
悲しい記憶を酒で紛らわす女性が目撃したのは、本物の殺人事件なのか、それとも幻覚なのか……?
2022年1月28日より独占配信中のNetflixシリーズ『窓辺の女の向かいの家の女』は、アメリカで制作されたサスペンス・コメディ。
主演は『アナと雪の女王』シリーズ、『ヴェロニカ・マーズ』『ゴシップガール』のクリステン・ベル。
あらすじ
3年前に幼い娘を亡くし、さらに離婚も経験したアナ(クリステン・ベル)。
元夫のダグラス(マイケル・イーリー)は、FBIプロファイラーであり司法精神医学の専門家だ。
ワインと薬で悲しみと孤独を紛らわす日々を送るアナだったが、ある日向かいの家に魅力的なシングルファザーの男性ニール(トム・ライリー)とその娘エマが引っ越してきた。
ニールとの恋の予感に胸を弾ませるアナ。
ところがニールには客室乗務員の恋人リサがいることが判明。
さらにその直後、ニールの自宅内でリサが何者かに刺殺されているところを窓から目撃してしまう。
しかし毎日酒と薬に溺れ精神的に不安定なアナは、自分が目撃した殺人事件が真実なのか幻覚なのか分からず混乱する。
見どころ
もともと妄想が激しい性格を元夫ダグラスから何度も指摘されており、自覚も反省もしていたアナ。
しかし生まれつきの性格や長年の癖というものは、自分の意志だけで簡単に治せるものではない。
自分のものでありながら自分のコントロールが及ばないのが、心というもの。
過ぎ去った幸せな日々の思い出、悲しみ、後悔、そして妄想などに、自分自身でもどうしようもないほど浸ってしまう孤独なアナに共感してしまう人は多いのではないだろうか。
もともと持っていた妄想癖は、娘の死と離婚により孤独になったことで、さらに悪化。
心配して声をかけてくれた友人たちにも愛想をつかされ、さらに負のスパイラルが加速する。
真っ暗闇の中にいると、自分の現在地がわからなくなるものだ。
自分が間違っているのか、それとも自分以外の周りの人間たちが間違っているのか、判断に自信が持てなくなるほど追い詰められていく。
コロナ禍で人との交流が減り、孤独を募らせている人が多い今、アナの状況はあながち他人事とは思えなくなるかもしれない。
亡くなった娘の面影をエマに重ねるアナは、途中から探偵と化して暴走気味に調査を行う。
遠方まで足を運んでの聞き込み調査もいとわず、途中からは日本の“2時間サスペンス”のような雰囲気に……。
思い込みが激しくて危なっかしいけれど、根は善良で愛情深い性格なので応援したくなる主人公だ。
ワインを一日中飲んで鬱々とした日々を送っていたアナが、“亡くなった娘の代わりにエマを守る”という新たな生き甲斐を見つけたことで、少し元気を取り戻したように見えた。
とにかくアナ&ダグラス夫妻のワキが甘すぎて正直突っ込み所はたくさんあるのだが、二転三転四転の展開に予想外の真相にと、途中でダレることなく楽しませてくれるサスペンスだった。
Netflixシリーズ『窓辺の女の向かいの家の女』
独占配信中
文/吉野潤子