
オミクロン株の感染者が爆発的に急増し、今後ますますリモートワークが進むと思われる。しかし、リモートワークではONとOFFの切り替えがうまくできず、PC画面を延々と見続けてしまった……なんてことも。
そのダメージの筆頭といえば眼精疲労。目が疲れると仕事のパフォーマンスは格段に下がる。マッサージに行って目の疲れをとりたいが、施術者と密に接するのは今は避けたい。
そこで、顔ツボを押してセルフケアできるメソッドを教わってきたので、読者のみなさんとシェアしていきたい。
リラックスの副交感神経と目のピント調節筋はつながっている!
リフレクソロジーという足裏マッサージを受けたことのある人は多いだろう。足裏にツボがたくさんあるように、じつは顔にもツボがたくさんあるのだ。それ故、顔ツボを押す施術は『フェイシャルリフレクソロジー』と呼ばれている。
『美肌をつくる顔のツボ・反射区 綿棒で1分押し! フェイスマッピング』(学研プラス)の著書を持つ美容アナリスト・顔ツボセルフケア研究家の奈部川貴子さんは、世界中の顔のツボ療法やフェイシャルリフレクソロジーを研究し、独自メソッド『フェイスマップ』を開発している。
奈部川さん「スマホ、PC中心のリモートワークは目を直撃し、自律神経のバランスを乱します。特にスマホ、PCの利用時には目のピント調節筋といわれている『毛様体筋』がとても疲れるのです。
毛様体筋の働きは、フォトグラファーが撮影時にカメラのレンズを動かす動作に似ています。スマホやPCを近くで見るため、毛様体筋がずっと収縮・緊張して筋肉疲労状態になっているんですね。
ここに老眼が重なると、ますます毛様体筋が疲れるのです。
毛様体筋を収縮させ、動かしているのは自律神経である副交感神経。毛様体神経節というところから伸びているのです」
だからこそ、毛様体神経節にアクセスできる可能性があり、目もとの疲れにもいい顔ツボを押そう、というのがフェイスマップの理論である。
奈部川さん「このツボは、森ノ宮医療大学 中村辰三先生の研究によるものです(※)。実際には鍼を刺して検証しているので同等の効果があるとはいえませんが、綿棒やツールなどでツボを押すだけでもかなり体感があります。
下の画像の『目の下』にあるツボです。
『目の上、眉頭』にあるツボは、近くを見るときに酷使する筋にアクセスし、やはり目の疲れにいいツボ。この2つのツボを綿棒やツールなどで5秒くらい押すのがコツです。イタ気持ちいいくらいの力加減にしてくださいね」
ブルーライトは網膜にまで到達し、目を激疲れさせる
もちろん、眼精疲労はリモートワークだけが原因ではない。我々は朝起きてから夜寝るまで、常に目から“光る情報”を吸収している。スマホ、PC、テレビ、電子書籍、ゲーム機器など、1日中発光する何かを見続けて目を酷使している。
奈部川さん「特に長時間スマホやPCを見続けると、目のまわりの筋肉が緊張して血流が悪くなります。
さらに、スマホなどのLEDディスプレイに多く含まれる『ブルーライト』。これは、目に見える光の中でもっとも波長が短く、強いエネルギーを持っています。そして、目の表面(角膜や水晶体)で吸収されず、網膜にまで到達。
夜、暗いところでスマホを見続けると、ブルーライトを取り込もうとして瞳孔は開きますが、近くを見るために瞳孔は縮まろうとします。このように相反する動きを強いられて、目はひどく疲れるんですね。
こんなとき、私たちは目もとに手を当てる“手当て”という動作をします。
しかし、手を当てただけではツライ目の疲れは解消しません。そこでオススメなのがフェイスマップでの顔ツボセルフケアです。
目が疲れたときにツボをグーッと心地よく押せる専用ツールを作りました。
目頭を抑えるような感じで当てると、『睛明』というツボにグイッと入ります。ツーンとした気持ち良さと共に、目の疲れもスッキリしてくることが期待できます。
別の使い方もあって、頬骨に向かって押し上げるよう動かすと、顔のむくみがスッキリしてきます」
そもそも『フェイスマップ』って何なの?
前述したように、顔にはたくさんツボがあることはわかった。しかし『フェイスマップ』というのは、そもそも何なのだろうか?
奈部川さん「フェイスマップで用いるツボは、中医学の頭頸部療法で使われるツボを軸に、いくつかの特殊鍼灸で用いられるツボや、内臓反射点というツボ、鼻鍼治療のツボ、顔の筋肉との関わりが深い顔筋ツボ、海外のアイケアセラピーで使われているツボ、アーユルヴェーダのマルマセラピーのツボ、などなど、複数の流派のツボを検証して考案しました」
※)参考文献
現代社会における近見反応の役割
小野里規子1), 原直人1,2)
1)国際医療福祉大学病院 眼科,
2)国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科
神経眼科 36(4): 397-403, 2019.
毛様体神経節刺鍼法を活用し, 視力が回復した症例
中村辰三 森ノ宮医療大学
医道の日本 66(9): 70-73, 2007.
奈部川貴子(なべかわ・たかこ)さん
美容アナリスト。顔ツボセルフケア研究家。ディエンチャン顔反射療法アドバンスセラピスト。ソレンセン式顔反射療法セラピスト。望診法初級指導士。長年、美容ジャーナリストとしてスキンケアを取材。現在はサロンワークやワークショップの他、国内外の化粧品メーカーへの講演指導などを行っている。
関連情報
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取材・文/ウェルネス・ジャーナリスト 藤田麻弥
雑誌やWebにて美容や健康に関する記事を執筆。美容&医療セミナーの企画・コーディネート、化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンス(科学的根拠)のある情報を伝えるべく、医学や美容の学会を頻繁に聴講。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研プラス)がある。