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大企業やメガベンチャーの採用活動が弱体化していく要因

2022.02.16

■連載/あるあるビジネス処方箋

 今なお、「一括採用」「通年採用」の議論をしているメディアや識者がいるが、私が取材する一流の大企業やメガベンチャー企業の人事部管理職はそれとは違うことを話す。

彼らの主な言い分は、次の通りだ。

「大学3年の4月から我々が採用活動をしようとしても、できない時代になるかもしれない。採用活動を始める4年の4月に、欲しい学生が他社に内定となり、私たちの前にいないようにならないか。それが、怖い」。

優秀な学生が3年の春から秋までに内定となり、自分たちが採用活動をする頃にはその時点で内定を獲得できない学生しかいない時代になることを警戒しているのだ。

 昨年秋、人事労務の雑誌で新卒(主に大卒)採用をテーマに大企業やメガベンチャー企業の人事部管理職10人程に取材した。これら8社は売上や経常利益、正社員数で金融、IT、メーカー、商社など各業界で最上位の3社以内に入る。いわゆる、一流企業と言えよう。銀行や信用調査機関からの評価や格付けは、全業界で最も高いグループに位置する。

8社は、新卒採用での母集団形成が成功している。ここ10年、総合職の年平均のプレエントリー者数は10~12万人、本エントリーは1~2万人という。この中からセレクトに次ぐセレクトで、約30~40人を選ぶ。1万人とすると、倍率は300倍を超える。

 定着率も概して高いようだ。30歳前で退職するのは毎年、同期生全体の2割以下という。年によっては1割以下になるとも聞いた。レベルの高い人材が多数ひしめく、「密度の濃い競争の空間」になっている。

 人事部の管理職たちは、人材を育成するのは次の仕組みが必要だと強調していた。

1、大量のエントリー者の中から自社にとってメリットの大きい人を厳選
2、定着率を高め、密度の濃い競争の空間を作る
3、互いに刺激し合い、競争の空間を作る

今回取材した人事部管理職たちは、新卒時の通年採用に関心がなかった。学生が4年の1年間をかけて何度も採用活動をしなくとも、4年の4~5月に数万人以上の学生が押し寄せ、狙い通りの人材を獲得できているからだ。人事部管理職たちは、自社の新卒採用試験の自己採点を「80~90点」と話していた。

 彼らが欲しているのは、現在よりも採用活動のスタートの時期を1年程前にすることだった。つまり、大学3年の4~8月には内定を出したいのだ。この時期に、日本に進出する外資系企業(特に金融やコンサルティング業界)が、優秀な学生を獲得する傾向が年々顕著になっているからだ。

 「大学2年にまで前倒ししよう」とはしていないようだった。その大きな理由には、内定を取り消し、裁判などに訴えられると企業側が不利になるケースが多いことを挙げていた。

 取材した8社のうち3社は現在、大学3年の8~12月には特定のウェブサイトを使い、そこで学生と接点を持つという。学生から質問を受けると、サイトの掲示板で人事部員が答える。やりとりを繰り返す中、親睦を深め、双方の合意でじかに会う機会を設けるようだ。

人事部員が会うと、就職協定順守の姿勢を打ち出している以上、問題になりうるとして学生の在籍大学のOB・OGが1対1で会うようだ。人事部員から渡された評価シートに、OB・OGは学生の印象などを書き込む。人事部員数人でそれを確認し、その後、さらに違うOB・OGが会うケースもある。そこで、4年の4月以降の本試験を受けるように誘う場合があるという。ここまでくると採用活動、つまり、青田買いにしか見えないのだが、人事部管理職らは「あくまで社会貢献活動」と説明する。

 新卒採用のあり方をあらためて見つめ直し、大胆に変えるべきとあらためて思う。30~40年前の感覚のままで「一括採用」「通年採用」の議論をいつまでもしている余裕はない。一流の大企業やメガベンチャー企業が採用活動をしやすい環境をつくり、競争力を高めることが日本の企業や経済界を強くする。ここ数十年、それとは反対のことをしているのではないだろうか。一流の大企業やメガベンチャー企業がスムーズな採用活動をできないようにして「空白の20~30年」と騒いでいるように私には見える。

 読者諸氏は、どのように思うだろうか。

文/吉田典史


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