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高齢者の転倒問題に挑むMagic Shields社が開発した魔法の床「ころやわ」が革新的である理由

2022.01.24

人は必ず歳を取る。「加齢」は自然の摂理であり、誰にも避けられないものだ。

例えば、現在プロのアスリートとして活躍している人であっても、50年後には介護が必要な高齢者になっているかもしれない。あるいは何かしらの事情により歩行が困難になるといった事態もあり得る。

そういった場合の多くで、再び歩くためのリハビリが必要となる。しかし、高齢者の歩行訓練は簡単なものではない。訓練の最中に転倒してしまったらどうするのか? あるいは、転倒がきっかけで大怪我を負い寝たきり生活になってしまった……ということもある。

少子高齢化を迎えている日本において、「高齢者の転倒問題」は真剣に考えなければならない事項だ。

転倒時だけ柔らかくなる床

「高齢者の転倒は、本人だけでなく家族にとっても深刻な問題です。それを避けるために高齢者を極力歩かせないようにすると、日々の運動量が減って結局寝たきりになってしまいます」

静岡県浜松市に所在する株式会社Magic Shieldsの代表取締役 下村明司氏は、そう語った。

筋力や反射神経が衰えた高齢者にとって、転倒は苦悩に値する問題だ。もちろん、転倒した結果の負傷が膝の擦り傷程度のこともあるが、場合によっては大腿骨を折ってしまうこともある。そうなれば長く辛いリハビリは避けられない。

それを恐れた結果、外出を避けるようになる。いや、外出どころか室内での歩行すらもしようとしなくなる。だが、人間の脚力は二足歩行をしなくなった直後から衰えが加速していく。

「それは家族や看護師、介護施設のスタッフに対して大きな負担を与えますし、より広域的に考えれば巨額の医療費も発生してしまいます」

自分の足で歩けるに越したことはない。では、どうするか?

Magic Shieldsが開発したのは『ころやわ』という衝撃を吸収するクッション材を含んだ床である。現在は医療機関や介護施設を対象に販売を行っている。

これは一言で言えば「緊急時だけ柔らかくなる床」である。普段はまるでフローリング材のように固く、普通に歩く分にはまったく違和感を感じない。

「従来型のマットは普段から柔らかいせいで、足を取られてしまいます。しかし、『ころやわ』は転倒時にだけ柔らかくなる仕組みです」

負傷の危険性を大幅抑制

早速試してみた。

こういう時、10代の頃からしぶとくやってきた組技格闘技のスキルが役に立つ。鼻の前で三角を作る前受け身で、『ころやわ』の上に落ちる。立った状態から一度ジャンプしてマットに激突するのだが、もしも床がただのフローリングだったら大変なことになっている。

が、その心配は不要だった。床がたわむのだ。下手な畳よりも柔軟性がある。同時に、今まで体験したことのない不思議な感触だ。固いのに柔らかい。本来なら相反するふたつの文言が、ここでは並び立ってしまう。

例えば、このようなシチュエーションは考えられないだろうか。廊下の途中まで要介護者を車椅子で移動させ、その後は自分の足で歩いてもらうという場面だ。介護士の手を取って車椅子から立ち上がり1歩、2歩歩いたところでつまずいてしまう。その事態を介護士が咄嗟にカバーできるとは限らない。しかし床が『ころやわ』であれば、何とか負傷せずに済むかもしれない。

転倒しても怪我を予防できる床があれば、室内でのリハビリやトレーニングの難易度もぐっと下がるはずだ。また、それは結果として寝たきりの高齢者の減少にもつながり、周囲の人々の身体的、精神的、経済的負担をも軽減するかもしれない。

頑強な人物であっても「転倒」は命に関わることがある

転倒は負傷のみならず、打ちどころによっては死因にすらなってしまう。

昔、アメリカにバディ・ロジャースというプロレスラーがいた。米マット界で最も成功したレスラーのひとりとして知られ、それゆえに同業者から大きな反感を買っていたほどだ。

ロジャースは引退後の68歳の時、サンドイッチ店で暴れていた男とストリートファイトをし、見事に倒している。この時はすでに股関節の手術をしていたというが、プロレスラーだっただけあり腕っぷしは並の若者以上だった。

ところがこの3年後、ロジャースは呆気ない最期を迎えている。スーパーマーケットで買い物をしている最中、床に落ちていたクリームチーズに足を滑らせて転倒したのだ。床に頭をぶつけたのである。レスラーだったのだから受け身は取れなかったのか、という疑問はナンセンスかもしれない。多くの人は歳を重ねると、反射能力が衰えていくのだ。

また、プロボクシングの世界で最も偉大な選手だったモハメド・アリはパーキンソン病を患っていた。アリはこの難病と、実に30年以上も闘い続けていたのだ。

『ころやわ』はふたつの使命が課せられているのでは、と筆者は解釈している。ひとつはロジャースのような転倒による死亡事故、もしくは重傷事故の発生を抑えるという使命。もうひとつはアリのような難病患者に、安全なリハビリ設備を提供する使命。

「『ころやわ』は日本国内だけでなく、ニースやマイアミといった高齢者介護施設の多い海外の都市にもセールスしていきます」

ヤマハスピリットの継承者

浜松市から磐田市にかけての地域は、日本有数の「モノづくりのまち」である。

このエリアに本社を置く企業をひとつあげれば、ヤマハグループである。楽器のヤマハとモーターのヤマハ、どちらも静岡県西部に巨大な税収と雇用を生み出している企業だ。実は下村氏も、かつてはヤマハ発動機の社員として二輪車開発に携わっていた。

ヤマハは「今ある技術」を十二分に生かして未知の分野へ踏み込んでいった企業だ。

ヤマハのかつての社名は日本楽器製造といった。楽器メーカーだった企業が、1955年に『YA-1』という自動二輪車を発売したのだ。

ところが55年に開催された第3回富士火山レースで、YA-1は他社のマシンを抑えて優勝してしまった。その3か月後の浅間火山レースでは、何と1位から4位までをYA-1が独占した。自分たちの持てる知識や技術を総動員すれば、新しい世界に切り込んで覇を唱えることもできる。これこそが「ヤマハスピリット」だ。

燃えるような魂の継承者は、我々現代人の生活を変革し得る製品を開発している。この魂が篝火のように灯っている限り、日本のモノづくりベンチャーは世界中で大活躍するはずだ。

【参考】
株式会社Magic Shields

取材・文/澤田真一


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