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企業の人事担当者3000人に聞いた「人的資本経営」を実践する上での課題

2022.02.01

人的資本経営とは、人材をコストではなく価値創出の原動力である資本と捉えて、その価値を高めることによって持続的な企業価値向上につなげるマネジメントを意味する。

そんな「人的資本経営」に関してのアンケート調査がこのほど、リクルートにより、業の人事担当者3,007人を対象にして実施された。

本記事は、調査結果をもとに人的資本経営を実践する上での課題や、従業員のスキル・能力の把握状況などを考察するものだ。調査期間は2021年10月29日~11月12日。

1.人的資本経営を実践していく上での課題

■「従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化」が最上位。そもそも人的資本の把握ができていない

昨今、世界的に企業の人的資本の重要性が高まっている。人的資本とは、人材をコストと見なすのではなく、人材は価値創造の源泉であり投資対象であると捉える考え方だ。現代の企業には、人的資本の価値を向上させるようなマネジメント、すなわち人的資本経営の実践が求められている。

今回の調査では、企業の人事担当者に「人的資本経営を実践していく上での課題」を確認した。課題のトップは「従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化(54.5%)」だった。この項目は全体の中で唯一選択率が過半数を超えた。

次に選択率が高かったのは「従業員の学び直し・スキルのアップデートへの投資(39.3%)」だった。調査結果は、人的資本へ投資する以前にそもそも自社の人的資本の状況把握やデータ化ができていないという実態を明らかにしている。

人材を、把握し、配置し、育成し、評価し、処遇するという人材マネジメントのプロセスの中で「従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化」は最初の段階である「把握」に該当する。

一人ひとりの従業員がどのようなスキル・能力や経験を持っていて、どのような人が社内のどこにいるのか、そういった把握ができていないとその後のプロセスもうまく機能していかない。

人材に対してどのような投資を行うか、いかにして個々のスキルや能力を高めるか、といった点は人的資本経営における重要な検討事項だ。しかし、個々のスキルや経験が不明確であれば、目指す状態に対しての具体的なスキルギャップがわからず、適切な学習機会の提供ができない。

人的資本の価値向上を目指すに当たって、前提である人的資本の把握ができていないことが大きな課題として浮き彫りになった。

2.従業員のスキルや経験の把握状況

■スキルや経験の内容によって把握状況が異なる。質的な情報であるほど把握状況が低い

前述のとおり、人的資本経営の課題は「従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化」が最上位だった。ここでは、従業員のスキルや経験の把握状況を確認する。

本調査では、従業員の役割・職務に関係する活動履歴(スキルや資格、経験など)を4段階にわけて質問した。それぞれの回答結果は図表2のとおり。

「詳細を記録・蓄積している」が最も高かったものは段階1の「業務遂行に必要な法律上義務付けられている証明書など(国家資格や公的資格など)」だった(59.1%)。それ以外の段階では「詳細を記録・蓄積している」の選択率はすべて半数を切る結果になった。

段階1の情報(国家資格や公的資格など)や、段階2の情報(民間資格・学位・成績など)は比較的データ化しやすい情報といえる。一方で段階3の情報(職歴や参加プロジェクトなど)や、段階4の情報(課外活動・学習履歴など)は一律にはデータ化できず、いわば、質的な情報とも言える項目だ。

今回の調査結果を見ると、質的な要素を含む情報の方が、詳細に記録・蓄積されている割合は低くなっていることがわかる。

■スキルや経験の記録と「従業員エンゲージメント」の状況

本調査では、回答者が認知している企業全体の「従業員エンゲージメント」の状況を確認した。段階4の「個人の能力などを形成する業務外での学び・経験」の回答結果と従業員エンゲージメントの結果をクロス集計したものが図表3だ。

従業員のスキルや経験を詳細に把握していることは、従業員の経験が生かされるような部署配置や、個々のスキルの状況に応じた学習機会の提供を可能にする。さらに、従業員のスキルや経験を把握して配置などを行うことは、従業員エンゲージメントを高めると予測できる。

図表3では「詳細を記録・蓄積している」が「記録・蓄積していない」より明確に高い値を示している。これは従業員エンゲージメントを高める基礎として、従業員のスキルや経験を記録・蓄積することの重要性を示唆していると言えるだろう。なお段階1~3でも同様の結果を示している(参考情報を参照)。

3.どのようにしてスキルや経験の情報把握を進めるべきか

■従業員の質的な能力の情報は、現状の記録・蓄積の割合が低く、理想に対するギャップも大きい

人材を資本と捉えて企業の価値創出を実現するためには、従業員のスキル・能力や経験を把握し、情報として活用することが基盤となる。企業は、これまで以上に従業員に関心を示し、人間としての個性や特徴を知る努力をしなければならない。ここでは、従業員の多様な情報をどのようにして把握すればよいか考察する。

図表4は、従業員の業務内容やスキル・経験、特徴などに関する7項目について「現在、記録・蓄積できている(以下、現在)」と「理想的な人材育成や管理を実現するために記録・蓄積するのが望ましい(以下、理想)」を確認した結果だ。いわゆる、理想と現実の現状、そのギャップを表している。

最初に、各項目の「現在」の結果を見ると「担当業務内容」や「担当業務年数」といった、比較的表面的に捉えやすい情報はともに60%を超えており、一定の割合で記録・蓄積ができていることがわかる。

一方で、残りの5項目は全て50%を下回っている。これらは特定の状況に対するスタンス面といった、従業員の個性や特徴が表れるような質的な情報と言える。前述の図表3と同様、こちらの調査結果でも、質的な要素を含む情報の方が記録・蓄積ができている割合が低いことがわかる。

次に「理想」に対してギャップがある項目に着目すると、「担当業務内容」と「担当業務年数」は、「現在」が「理想」を上回っているが、これら以外の5項目は全て「理想」に対してギャップがある状態だ。

特にギャップが大きい項目は「トラブルが発生した時の臨機応変/柔軟な対応状況(20.6ポイント差)」、「既存業務だけでなく新しい領域・テーマに挑戦した経験(20.3ポイント差)」などだった。調査結果は、従業員の質的な能力の情報は「現在」の記録・蓄積の割合が低く、「理想」に対するギャップも大きい状況を示している。

■人事や現場マネジャーがアンテナを張って、動態的に変化する人材の“生きた情報”をキャッチする

一様に形式知化できない質的な情報を把握し、記録・蓄積していくためには、従業員とのコミュニケーションの中から知り得ていくことが重要だ。人間は動態的に変化する。
日々の仕事の経験からスキルがアップデートされたり、他者との協力関係の中から新しいネットワークが形成されたりする。そのように変化する“生きた情報”を把握するためには、現場マネジャーや人事が注意深くアンテナを張って情報をキャッチすることが重要だ。

マネジャーであればメンバーの普段の仕事ぶりを観察することや1on1を通じて、その人を多面的に知っていくことが可能だ。また人事は、積極的に従業員と対話していくことで、従業員に関する最新のスキル状態やキャリアの方向性をつかむことができる。

さらに、社外での学習体験や交流での気付きを、従業員が自発的に表出したくなる環境を整備するのも一つの方法だ。このような動きを基盤として、それぞれがキャッチしている情報を連携させる場を設けて、個々の資質や能力を未使用・未開発のままにせずに最大限引き出すためにどんな働きかけをすべきか検討することが重要だと考えられる。

なおこういった一連の情報把握は、従業員の個人情報に大きく関わる。企業は従業員らの個人情報の利用目的を明確に示したプライバシーポリシーを設定し、従業員から同意を得る必要がある。

本稿では人的資本経営の課題、従業員のスキルや経験の把握状況、情報把握の進め方について解説した。人的資本経営を実現するために、企業は改めて自社の従業員に向き合い、関心を持ち、多様な側面を知り得ていくという第一歩を踏み出すべきだろう。

<参考文献>
Shuck, Brad, Jill L. Adelson, and Thomas G. Reio Jr. "The Employee Engagement Scale: Initial Evidence for Construct Validity and Implications for Theory and Practice." Human Resource Management 56.6 (2017):953-977

<調査結果を見る際の注意点>
%を表示する際に小数点以下第2位で四捨五入しているため、%の合計値と計算値が一致しない場合がある。

<参考情報>

<調査概要>
調査名:人的資本経営と人材マネジメントに関する人事担当者調査(2021)
調査目的:人的資本経営や人材マネジメントなどに関する実態を明らかにする
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の人事業務関与者(担当業務 2 年以上)
調査期間:2021年10月29日(金)~11月12日(金)
調査回答数:3,007人
回答属性:下表参照

出典元:株式会社リクルート
https://www.recruit.co.jp/

構成/こじへい

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