
ドライアイの原因となる“まばたき不全”に注意!
テレワークやオンライン授業の定着で、PCやスマホを見る時間が増えている昨今、ドライアイや角膜(黒目部分)に傷がついてしまうリスクが高まっている。
涙には大切な瞳を守る役目があるが、実は“不完全なまばたき”によって、涙が蒸発しやすくなってしまうのだ。まばたきが不完全だと、涙の蒸発を防いでいる“瞳の保湿ベール(油層)”が形成されづらくなり、油層が乱れてしまうことで、涙が蒸発しやすい「涙液蒸発亢進(こうしん)型ドライアイ」になってしまう恐れが。
そんな中、「現代人の角膜ケア研究室」はドライアイに関するニュースレターを公開。眼科医の有田玲子先生に普段意識しない“まばたき”とそのケア方法を伺った。
1日に約1万5千回!“瞳の保湿ベール”をつくるまばたきの重要性
普段は意識をしていないまばたき。1日に約1万5千回もしているといわれているが、その重要性を知っているだろうか。
瞳は涙によって守られている。その涙がまばたきによって、瞳全体へ行き渡ることで、保護され、栄養を届けている。その瞳を守る涙は、3層構造になっており、蒸発を防ぐ役割の「保湿ベール(油層)」がある。
しっかりと上瞼と下瞼がくっつく、完全なまばたきをすることで、油分と水分が分泌され、保湿ベールを作っているのだ。そのため油分が不足していると、涙は蒸発しやすい状態になってしまう。
不完全なまばたきが招く「涙液蒸発亢進型ドライアイ」
まばたきが不完全になってしまい、上瞼と下瞼がしっかりくっつく、“完全なまばたき”ができない状態になると保湿ベー
ルをつくる油分が分泌されず、涙が蒸発しやすくなってしまう。
このように、油層による瞳の保湿ベールが適切に作られず、涙が乾きやすいタイプのドライアイが「涙液蒸発亢進(こうしん)型ドライアイ」。なんとドライアイ患者の約8割以上がこのタイプに該当するといわれている。
「涙液蒸発亢進型ドライアイ」のケア方法
『まばたきエクササイズ』でまばたきの質をアップ
まぶた付近の筋肉「眼輪筋」を鍛えることで、無意識にしているまばたきの質をあげることができる。①~⑤を5回1セットとして、1時間ごとに行なうと効果的だ。
点眼薬を正しく使う
水分補給だけでは改善しにくい「涙液蒸発亢進(こうしん)型ドライアイ」。まばたきの質と回数を意識するだけでなく、点眼薬を正しく使用してケアすることも重要。
・症状が軽いうちにさすことでさし過ぎを防ぐ
※適切なタイミング:起床後、お昼休み、3時のおやつ時、夕食前
・1滴で十分効果的であるので、一度に何滴もささない。また、一日の上限回数を守る
※1日3~6回
・うるおい感が持続するタイプを選ぶ
・角膜にやさしい防腐剤無添加のものもおすすめ
有田 玲子 先生
伊藤医院眼科副院長 慶應義塾大学元眼科非常勤講師 東京大学眼科臨床研究員
2012年、眼科医、一般のかた、患者さんに涙のあぶら・マイボーム腺の重要性を啓蒙するべくLid and Meibomian Gland Working Group(LIME研究会)を立ち上げ、涙のあぶらの重要性をより多くの人に発信していくことを目的に講演会・講習会・ハンズオンワークショップ・患者さん向けパンフレットの作成などActiveに活動している。国際的には涙のあぶらに関する英文論文を70報以上Publishしており、涙のあぶらに関する論文数では世界一となっている。最近では一般の人へドライアイの正しい知識啓蒙のためYouTubeチャンネルを配信している。https://linktr.ee/AritaReiko
関連情報:https://www.kakumaku-lab.jp/
構成/DIME編集部