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宇宙からのデータ活用でビジネスを加速させる「SX」の可能性

2022.01.23

宇宙といえば、“ロマン”のイメージがあり、ビジネスとは縁遠い世界に聞こえるかもしれない。しかしそのロマンが現実化する日が、近付きつつあるのだ。

それを象徴するかのように、最近、「SX」という言葉が生み出された。これは「スペーストランスフォーメーション」の略で、宇宙から得られるデータを活用し、地上における様々なビジネスのイノベーションをはかることだという。今回はそのSXを提唱するINCLUSIVE株式会社の代表 藤田誠氏に、ビジネスに“宇宙”を活用する構想を聞いた。

宇宙の魅力とは?

現在、北海道の東南、十勝の南部にある大樹町(たいきちょう)で、ロケットやスペースプレーンの発射場「北海道スペースポート(略称:HOSPO/ホスポ)」の開発が進んでいる。将来的には宇宙産業の製造拠点や研究拠点、周辺産業や観光産業が集まり、シナジー効果を生み出す「宇宙版シリコンバレー」を目指す。また、小型ロケットのスピーディーな開発にチャレンジする、インターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST社)などへの投資もさかんに行われている。

【参考】インターステラテクノロジズがMOMOを打ち上げているロケット射場「Launch Complex - 0」(SPACE COTAN株式会社提供)

その投資を積極的に行っている企業の一つが、メディア企業や事業会社のDXを推進する事業開発を手がけるINCLUSIVEだ。代表 藤田氏は「宇宙×ビジネス」の可能性に期待し、実際に事業化に取り組んでいる人物の一人。宇宙にロマンや魅力を感じているという。

【取材協力】

藤田 誠氏
INCLUSIVE株式会社 代表取締役社長
2007年4月にTargeting(現INCLUSIVE)株式会社を設立。サイトから得られる定量データをもとに、出版社やテレビ局などいわゆるレガシーメディアのウェブメディアを次々と改善。収益化を推進し、DXを推進してきた。2019年12月に東証マザーズ上場後、さらなる新規事業への取り組みとして宇宙関連ビジネス=SXを推進中。

「私は宇宙にロマンや魅力を感じていますが、それは『宇宙が未知で広大だから』という漠然としたイメージからではなく、技術の進歩によって宇宙を『ビジネス』として利活用できる時代になったことで、これからどんなビジネスをつくっていけるかという点でワクワクしています。

今の宇宙関連ビジネスの環境は、インターネットサービスの黎明期に近いと考えています。インターネットは当初、公的機関だけが使えるもので、研究や軍事目的で利用されていたわけですが、のちに一般向けに公開されました。当時は、ここまで生活に根ざした、必要不可欠なものになるとは、多くの人が想像していなかったと思います。

宇宙関連ビジネスも、まさに今そんな状況になっています。宇宙といえばソユーズロケットで前澤友作氏が日本の民間人として初めてISSへ到着し滞在したことも記憶に新しいですが、官需産業であった宇宙開発が民間で行われるようになってきています。またそれに伴って、人工衛星データを活用した新しいビジネスがつくれるようにもなってきました。こうした民間の宇宙関連サービスは、きっと想像よりも早く私たちの生活に入り込み、身近なものになっていくと思います」

衛星利活用サービスの展開を構想

藤田氏は、HOSPOやIST社のビジネス拡大などに投資するなどして、近年、ずいぶんと「宇宙」に入れ込んでいる。具体的に、どんなことをしたいと考えているのだろうか?

「具体的には、衛星利活用、特にリモートセンシング技術を使った農林水産業などの効率化につながるサービスを展開したいと考えています。

近年、小型人工衛星の実用化が容易になってきたことにより、人工衛星の低軌道化と小型衛星同士を連携させるコンステレーション化が進んでおり、これらの衛星が収集したデータを使った新たなサービス開発が注目されています。軌道投入ロケット『ZERO』の開発を進めているIST社、その子会社で『ZERO』の打ち上げに最適な超小型人工衛星を開発しているOur stars社によって、低軌道化、コンステレーション化の流れはますます加速すると考えられます」

例えば、どのような活用が考えられるだろうか。

「リモートセンシングで田畑の土壌から作物に吸収される窒素やタンパク質の量などを推定できる技術があり、それを活用してより効率的に土壌を改善することができます。また、海色リモートセンシングの技術によって、海中のクロロフィル濃度観測から植物プランクトンの濃度分布を知ることができ、新たな漁業関連ビジネスの可能性も広がっています。

そして農林水産業の他にも、海外では衛星画像などから自動運転用の道路検出を行っている事例、地面の変化値を分析することで地滑りの発生リスクを把握している事例など、すでにビジネス展開されている衛星データ活用事例はあり、インフラ整備や災害対策も含め今後活用できる領域はますます広がっていきます。

また、HOSPOを運営するSPACE COTAN社は、IST社もロケット射場として利用している北海道大樹町のスペースポート(宇宙港)を整備し、単なる発射場にとどまらない宇宙産業の集積地として都市の活性化にも取り組んでいけたらと考えています。

このようにINCLUSIVEとしては人工衛星の打ち上げを支援させていただき、そのデータを活用したビジネスの共創と地域の活性化もしていきたいと考えています。」

「SX」とは?

INCLUSIVEは様々なビジネスのDX(デジタルトランスフォーメーション)を手がけてきた。

そのDXと関係の深い、藤田氏が創り出した「SX」とはどういった概念を指しているのか。

「宇宙からのデータを活用して、地上における既存の産業、事業会社、自治体、団体を変革することを、私は『SX(スペーストランスフォーメーション)』と呼んでいて、これを推進していきたいと考えています。

先述のリモートセンシングによる作物の生育状況改善など、これまで人工衛星とは縁がなかったような分野でも、衛星データを活用することでさらに効率化できる領域がたくさんあります」

そのSXに、INCLUSIVEのこれまで培ったノウハウを活用していくという。

「INCLUSIVEは主に雑誌やテレビなどのメディアのDXを推進しており、データ分析から事業を改善していくノウハウを蓄積しています。リモートセンシング領域とは異なるのでそのまま使えるわけではありませんが、例えばデジタルコンテンツのデータ分析からコンテンツ編成を考え、改善し続ける施策は、応用できる部分が大いにあると考えています」

どんな企業がHOSPOに参画するか

2021年7月、HOSPOの事業運営会社、SPACE COTAN社は、HOSPOを応援する企業が参加し宇宙版シリコンバレー形成に向けた事業連携を図るコミュニティ「HOSPO SUPPORTERS」を設立した。ALSOK北海道やオカモトホールディングス、サツドラホールディングス、北海道コンサドーレ札幌、北海道新聞社、北海道電力など20社以上参加するうち、INCLUSIVEも含まれる。

これから、ますます発展していくとみられるHOSPOを中心とした宇宙版シリコンバレー。今後、どのような企業が参画し、発展できるだろうか。

「宇宙産業と相性の良いあらゆる企業が参画するのではないでしょうか。すでに宇宙関連の事業をしている企業はもちろんですが、当社のように、これまで宇宙とは関係ない事業を展開していた企業も参画する可能性は十分にあると思います。

現に、サンフランシスコのシリコンバレーは名前の『シリコン』が表す通り、もともと半導体とハードウェアの産業が盛んでしたが、今ではGoogle、Meta(旧Facebook)などのソフトウェアとネットサービスを提供するIT企業が多く集まっています。ハードウェアはソフトウェアやインターネットがなければ使えませんから、必然と言えると思います。

宇宙産業も同様で、ロケットや人工衛星を『ハード』とすると、そこから得られるデータや通信環境などを活用したビジネスを展開できる会社、既存事業とシナジーのある会社は参画すると思います」

HOSPO・宇宙版シリコンバレーの次なる展開、今後の構想

HOSPOは今後、どう進化していくのか。また今後の構想は?

「HOSPOは2021年春に誕生し、2023年には人工衛星用ロケットのための射場(Launch Complex-1)、2025年にはさらに大型な射場(Launch Complex-2)の建設を予定しています。現在は、宇宙版シリコンバレーの実現へ向け、北海道大樹町とSPACE COTAN社が中心となってふるさと納税や企業版ふるさと納税などによる北海道スペースポート建設のための資金集めに取り組んでいます。今後の宇宙ビジネス拡大のためには官民が一体となって支援していくことが重要だと考えています」

●今後の構想

「資本提携しているIST社やOur stars社などと連動したソリューションについては、IST社の軌道投入ロケット『ZERO』打ち上げ予定の2024年以降に展開していく予定です。

ですので、実際にIST社の人工衛星を活用した自前のサービス展開はまだ少し先になりますが、我々だけでも先んじて、経済産業省が推進している衛星データプラットフォーム『Tellus』を使った衛星データ活用に取り組み、SXを推進していきます」

宇宙のデータ利活用による「SX」は、今後、発展していくと考えられる。ロケットを打ち上げる環境はこれからますます整っていき、より安価で質のよい衛星データを大量に取得できるようになったとき、どのようなサービスが生まれていくのだろうか。今後の動向にも注目していきたい。

【参考】
「北海道スペースポート」公式サイト

取材・文/石原亜香利

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