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静岡・丸子の清涼で豊かな天然地下水を味わう絶品〝汁なしとろろそば〟

2022.02.06

人間は水がなければ生きていけない動物だ。

地球は「水の惑星」とも呼ばれるが、淡水はごく僅かである。実は、地球上にある水のほとんどが海水なのだ。しかも「人間がそのまま飲むことのできる淡水」という条件をつければ、割合はさらに少なくなってしまう。

そんな「貴重な資源」である地下水を使った食品をご紹介したい。

徳川太平期に栄えた宿場町

静岡県静岡市駿河区丸子。ここは江戸時代、東海道五十三次の中で最も小さな宿場町「鞠子宿」で栄えた地域である。

鞠子宿が世界美術史に間接的ながら影響を与えていることは、あまり知られていない。歌川広重の『東海道五十三次・鞠子宿』はフランスの画家クロード・モネに技法的なインパクトを与え、連作『積みわら』にそれが生かされたのだ。2022年の今でも、丸子には木造の旧家が点在する。

三河の瓦職人の白井家が丸子にやって来たのは、今から400年以上前のこと。駿府城を築城するためにこの地へ移住したという。

「三州瓦を生産する愛知県高浜市は、今も白井姓が多いんですよ」

有限会社しらい酒店代表取締役の白井照之氏は、駿府城建設に関わった瓦職人の子孫だ。なお、この駿府城は現在発掘作業が進められ、金箔貼りの瓦などが発見されている。

「我が家は100年毎に商売替えをしてきました。丸子移住から100年後には、旅籠を営むようになります。ここは鞠子宿として栄えましたから」

権力の座が豊臣から徳川に移ると、日本は歴史上稀に見る太平時代に突入した。

その結果実現したのが、東海道を始めとする安全な街道とそれに連なる宿場町だった。

鞠子宿の名物といえば、とろろ汁である。自然薯をすりおろしたものを麦飯にかけて食べる。これは今で言うハンバーガーか牛丼みたいなものだったのかもしれない。江戸時代のファーストフードだ。ヨーロッパでは太陽王ルイ14世の軍隊が大戦争を繰り広げていた頃、日本人は穏やかな日々を享受しながらとろろ汁をすすっていた。

徳川の太平あってこその光景である。

とろろ汁だけで食べるそば

「我が家のとろろそばは、汁がありません。本当にそばにとろろだけかけて食べる。これが一番美味い食べ方なんだと、父がよく言っていました」

白井家のとろろそばは、まるで油そばのような食べ方をする。とろろ以外の汁を一切入れないのだ。これが静岡独特の食べ方、というわけではない。この家ならではの風習もしくは文化、と書けばいいか。

そんなとろろそばを冷凍食品にし、日本全国に配送できる形にするという計画が進行されている。

「食品を冷凍にするのは非常に難しいですね。一度冷凍したとろろを解凍すると、ベシャベシャになってしまいます。それをいろいろな工夫で解決して、そばもどんなものを使ったらいいのか試行錯誤を重ねて……。これが試作品なんですが、そこからさらに改良して味も色合いも変わっています」

この冷凍とろろそばはクラウドファンディングMakuakeで出資金を集め、いよいよ配送されるに至った。食べる際は電子レンジで加熱するか、冷蔵庫内で自然解凍させる。

「汁なしの意義はもうひとつあります。それは水の問題です」

丸子の水

白井氏は、丸子を「水のまち」と呼んだ。

この地域は豊富な地下水脈に恵まれている。実は白井家は公共の水道を使っておらず、丸子移住以来の先祖から受け継いできた井戸水で生活用水をまかなっている。

「このそばは、茹でる時も洗う時も我が家の井戸水を使っています。ミネラルに富んだ、極めて良質な地下水です。ところが、これを通常の「汁ありとろろ蕎麦」として濃縮そばつゆ付のセットにし、各々の場所の水でそばつゆを作ったとしたらどうでしょうか? その時点で、丸子の水とはまったく違う水が入ってしまうはずです」

水道水の質は、自治体によってまちまちである。丸子の水を100%味わってもらうには、汁なしそばという方法しかない。そして水はほかに代用の利かない貴重な資源である、と白井氏は力説した。

水に恵まれた土地

この時、筆者はかつて訪れたインドネシア東ヌサ・トゥンガラ州の光景を思い出していた。

インドネシアは降水量の多い国ではあるが、東ヌサ・トゥンガラ州は乾燥した地域。しかも起伏の激しい火山島のため、降った雨の大部分が海に流れてしまう。そのため、飲料水が常に不足している土地なのだ。ミネラルウォーターの価格は首都ジャカルタの倍、集落によっては3倍もする。

また、海底火山の噴火被害に見舞われている最中のトンガは、飲料用も含めた生活用水を雨水の蓄積に頼っている。が、火山灰が降り注いだことによりタンクの中の水が汚染され、飲料水を確保できない状態におちいっているという。

丸子のように清涼な川と豊かな地下水脈の両方に恵まれている土地は、地球上では例外的な環境なのだ。

その水を存分に味わってほしい、という白井氏の意気込みに筆者は胸を打たれてしまった。

「井戸の水」から生まれた商品

しらい酒店が販売する特別純米酒『鞠子の宿』も、命の源と言うべき地下水を使ったものである。この酒もとろろそばとセットのリターン品として、Makuakeで出資を受け付けている。

とある旧家が代々継承してきた井戸の水が、魅力的な商品をいくつも生み出している事実に我々はもっと注目するべきかもしれない。

現在の日本は新型コロナの変異株により、再度の苦境を余儀なくされている。旅行をキャンセルしたという人も少なくないだろう。が、だからこそ今まで気づきもしなかったことに気づかされる瞬間がある。

我々の住む国はこんなに豊かでこんなに広くてこんなに面白かったのか、という具合に。

【参考】
お米が貴重だった頃の汁なしの「とろろ蕎麦」を皆さんに味わって頂きたい!-Makuake

取材・文/澤田真一

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