
女友達から精子提供を頼まれたコメディアンの男性が、生きる意味を問いかける!
1月14日よりNetflixで独占配信中の『人生はコメディじゃない』は、メキシコで製作されたヒューマン映画。
同じくNetflixで独占配信中の『ROMA/ローマ 完成までの道』『ハウス・オブ・フラワーズ: ザ・ムービー』のガブリエル・ナンシオが脚本を担当。
グアダラハラ国際映画祭で最優秀長編映画賞と最優秀撮影賞(マリア・セッコ)を受賞した。
あらすじ
11年前に出版社を辞めてコメディアン・脚本家をしている中年男性ガブリエル(ガブリエル・ナンシオ)。
独身で恋人もいないガブリエルは、いつも自虐的なネタばかりを披露している。
幸か不幸か、いつもネタには事欠かないガブリエル。
長年の女友達メリッサからは子作りのため精子提供を依頼されたり、銀河系と交信するウクレレ弾きの女性レイレと出会ったり……。
そんな中、15年ぶりに帰省したガブリエルは、老いた父親の死に直面。
それをきっかけにメリッサへの精子提供と父親になる決意を固めるのだが、「あなたは単なるドナーであり父親にはならなくて良い」と言われ動揺する。
みどころ
「自分がこの世に遺せるものって何だろう……」
社会の一員として生きている人間であれば、誰もが一度は自分自身に問いかけるであろう“生きる意味”、“存在意義”。
冒頭でメリッサから精子提供を依頼された時は驚いてドン引きしていたのに、その後は立場が逆転してガブリエルの父親願望の方がすっかり重たくなってしまうのだ。
楽しくて自由でストレスフリーなだけでは、どこか虚しい。
自分が生きた証を遺したい。誰かの役に立ちたい。命を育みたい。
そんな素朴で本能的な願望が自分の中から沸いてくるなんて、ガブリエル自身もきっと予想していなかったのではないだろうか。
コメディアンが主人公でありタイトルに「コメディ」と入っているので、最初は笑いの要素を期待していた。
しかし蓋を開けてみると、“生と死”に対して真摯に向き合うきっかけを与えてくれる、静かで穏やかな映画だった。
Netflix映画『人生はコメディじゃない』
独占配信中
文/吉野潤子