響を及ぼすと考えられるため、インサイダー情報として規制されています。

3. インサイダー取引規制の対象者は?

インサイダー取引規制の対象者の範囲は、問題となる事実の種類によって異なります。

3-1. 会社関係者

「重要事実」に関するインサイダー取引規制の対象者は、「会社関係者」と「第一次情報受領者」です。

以下のいずれかに該当する者は「会社関係者」に当たり、未公表の重要事実に基づく売買等や、重要事実の情報伝達行為を禁止されます(金融商品取引法166条1項、167条の2第1項)。

①上場会社等の役員、代理人、使用人その他の従業者
②上場会社等の議決権の100分の3以上の株式を保有する株主など
③上場会社等について法令に基づく権限を有する者
④上場会社等の取引先
⑤上記のいずれかの者でなくなってから1年以内の者

また、会社関係者から重要事実の伝達を受けた者は「第一次情報受領者」に当たり、未公表の重要事実に基づく売買等を禁止されます(同法166条3項)。

なお、第一次情報受領者による情報伝達行為は禁止されていません。

また、第一次情報受領者から重要事実の伝達を受けた者(第二次情報受領者)以降は、インサイダー取引規制の対象外です。

3-2. 公開買付者等関係者

「TOBの実施・中止に関する事実」については、「公開買付者等関係者」と「第一次情報受領者」が、インサイダー取引規制の対象です。

以下のいずれかに該当する者は「公開買付者等関係者」に当たり、未公表のTOBの実施・中止に関する事実に基づく売買等や、当該情報の伝達行為を禁止されます(金融商品取引法167条1項、167条の2第2項)。

①公開買付者等の役員、代理人、使用人その他の従業者
②公開買付者等の議決権の100分の3以上の株式を保有する株主など
③公開買付者等について法令に基づく権限を有する者
④公開買付者等の取引先
⑤上記のいずれかの者でなくなってから6月以内の者

また、公開買付者等関係者から重要事実の伝達を受けた者は「第一次情報受領者」に当たり、未公表のTOBの実施・中止に関する事実に基づく売買等を禁止されます(同法167条3項)。

なお、第一次情報受領者による情報伝達行為が禁止されていない点、第二次情報受領者意向がインサイダー取引規制の対象外である点は、重要事実の場合と同様です。

4. インサイダー取引規制違反へのペナルティ

インサイダー取引規制に違反する以下の行為は犯罪とされており、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」が科され、またはこれらが併科されます(金融商品取引法197条の2第13号)。

・未公表のインサイダー情報に基づく売買等
・情報伝達規制違反の伝達行為をし、かつ伝達を受けた第一次情報受領者が未公表のインサイダー情報に基づく売買等をしたこと

さらに、インサイダー取引は課徴金納付命令の対象となり、不正に獲得した利益全額に相当する金銭の納付が命じられます(同法175条、175条の2)。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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