
ヒューマングローバルタレント「英語力が年収に与える影響について」調査
外資系企業の年収は日系企業よりも高いイメージを持たれており、ヒューマングローバルタレントが運営する転職・求人情報サイトDaijob.com登録者を対象に過去に行なった調査でも、英語力の高い人材の方が英語力の低い人材よりも、高年収になる傾向が見られた(https://corp.daijob.com/news/news/20201120)。
コロナ禍においては、外資系・グローバル企業の求人が一時的に減少する状況にもなったが、人材の動向はどうだったのだろうか?
そこでヒューマングローバルタレントは、先行き不透明な状況においても、企業からスカウトを受けていた人材の傾向を英語力別に調査した。
1.企業からスカウトを受けた人材の90%以上が英語レベルビジネス会話以上
Daijob.com登録者で企業からスカウトを受けた人材(日本国籍)は、約90%以上が「英語レベルビジネス会話以上」で、主に30代のミッドキャリア層が中心、女性が10%ほど多い結果になった。
2.英語力の違いによって、50代の男性で1.3倍、40、50代の女性で1.6倍の年収差
男性と女性に分けて、企業からスカウトを受けたビジネスパーソンの平均年収を比較すると、男性は30代で一時的に国税庁の調査結果の平均を下回るものの、それ以外の年代では英語が「ビジネス会話レベル以上」の人材の年収が高く、50代では国税庁の調査結果に比べて1.3倍多い結果になった。
また、女性の平均年収の比較では、全年代を通して英語が「ビジネス会話レベル以上」の人材の平均年収が高く、40・50代では国税庁の調査結果と比べて1.6倍の差が開いた。
英語力による年収差は、男女ともに20・30代では大きな差がないものの、年齢が上がるにつれて年収差が開いていった。
特に女性は、英語力を活かして仕事をすることにより、生涯年収で大きな差が生じることが、この調査結果から明らかになった。
3. 最終経験職種別の平均年収を英語力別で比較すると、「エグゼクティブ/経営」と「電機(電気/電子/半導体)」が、1.8倍の年収差
最終経験職種別の平均年収を英語力別に分けたところ、1職種を除いて、ビジネス会話レベル以上の方が平均給与が高い結果となった。
一番大きな差が開いたのは、「エグゼクティブ/経営」で1.8倍。英語力を活かしたグローバル規模の企業経営や成果主義によって、高年収を得ていると推測できる。
同じく1.8倍の差が開いた職種には、「電機(電気/電子/半導体)」もあげられる。国をまたいだ電機・電子部品の開発プロジェクトの進行や、生産設備の管理など、英語力+特殊な知識を活かすことにより、高年収を望むことができると考えられる結果となった。
■調査結果を受けて
ヒューマングローバルタレント株式会社 代表取締役 横川 友樹氏
年収は、「会社」対「個人の能力」の需給バランスによって決まってくることが伺えます。仕事を行う上で、英語力はビジネスツールの1つになり、そのツールを持つことで、キャリアの選択幅は大きく広がります。
特に40・50代で英語力の高い人材は、国内の人材市場において希少価値の高い語学力に加え、各分野のキャリアを積まれることで、さらに希少価値が高まっていきます。
一方、現在の日本において、若い世代はまず仕事を覚えながら自律することが優先され、英語力による職務上の責任は、あまり問われない傾向にあります。
ただし、今後グローバル化がさらに進み、日本国内でもジョブ型雇用が推進されるに従い、個人の能力を年齢で画一的に捉えることが減少し、‟個“で捉えられるようになると予測しています。英語力の有無により、若手のうちから、ますますキャリア形成に差が生まれることになっていくと考えています。
<プロフィール>
2007年に早稲田大学スポーツ科学部卒業。株式会社ベイカレント・コンサルティングにてビジネスプロデューサー職を担当後、2010年よりヒューマングローバルタレント株式会社にて勤務。メディア営業部、事業推進室、人材紹介部にて営業・マーケティング業務を経て、2020年より現職。グローバル人材の採用において、1200社以上に携わってきた経験を活かし、当社主催イベントをはじめ、経済産業省、厚生労働省が後援するビジネスサミットに多数登壇するなど、グローバル人材の転職市場に深い知見を持っている。
調査概要
今回の調査対象者は、ほぼ日本在住者で、大卒以上のミッドキャリア人材。
【調査期間】2020年10月~2021年9月
【調査対象】Daijob.comに掲載している企業からスカウトを受けた日本国籍で20代~50代のDaijob.com登録者
【調査人数】14,008人(男性・6,271人 女性・7,737人)
構成/DIME編集部