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下北沢駅の南西口にオープンした複合ラウンジ「(tefu)lounge」が示すサブカルの街・シモキタの未来

2022.01.23

小田急線の線路地下化により再開発が進む下北沢地区。1月20日に、下北沢駅南西口に隣接した複合ラウンジ「(tefu)lounge」(以下テフラウンジ)がオープン。サブカルの街と呼ばれ、昔から若者の憧れの街だったが、この数年は大人にとっても憧れの街に変わりつつある。シモキタはこれからどこへ向かうのか。

この辺に住みたくなる、いろいろ使えそうなラウンジ

小田急線南西口に隣接した「(tefu)lounge」。左側が南西口。1階にはスーパーマーケット、コーヒー焙煎店が入る。

約50年前に始まった小田急線の複々線化事業。世田谷代田駅から下北沢駅を挟んで東北沢駅までの線路の地下化が完了したのは2019年。それから3年。全長1.7キロに及ぶ細長い線路跡地を利用した再開発地区「下北線路街」は13のエリアに分かれて開発中。まだ進行中である。

1月20日には小田急下北沢駅南西口に直結する形で「(tefu)lounge」(以下テフラウンジ)がオープンした。カフェ、レストラン、ナチュラル系のスーパーマーケットをはじめ、時間課金型のラウンジ、シェアオフィス、イベントスペース、ミニシアターまである5階建て。

「下北沢のまちのラウンジ」をテーマに、「徒歩圏内の住民の暮らしをいっそう充実させる駅前の新しいあり方」をコンセプトにデザインされたという。

シモキタという街は以前から演劇人やミュージシャンが行き交い、古着屋や中古レコード屋などが小路にひしめくサブカル発信地であり、若者の街と呼ばれてきた。しかし同時に、ずっと前から住宅地である。今でも若者や観光客が歩く通りを1本、2本折れると、世田谷の住宅街が広がり、かなりのお屋敷が並ぶエリアもある。

テフラウンジは、そんな下北沢周辺に住む人、働く人、毎日のように通う学生などがメインのターゲットになる。わざわざ電車に乗ってやって訪問するのではなく、ふだんからここにいる人たちの普段使いのラウンジにしたいということだ。

地下化した線路跡地の再開発計画について、小田急電鉄は長い年月をかけて地域住民と話し合いの場を持ち、住民の意見やリクエストを蓄積してきた。

「若者の街と言われますが、年配の方も多い。そういう方からは朝からゆっくりできる店が少ないとか、安心して歩ける散歩道や午前中から行ける映画館があれば、といった意見もいただきました」(小田急電鉄まちづくり事業本部の橋本崇さん)

「まちのラウンジ」ということで、地域の活動団体とのプロジェクトも始動している。たとえば、子ども食堂やフードバンクを開いている「一般社団法人北沢おせっかいクラブ」と提携し、フードロスにも取り組む。また、周辺の緑の管理を、街の共有部の緑化活動を行っている団体「シモキタ園藝部」に委託している。こうした地域住民との連携を通してテフラウンジが住民のコミュニティのハブになるような仕組みづくりを進めている。

2階のラウンジ「(tefu) lounge by KITASANDO COFFEE」。手前はふつうのカフェで奥は時間課金制のカフェエリア。1時間750円でドリンク飲み放題はうれしい。

71席のシアター「シモキタ−エキマエ−シネマK2」。映画の新しい可能性を追求しながら、演劇、音楽、サブカルなど多様な文化が根づく下北沢の街の新たな文化のハブをめざす。映画上映前に流れる「観賞中の注意ビデオ」には下北沢の住民が登場する。1月20日から濱口竜介監督の作品を特集上映する。

新しい事業の芽には水もやっていきたい

まちのラウンジになるカギになるのがワークプレイス。個人向けのラウンジ会員と法人向けのシェアオフィスだ。

テフラウンジの開発計画はコロナ禍前に策定されている。自宅からちょっと離れた場所にお気に入りのワークプレイスをもつことは、その時点では、まだ少し先のニーズになると思われる提案だった。が、そこにコロナ禍が来て、一気にニーズが高まった。テフラウンジにとってコロナ禍は「目の前に将来が迫って」(前出・橋本さん)くる状況をつくり出した。

3階のラウンジ。個人向け会員(月額40,000円)は2〜3階のラウンジを自由に使え、オンラインミーティング用のブースも。2階のラウンジのコーヒーを飲みながら仕事ができ、窓の外にはシモキタの裏通りが。

4階には5つの法人向けシェアオフィスがある。写真はもっとも広い21.4㎡+2つのシェアルーム。共有のキッチン、会議に使えるマルチルームが付属し、見晴らしのいいテラスもある。ここに入る事業者でテフラウンジのポテンシャルも変わる。

では、このシェアオフィスにどんな事業者が入居するのだろうか。橋本さんは、まだ入居者は埋まっていないとしつつ、「テフラウンジの価値観に共感してくれる事業者が集まることを期待していますし、私たちもここで新しい仲間ができることを期待しています」と話す。「シモキタはとにかく遊ぶ場所が多い。遊びながら働く、仕事しながら遊ぶ。そういう人たちが集まれば、きっとおもしろいアイデアが生まれてくるでしょう。私たちは、そういう機会を提供していきたいし、また新しい事業の芽が育つように水やりもしていきたい」。テフラウンジに集まるビジネスマンやクリエイター、それに近隣住民を巻き込んで生まれる事業は、すばらしい投資先になるのだ。

小田急電鉄まちづくり事業本部橋本崇さん。

下北沢駅周辺にはシェアオフィスやコワーキングスペースは増加中だ。小田急線と交差する京王・井の頭線の高架下には、現在シェアハウスが建築中である。コロナ禍をはさみ、自宅で仕事する、自宅の近くに快適なワークプレイスを確保する、そうした流れは今後も続くだろう。

線路跡地の「下北線路街」には、すでに“チェーン店お断り”の個性的な商店が集まるエリア、居住型のカレッジ、マルシェやイベント向けの空き地などがオープンしている。街を行く人たちは若者や留学生を含んだ学生をはじめ、おじさんおばさんの老若男女、実に多様。洗練されたショップも多いが、洗練を避けているかのような居酒屋も相変わらずだ。そのごちゃごちゃがやがやした雰囲気をまとったまま、何か新しいものの発信地になりそうな、そんな予感のあふれる2022年1月のシモキタである。

下北沢駅前、かつて“開かずの踏切”があった場所。「シモキタ線路街」計画はまだ進行中。

取材・文/佐藤恵菜

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