
世帯収入で教育に関する意識、教育費に大きな差
収入に余裕がある世帯は教育費を増やし、一般的な世帯では教育費を増やせない現状が浮き彫りに。ARINAが運営する幼児、小学生の親向けの教育メディア「おうち教材の森」は日本全国の中学生以下の子を持つ親を対象に「コロナ禍における家庭学習調査」を実施した。
回答者の半数以上が子どもの教育にマイナスの影響であったと回答。プラスの影響はわずか2%。コロナ禍の長期化が、教育に与える影響が懸念される。
中学生以下の子をもつ家庭のうち37.3%が収入が減少したと回答。「変わらない」を含めると97%の家庭の収入が増えていないことが分かった。一方で、食料品やガソリンなど物価上昇は続いており、苦しい家計状況が示唆される。
収入の増減を年収別でまとめた。収入400万以下の層では「減った」と回答したの56.4%であるのに対して、収入800万円以上の層では「減った」と回答したのは11.9%と大きな差があった。「変わらない」と回答した人の数も、収入400万円以下の世帯と収入800万円以上の世帯では大きな差となった。
【考察】
結果から、コロナ禍で所得格差が広がっていると示唆される。年収が高い世帯は給料が安定した大企業に勤めている割合が大きいのに対して、年収が低い世帯は非正規社員やサービス業が多く、コロナ禍の打撃を受けやすかったと推測される。
年収800万円以上の世帯は収入の減少が少ないにも関わらず、子どもの教育に対して「コロナ禍がマイナスの影響」と考えている割合が多いことが分かった。世帯収入の増減には関係なく、世帯収入が高いほど、コロナ禍における教育への影響を懸念していることが分かる。
コロナ禍での教育費は「変わらない」と回答した人が78.7%、「増えた」は15.3%、「減った」は6.0%。世帯収入は減少傾向にあるが、子どもの教育費は維持もしくは増加している世帯が多く、教育費が占める割合が増えていることが示唆された。
また、教育費は維持している世帯の中でも、家庭学習にかける費用は増加傾向に。コロナ禍で、塾や習い事が難しい状況の中、家庭学習へ投資する家庭が増えていることが示唆される。
1人の子にかける家庭学習費を年収別に並べた。収入400万円以下の世帯と収入400~800万の世帯では、家庭学習費がほとんど変わらない。一方で、収入800万以上の世帯では、他の世帯よりも家庭学習費が高い傾向にあった。
【考察】
世帯収入400万円以下でも、世帯収入800万円でも教育費の絶対値に変化はなく、教育費に投資できない環境は変わらないと推測できる。これは、多少の政策・経済環境で収入が増えても教育費が増えない可能性があることを示唆している。
コロナ禍で教育環境が悪化し、「マイナスの影響の影響がある」と回答している人が多い中、余裕をもって教育費に投資できる世帯収入は少なくとも800万円以上が必要。
日本の平均世帯年収が500万弱であり、年々減少している社会において収入800万円以上得るのは容易でない。収入に余裕がある世帯は教育費を増やし、一般的な世帯では教育費を増やせない現状が示唆され、コロナ禍で教育格差の広がりと、教育全体の質低下が懸念される。
アンケート調査の概要調査対象:中学生までのお子さんがいる保護者対象人数:300人
調査方法:インターネット調査
調査主体:ARINA株式会社、おうち教材の森
調査時期:2022年1月24~25日
構成/ino.