
デジタル・エクソダス
ITを活用し、働く場所に縛られない「デジタルノマド」と呼ばれる人が増えている。英国の『The Economist』誌によれば、今後数年で10億人のデジタルノマドが生まれるという。その背景にあるのが「デジタルノマド・ビザ」だ。
「エストニアやジョージアなどデジタルノマド・ビザを発給する国が増えています。好きな場所で働けるので、国に縛られる必要もない。彼らはインターネット上で分散型自律組織(DAO)によってゆるやかな結びつきを得て、サイバー国家が現実になりつつあります」
そう話すメディア美学者の武邑光裕氏はこの現象を旧約聖書の「出エジプト記」になぞらえ、「デジタル・エクソダス」と呼ぶ。
「世界の変化に追いついていない現状の社会システムを変えられるのか。それができないのなら、従来システムから逃れて、新しく作ればいいのではないか。その結果として、インターネット上の国家の創出という動きが進んでいるのです。国家にとって人材の流出は大きな問題ですが、この流れはパンデミックでさらに加速しています。デジタルノマドたちの動向はポスト・コロナを語るうえでのメガトレンドになっていくでしょう」(武邑氏)
デジタルノマドの人々を自治体レベルでどう受け入れるかという視点も重要だ。その土地の魅力を発信し、ノマドワーカーが集まれば、地方創生へつながる可能性もある。
デジタルノマドの提唱者は日本人!
『Digital Nomad』は、日本人エンジニアの牧本次生氏と、デビッド・マナーズ氏の共著(日本語版は絶版)で提唱された。
インターネット国家「Plumia」
サイバー国家のひとつである「Plumia(プルミア)」は国境を越えた機会とサービスへのアクセスを提供する国の構築に取り組む。
取材・文/橋本 保