密を避けてお店の味を楽しめると需要が高まったテークアウトサービスに〝借りて返す〟という新しいスタイルが生まれつつある。背景にあるのはプラスチックごみの大量排出問題だ。国連環境計画によると、世界全体で発生するプラごみの47%が使い捨ての包装容器で、これらはリサイクルが難しく、リサイクル率は14%程度にとどまる。排出量を減らすためにドイツでは再利用テークアウトカップサービス『RECUP』を2016年から開始、現在では同国内3000以上の店舗で利用されている。
昨今、日本でも同様のサービスが注目されていると、株式会社カマン代表取締役社長の善積真吾さんは説明する。
「日本は1人当たりの使い捨て包装容器ごみの平均排出量が年間約32㎏とアメリカに次いで多く、国際的な課題です。さらにSDGs実現への取り組みも相まって政府が積極的なので、『Megloo』(左上掲)のようなサービスを進めるうえでの追い風になっています」
返却式のテークアウトサービスには、ゴミ削減という本来の目的以外にも、店舗側と利用者側双方にメリットがある。
「『Megloo』が店舗に提供する容器は使い捨て容器より低コスト。環境問題に取り組むお店というイメージ向上にもつながります。お客さんも機能性・デザイン性が高い容器を使うことで、温かい料理をおいしく楽しめます」(同前)
大手コーヒーチェーンのスターバックスでも返却式カップの実証実験を開始している。〝借りて返す〟スタイルは、新しいテークアウトのスタンダードになるかもしれない。
保温性・密閉性抜群!提携店舗どこでも返却OK!
『Megloo』
神奈川県鎌倉市で実証実験中の返却式容器シェアサービス『Megloo』では、テークアウト時に借りた容器を提携店舗や返却BOXのどこでも返却可能。容器は保温性、密閉性が高く、さらに洗いやすいため衛生的。今後は対象店舗を拡大するほか、独自開発の容器を開発する予定。
【LINEで簡単オーダー!お店の味を温かいままどこでも味わえる】
店頭でQRコードを読み取り、LINEから容器の受け取り、返却手続きを行なう。
【傾けてもこぼれない!】
朝食屋コバカバ
[住]神奈川県鎌倉市小町1丁目13-15 [電]0467・22・6131 [料]950円(サバ弁当)
朝受け取って帰りに返却!手軽に本格水出し緑茶が味わえる
『朝ボトル』
愛知県名古屋市に2021年5月にオープンした日本茶カフェ『mirume 深緑茶房』では、朝にお茶入りのボトルを受け取って帰りに返却する『朝ボトル』を提供中。天皇杯を受賞した深緑茶房(三重県)の茶葉を使用しており、手軽に本格的な水出し緑茶を楽しめる。
【低カフェインで身体にやさしい】
【水を足せば3杯分楽しめる!】
『朝ボトル』では平日の8〜10時に店頭のカウンターで提供される。使用後のボトルはカウンターの穴に挿すか返却用の木箱へ投入して返却する。
mirume 深緑茶房
[住]愛知県名古屋市西区那古野1丁目36-57 [電]052・551・3366 [料]300円(朝ボトル)
大手コーヒーチェーンでも実証実験開始!
『借りるカッププログラム』
東京・丸の内エリア内のスターバックス全10店舗では、カップ循環型プログラムの実証実験を実施中。通常のカップよりも安く提供されるうえ、ステンレス製なので保温性が高い。再利用時の洗浄は微生物検査などの高度な基準を設けており、衛生面も安全だ。
【ステンレス製で保温性抜群】
【最新設備で衛生面もバッチリ】
スターバックスコーヒー 皇居外苑 和田倉噴水公園店
[住]東京都千代田区皇居外苑3-1 [電]03・6273・4844
取材・文/桑元康平
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2021年12月20日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。