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「カレーの食習慣」は高齢者の認知機能維持に寄与する可能性、ハウス食品などが研究で明らかに

2022.02.06

カレーの長期的かつ頻繁な摂食と良好な認知機能との関係を確認

日本の国民食とも言えるカレーには健康増進に効果があるとされる様々なスパイスが用いられており、実際にスパイス由来の抗酸化物質や抗炎症物質が多く含まれていることから、健康に良い食品と考えられる。

ハウス食品グループは東京大学 五十嵐中客員准教授、二松学舎大学 小久保欣哉准教授との共同研究で、カレーを長期的かつ頻繁に摂食する食習慣は良好な認知機能と関係していることを確認した。

日本人対象の疫学研究では初となる結果だった。この研究成果を2021年11月21日に御堂会館(大阪市中央区)にて開催された第28回 日本未病学会学術総会で発表した。

研究概要

50歳以上の一般生活者を対象に、「調査直前1年間」(短期)と「成人以降で調査1年前まで」(長期)のカレー摂食頻度について、認知機能との関係を明らかにした(図1)。

調査直前1年間のカレー摂食頻度に基づき、月2回以上を「高頻度群」、月2回未満を「低頻度群」とし、両群間で性別、年齢、Body Mass Index、Charlson Comorbidity Index(併存疾患の指数)、職業の分布が等しくなるよう層別マッチングを行い、各群1002人ずつを対象とした。認知機能の測定には、認知症の総合的アセスメントツールであるDASC-21を用いた。

DASC-21の合計点を被説明変数、カレー摂食頻度やそれ以外の生活習慣(直近3か月間の喫煙習慣、直近1年間の運動習慣、食習慣「半定量食物摂取頻度調査票」、年収)を説明変数として多変量解析(ポワソン回帰)を行った。調査はメディリードに委託して行った。

1.    長期のカレー摂食頻度では、「月1回未満」を1とした場合の認知機能スコアのリスク比が「月1回」で0.834、「月2~3回」で0.754、「月4回以上(週1回以上)」で0.718と有意に低くなった。すなわち、長期のカレー摂食頻度が高いほど、認知機能が有意に良好(図2)。一方で、短期のカレー摂食頻度と認知機能の間には関係が見られなかった。

2.  短期のカレー摂食頻度「高頻度群(月2回以上)」だけ、または「低頻度群(月2回未満)」だけでも同様の解析を行った。

高頻度群においても、長期の摂食頻度が「月1回未満」より「月1回」で有意に認知機能が良好であることが判明した。一方で、低頻度群では長期のカレーの摂食頻度と認知機能との間に関係が見られなかった。長期のカレー摂食頻度と認知機能との関係については、短期のカレーの摂食状況も重要であることが分かった。

まとめ

日本人の中高齢集団において、カレーを長期的にかつ高頻度に摂食してきた習慣は良好な認知機能と関連する可能性が示唆された。 カレーの食習慣が認知機能維持に寄与している可能性が考えられたため、今後カレー摂食が認知機能に及ぼす影響について詳細に検討する予定だ。また、カレーやスパイスの摂食が他の健康機能に及ぼす良い影響についても継続して研究を行うという。

1) Ng TP, Chiam PC, Lee T, Chua HC, Lim L, Kua EH., Curry consumption and cognitive function in the elderly, Am J Epidemiol. 2006 Nov 1;164(9):898-906. doi: 10.1093/aje/kwj267. Epub 2006 Jul 26.,PMID: 16870699

認知症患者の将来推計

高齢化に伴う認知症患者の増加は、深刻な社会課題になることが予想されている。

カレーの健康機能に関するこれまでの研究

第一弾(2014年)

血管内皮機能の改善効果を確認。カレー摂取で動脈硬化予防の可能性。

広島大学東幸仁教授との共同研究で、カレーに動脈硬化予防で重要な役割をはたす血管内皮機能を改善する効果があることを2014年に報告した。酸化ストレスの増大によると考えられる食後の血管内皮機能低下がカレー摂取後では見られず、むしろ改善することが分かった。

FMD(Flow-Mediated Dilation)は血管内皮機能を測定する指標だ。

血圧測定と同様に一時的に腕の血流を止めた後に、血管の拡張率をFMD値として求めます。FMD値は、数値が高い方が血管がしなやかに拡張でき、血管内皮機能が健康であると言える。健常値の目安は6%以上で、5%未満で血管内皮機能障害が疑われる。

第二弾(2019年)

カレー粉およびカレー粉に含まれる複数のスパイスに、PM2.5による炎症反応を抑える効果を確認

~カレー摂取がPM2.5による呼吸機能低下を改善する可能性~

ハウス食品は、京都大学 高野裕久教授との共同研究で、カレー粉およびカレー粉に含まれる4種類のスパイス(クローブ、ウコン、コリアンダー、桂皮)に、PM2.5*)によって引き起こされる炎症反応を抑える効果を確認した。

PM2.5による呼吸機能低下を予防する対策として、複数のスパイスを含むカレーの摂取が有用である可能性がある。この研究成果を、2019年2月1日から3日に開催される第89回日本衛生学会学術総会(名古屋市 名古屋大学東山キャンパス)にて発表。

*) PM2.5は、石炭や石油といった化石燃料や薪などのバイオマス燃料、タバコの燃焼などによって生じる2.5μm以下の粒子状の大気汚染物質のことで、非常に粒径が小さいために肺の奥にまで入り込み、細胞を傷つけ酸化ストレスや炎症反応を生じる。

PM2.5の吸入は気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器系疾患や循環器系疾患などの危険因子と考えられているが、非常に小さいために、マスクなどで吸入を完全に防ぐことは困難だ。

今回の結果から、これまでの報告でカレーの摂取量が多い人で呼吸機能が維持されていたことの理由として、カレー粉の抗酸化作用を通じた抗炎症作用によるものである可能性が示された。

酸化ストレスや炎症反応は呼吸機能障害以外にも多くの疾患に関与していることが知られており、抗酸化・抗炎症作用の高いカレーの摂取は、様々な健康機能を改善する可能性がある。

構成/ino.

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