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通常の訴訟に比べて費用、時間、労力が抑えられる「少額訴訟」の基礎知識

2022.02.14

一般的に、訴訟(裁判)には非常に長い時間がかかります。

当事者間の対立が深刻なケースでは、半年から1年以上を要するケースも珍しくありません。

しかし、「少額訴訟」を利用すれば、60万円以下の債権を迅速に回収できる可能性があります。

費用・時間・労力を懸念して、債権回収を諦めかけていた方は、一度少額訴訟の利用をご検討ください。

今回は、少額訴訟の特徴・利用要件・費用などをまとめました。

1. 少額訴訟の特徴(メリット・デメリット)

少額訴訟は、通常の訴訟に比べると、簡易・迅速かつ柔軟な手続きとなっています。

1-1. 原則として1回の期日で完結する

通常訴訟では、口頭弁論期日を何度も繰り返して審理が行われます。

これに対して少額訴訟では、審理が原則として1回の期日で完結するのが大きな特徴です(民事訴訟法370条1項)。

債権回収に関する紛争を迅速に解決できる点は、両当事者にとってのメリットと言えるでしょう。

1-2. 控訴が認められていない(異議申立てのみ)

少額訴訟は、通常の訴訟とは異なり、上級裁判所に再審理を求める「控訴」が認められていません(民事訴訟法377条)。

判決に不服のある当事者に認められているのは、同じ裁判所に対する「異議申立て」のみです(同法378条1項)。

異議申立ては、控訴審よりも簡易的な手続きで行われるため、判決確定までの時間と労力が大幅に省略されます。

判決に不服のある当事者にとっては、控訴が認められていない点はデメリットですが、審理の迅速化という観点からはメリットと言えます。

1-3. 分割払い・支払い猶予・遅延損害金免除の可能性あり

少額訴訟では、通常の訴訟では認められていない、分割払い・支払い猶予・遅延損害金免除の判決がなされることがあります(民事訴訟法375条1項)。

被告に資力がないケースが多いことを考慮して、柔軟な支払い方法を定めることができるようにするため、上記のような判決が認められています。

原告にとっては、通常の訴訟よりも不利な内容の判決になる可能性がある点で、デメリットとなり得るポイントです。

その一方で、被告から現実に支払いを受けやすくなる側面もあるため、一長一短と言えるでしょう。

2. 少額訴訟の利用要件

少額訴訟は、以下の2つの要件を満たす場合に限って利用できます。

2-1. 60万円以下の金銭支払いの請求であること

複数の請求を行う場合、その総額が60万円以下であることが必要です。

また少額訴訟では、金銭債権以外の請求を行うことはできません。

2-2. 少額訴訟の提起が年間10回以内であること

少額訴訟を原告として提起できるのは、年ごとに10回までとされています(民事訴訟規則223条)。

したがって、すでにその年に10回以上少額訴訟を提起している場合には、次の年になるまでの間、少額訴訟を提起することはできません。

3. 少額訴訟の手続きの流れ

少額訴訟は、大まかに以下の流れで進行します。

3-1. 原告による訴状・証拠書類の提出

請求内容や法的根拠などを記載した訴状と、主張する事実を立証する証拠書類を提出します。

提出先は原則として、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所です(民事訴訟法4条1項。請求内容等によっては、別の簡易裁判所に提出できる場合もあります)。

裁判所に提出した訴状は、被告に直送しなければなりません。

3-2. 被告による答弁書・証拠書類の提出

訴状を受け取った被告は、裁判所が指定する期日までに、原告の主張に対する反論を記載した答弁書と、反論に係る事実を立証する証拠書類を提出します。

答弁書についても、原告への直送が必要です。

なお被告は、裁判所に対して通常の訴訟への移行を申述することもできます(民事訴訟法373条1項)。

この場合、申述があった時点で、少額訴訟から通常の訴訟へ移行します。

3-3. 期日に向けての準備

訴状と答弁書が出そろった段階で、原告・被告の双方は、期日に向けてさらなる準備を整えます。

たとえば追加の証拠書類を準備したり、必要に応じて証人に出廷を依頼したりします。

3-4. 期日(審理・和解・判決)

期日当日には、提出されたすべての書面と証拠書類を総合して、1日で一挙に審理が行われます。

証人の申請がある場合には、証人尋問も行われます。

審理の途中では、裁判所が当事者双方に対して和解を提案することもあります(民事訴訟法89条)。

両当事者が和解に合意した場合、和解調書が作成されて手続きは終了です。

和解が成立しない場合には、審理の終了後、原則として即日で判決が言い渡されます(同法374条1項)。

3-5. 判決の確定

判決に不服がある当事者は、判決書の送達を受けた日から2週間以内に、同じ簡易裁判所に対して異議申立てができます(民事訴訟法378条1項)。

異議申立てが棄却された場合や、適法な異議申立てがないまま2週間が経過した場合には、少額訴訟の判決が確定します。

4. 少額訴訟にかかる費用は?

少額訴訟にかかる主な費用は、以下のとおりです。

4-1. 訴訟費用

請求額に応じて、収入印紙を購入して訴状に貼付する必要があります。

少額訴訟の場合、訴訟費用は10万円までごとに1000円です(民事訴訟費用等に関する法律4条1項、別表第一)。

(例)
請求額25万円→訴訟費用3000円

4-2. 郵券

少額訴訟を提起する際、郵便物の送達などに用いるため、裁判所に郵券(郵便切手)を納付する必要があります。

金額は裁判所や当事者の数などによりますが、おおむね数千円程度です。

4-3. 弁護士費用(依頼する場合)

弁護士に訴訟代理人を依頼する場合には、弁護士費用がかかります。

少額訴訟の場合、請求額の3割前後となるケースが多いと考えられますが、具体的な金額は弁護士によって異なります。

なお、少額訴訟の代理業務は、法務大臣から簡裁訴訟代理等関係業務を行う能力についての認定を受けた司法書士(認定司法書士)にも依頼が可能です。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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