
がん治療の希望の光:高精度3Dプリントによるマイクロニードル
化学療法は、腫瘍やがんの治療に不可欠な方法。
従来の化学療法では、主に静脈注射と血液循環によって薬剤を標的部位に送りこむ。
しかし、この方法は効率が悪く、薬剤の量が少ないと治療効果が弱く、薬剤の量を上げていくと毒性が強くなり体に害を与える、という大きな矛盾があるという。
科学者たちは最近、精密な3Dプリンターでマルチマイクロチャネルマイクロニードルを作成し、化学療法薬を効率的、安全かつターゲットに送達する新しいアプローチを提案し、癌治療に新しい光をもたらしている。
この研究は、「Multimicrochannel Microneedle Microporation Platform for Enhanced Intracellular Drug Delivery」というタイトルで、権威ある学術誌「Advanced Functional Materials」に掲載された。
また、この研究の臨床応用と産業化を加速させるために、会社を設立した。
Fig. 1 研究の流れ
研究チームはまず、BMF社(Boston Micro Fabrication)の超高精度3Dプリント技術(microArch S130、光学解像度=2μm)を使って、内部に複数のチャンネルを持つマイクロニードルアレイを作製し、このマイクロニードルを使って化学療法剤を患部に正確に送り、さらに電界を使って薬剤の拡散を促進し、がん細胞の内部に浸透させることに成功。
Fig. 2 薬剤送達方法の模擬図
マウスを使った実験の結果、この新しい方法の優れた点が次のように指摘されている。
1. 腫瘍内への薬物送達効率は、従来の静脈内投与法の10倍以上であること。
2. がん細胞の増殖指数(Proliferation Index)が従来の点滴法に比べて20%低い。
3. 他の臓器に大きな影響を与えない。一方、従来の静脈内投与法では、心臓、肝臓、腎臓、腸などの臓器の質量が50%~76%減少している。
Fig. 3マイクロニードル基底部の直径160μm、内部チャンネルの直径40μm(人間の毛髪の直径は約100μm)
出典元:BMF Japan https://bmfjapan.jp/
構成/DIME編集部
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