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なぜ飲める店が少ないのか?DXでクラフトビール流通の課題解決に挑むベンチャーの挑戦

2022.02.10

日本のクラフトビールは昨年500社を超えた。人気が根づきつつあるクラフトビールだが、飲める店はまだビアバーか、酒の品揃えのいい店に限られている。大手と違って、小規模な醸造所のビールを扱う問屋が少ないからだ。そんなクラフトビールの流通の穴を埋めようと、ビールを愛するベンチャーが立ち上がった。

クラフトビール界にこそDXを

2年前の春。コロナ禍が本格化し、緊急事態宣言が発出されたころ、いちはやくクラフトビール醸造所の倒産ラッシュを案じ、ファンが買い支えようと提言したのが、醸造所のIT化を事業とするBest Beer Japanの代表ピーター・ローゼンバーグさんだ。「ビールで人生にフレーバーを」をモットーに、日本のクラフトビールのEC化や、ビール樽のシェアリングサービスを行っているベンチャーである。

Best Beer Japan代表のピーター・ローゼンバーグさん。2007年に国際基督教大学の交換留学生として来日。2018年にBest Beer Japan創業。

あれから2年。Best Beer Japanはシードラウンドで7000万円の資金を調達し、業務店向けのクラフトビールのプラットフォームを立ち上げた。オンライン上の卸問屋のような場になる。日本にはビールを扱う問屋はたくさんあるが、クラフトビールが充実した問屋はない。取り扱う量がごく少ないことを考えれば、流通に中間業者がいないのは不思議ではない。

しかしピーターさんは、ここに日本のクラフトビール業界の問題を見出した。

「醸造所は飲食店から1軒1軒、受注のメール、店によってはファックスや電話で注文が来ます。その受注から納品、請求まで、ほとんどが手作業で行われています。クラフトビール醸造所の7割以上は10人以下の小さな会社です。こうした作業を効率化していかないとキビシイです。クラフトビール業界にこそ、DXこそが必要です」

一方で、醸造所にビールを発注する飲食店側の手間も、大手のビールメーカーと比べものにならないほど煩雑だ。クラフトビールはなんといってもロットが小さい。管理も注文も頻繁になる。定番はともかく、限定醸造ビールが多く、注文してもすでにSOLD OUTはめずらしくない。飲食店は、あまたの醸造所のリリース情報を一軒ずつチェックしながら在庫のあるビールを発注しているのだ。

「これを閉店後の夜中に行っている店も多いですよ」とピーターさん。

飲食店にしても数名のスタッフで切り盛りしている店は多い。発注に手間をかけていられず、大手のビールばかりになってしまう図は想像に難くない。

日本のクラフトビール業界に中間業者がいないのは、酒税制上の理由もあるとピーターさんは話す。

「アメリカではクラフトビール業界にも問屋があります。酒税を支払うのは中間業者なので、問屋を通さなければならないからです。日本は製造元が払う仕組みですよね」

ビアバー以外のあらゆる店にクラフトビールが広がるかも

小規模なクラフトビール業界にこそ中間業者=問屋が必要。というのがピーターさんの考えだ。

すでにBest Beer Japan はクラフトビール醸造所向けにECサイト化のサービス、樽のシェアリングサービスを始めている。醸造所と業務店の間の、まさに中間業者として、ITに強いコンサルタント的な役目を務め、この2年間で取引先は50社を超えた。今回のクラフトビールプラットフォームのローンチは、「これらすでにEC化されたサイトがあるからこそ可能でした」とピーターさんは話す。「醸造所は既存のECサイトをそのまま使えるので追加コストはかからず、業務店に対しては現在、登録受け付け中です。目標は、まずは1000店です」

業務店専用クラフトビールのECサイトがオープン。

醸造所も業務店も参加社が多ければ多いほど、メリットはスケールアップする。

「今までクラフトビールが飲める主にビアバーでした。“最近、人気のクラフトビールをウチの店にも置きたいと思うけれど発注業務の大変過ぎて”置けないというレストラン、飲み屋さんがいます。弊社のプラットフォームではクラフトビールに詳しくなくても、仕入れたいビールのスタイルや量を入力すれば、おすすめのビールをご提案することができます。料理とのマッチングもできますよ」

3年ほど前から醸造所の業務を効率化するために、Best Beer Japanとシステムの共同開発してきた秩父麦酒(埼玉県)の代表、丹広大さんに話を聞いた。

「これまでも地域によっては大手の酒販店など、クラフトビールも扱う問屋的な存在はありましたが、流通は一部の地域にかぎられていました。クラフトビールECサイトのモール化によって、全国にクラフトビール情報が行き渡るのは、とてもいいことだと思っています。これまでクラフトビールが届かなかったお店にも広がっていくかもしれませんね」と期待を寄せる。

業務店向けのプラットフォームであるが、うまく回れば、ビールファンにもメリットが出てくる。現状、日本のクラフトビールはまだまだ高い。1パイント(約480ml)の値段は平均でアメリカでは770円、日本は1100円というデータがある。まだ高いのだ。クラフトビール業界のDXが進むことで、より多くの醸造所のコストが下がり、より多くの飲食店が扱うようになれば末端価格も低下するかもしれない、と期待したい。

取材・文/佐藤恵菜

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