
大手旅行会社のクラブツーリズムは、月額550円のサブスクリプションサービス「クラブツーリズムパス」を運営する。携帯キャリアauを運営するKDDIとの協業で、旅行だけではなく趣味を軸としたコミュニティ形成を見込んだ事業だ。
商品に価値を見出すモノ消費から、体験を重視するコト消費へ。他のあらゆる業界と同じように、変化が加速する旅行業界の今を聞いた。
安価でもりだくさんの旅が楽しめるバスツアーは、幅広い人気を集める旅行商品の定番だった。しかし、近年では徐々に勢いは衰え、コロナ禍で需要は伸び悩んだ。
いっぽうで、歴史や鉄道など趣味を深堀りするテーマ型の旅行に対するニーズは、コロナ禍でも根強く残ったという。「のんびりしたい」「美味しいものが食べたい」といった浅く広いニーズに応える旅行ではなく、地域の歴史家の話を聞いたり、鉄道カメラマンから撮影のコツを学ぶような、「オタク」的な深く狭い旅行だ。
そこで軸となるのが、共通の趣味を持つ人が交流する「コミュニティ」だ。同社は以前から、テーマ型の旅行を通じて、同じ趣味を持つユーザーのコミュニティ形成を得意としてきた。
「クラブツーリズムパス」では、月額550円でオンライン講座が学び放題、電子書籍が読み放題となり、テーマ旅行などの先行予約や割引特典も受けられる。
「クラブツーリズムは旅行会社というより、コミュニティサービスの会社であるという意識」と同社。「クラブツーリズムパス」によってオンラインに趣味を深堀し仲間と出会う場を作り、リアルの旅行と行き来をすることによってハイブリッドなコミュニティを構築していく、というようにビジネスの全体像が改められていく。
必要なのは、それぞれの趣味や価値観に深く刺さる多様な商品の開発(多品種少量生産)と、求める人に効率よく商品を届けるデジタルの活用。旅という普遍的な楽しみも、ニューノーマルに向けて変わろうとしている。
取材・文/ソルバ!
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