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日本のすべての住宅の窓の断熱性を向上させるだけで年間約1509万トンのCO2が削減できる?

2022.01.21

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

2026年までに高性能窓比率100%を目指すLIXILの取組み

国の省エネ政策として2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しているが、国の地球温暖化対策計画の主な目標の中で、全部門でも最も高い目標が設定されているのが 「家庭部門」。

新築においては2025年までに省エネ基準が義務化され、2030年までに義務基準をZEH(断熱、省エネ、創エネで年間の消費エネルギーを正味ゼロにする住宅)に引き上げるというハードルの高い設定がされている。

家庭部門の従来目標ではCO2削減率「-39%」だったが、2021年改定目標では削減率「-66%」と目標値が引き上げられ、家庭部門の温室効果ガス66%削減(13年比)の実現のためには「新築住宅」と「既存住宅」の両方を高性能化していくことが不可欠となっている。

住宅の脱炭素型への転換ポイントとなるのが開口部の性能向上。家庭部門における消費エネルギーの約4分の1を占めるのが冷暖房で、冷暖房の熱の多くは窓などの開口部から逃げてしまっている。窓の断熱性状を向上させることで、冷暖房の熱ロスを抑えることができ、住宅の消費エネルギー低減につながる。

世界の複層ガラス以上の省エネ窓市場は2019年の約156億ドルから2027年には290億ドルに達する見こみで、高性能窓は地球温暖化対策の成長ドライバーになるとみられる。

環境意識の高い欧州では、窓の省エネ基準がより厳格な数値に設定されており、トリプルガラスの比率を比べてみると、日本では3%に満たないのに対し欧州は45%に上る。

単板ガラスからトリプルガラスにすることで、窓の断熱性能が大幅に向上する。LIXILの算定では、熱流出を約80% 抑えることができ、新築、既存住宅でもトリプルガラスの窓にすることで、住宅のCO2削減効果が格段にアップすることが可能になる。

LIXILでは2022年3月期にすべての新築用の窓シリーズを刷新、この1年で高性能窓比率を一気に高めた。2021年3月期の高性能窓率74%から、2026年3月期までに高性能窓比率100%を目指す。また、既存住宅の高性能化についても、窓や玄関の1dayリフォーム商品を展開し、開口部の性能向上を推進する。

トリプルガラスの高性能ハイブリッド窓「TW」新発売

居住者の満足度を高めるためには、開口部をより広く確保することが大切だが、冬は北欧並み、夏は東南アジア並みと寒暖差が大きい日本の気候条件では、開口部を広くするほど、外の寒さ、暑さが室内に侵入しやすくなってしまうデメリットがある。

LIXILでは相反する条件をクリアする高性能窓の開発に着手。4年の月日をかけて試行錯誤の末にたどり着いたのが、ハイブリッド窓とトリプルガラスの掛け合わせだった。

室外側に強度・耐久性に優れたアルミを採用し、雨、風、日差しによる劣化を防止。アルミでフレームをスリム化できて採光・眺望性も確保。室内側には断熱性に優れた樹脂を採用し、熱の出入りを抑制する。アルミの良さと樹脂の良さを融合させた新しい構造の窓が「ハイブリッド窓」だ。

新発売の「TW」は、ハイブリッド構造と、一般複層ガラスの約4.8倍の断熱性能を誇るトリプルガラスを掛け合わせた高性能窓となる。

トリプルガラスと複層ガラスによって、省エネ基準で日本では最高等級とされる「HEAT20 G2」グレードにも対応できる国内最高レベルの断熱性能を実現。

また、年間降水量は世界平均の約2倍と、日本は台風や大雨の多い過酷な環境のため、TWは住宅用窓として国内最高水準の耐風圧性S-4等級(最大瞬間風速57m/秒相当に耐える)、水密性W-5等級(高層ビルでも耐えられる)と、台風の強大化やゲリラ豪雨の増加などの気候変動の影響にも配慮した設計になっている。

地震国でもある日本では耐久性も必須条件で、TWは室内側のフレームにアルミを使用することで強度を高め、「スマートライト構造」で、トリプルガラスでも複層ガラス並みに軽量化し、最適な駆体掛かり寸法を確保することで、長期使用における品質保持に配慮し、住宅の高耐久化に貢献する。

デザイン面では、TWはハイブリッド窓ならではのスリムフレームが大きな特長。スリム化でガラス面積が拡大し、同じサイズの従来品の樹脂窓と比べると約30%面積がアップ。引違い窓4枚建は、新構造の「スレンダーマリオン」を採用し、真ん中の幅を重ね合わせる設計で、従来品に比べ50%スリム化した。すべての縦フレームの幅を統一したことで、デザインも視界もすっきり見える。

外観のアルミフレームは薄暮の時間帯をコンセプトとした新色「ダスクグレー」を採用。形材のトップ層に高耐候型アクリル塗料を適用した「テクスガード」を採用。独自の分子構造や劣化防止剤により長期にわたる高い耐候性を実現している。

下枠の段差をなくして、外と内の出入りをスムーズに人にやさしい単体引違い窓「フラットタイプ」で、つまずきや転倒を未然に防止でき、車いすでもスムーズに出入りできる。レールの溝をなくしたのでゴミがたまりにくく掃除も楽にできる。

手が届かない位置の高窓は、ダブルループチェーンと電動タイプの2種類がある。窓の電動化を推進するために求めやすい価格に変更され、電動タイプの高所横すべり出し窓や電動シャッターはリモコンやスマートフォンで簡単に操作できる。

既存住宅でも高性能窓にできるように、TWの技術をリフォーム用の窓にも展開。「取替窓 リプラス」ではトリプルガラスを採用した「リプラス高断熱汎用枠」を新発売する。

熱貫流率1.23W/(㎡・K)とリフォーム用の窓でありながら、欧州の新築基準レベルの断熱性能を実現。断熱性の低い窓を高断熱窓に取り替えて、寒さ、暑さの侵入を抑制する。1窓だけの取替えでも、フレームがスリムなので家全体の雰囲気に違和感が生じにくい。

古い窓の上から新しい窓を取り付ける簡単施工で、壁工事や足場工事不要。1窓あたり約半日でリフォーム完了できる。

リフォーム用玄関ドア「リシェント玄関ドア3 高断熱仕様ハイグレードモデル」も同時に発売。扉厚60mを確保し、内部に高性能断熱材を充填することで、シリーズ最高の断熱性能を実現した。玄関ドアのリフォームも1日で終了するので生活者の負担も少ない。

【AJの読み】窓・玄関を高性能化するだけで「住宅の脱炭素型への転換」ができる

再生可能エネルギーで充電する電気自動車、完全菜食、テレワークなど、脱炭素型ライフスタイルの選択肢による温室効果ガス排出量削減の例はいくつもあるが、ゼロエネ住宅のような「住宅の脱炭素型への転換」は特に削減効果が高いとされる。

日本の家の約90%は現在の省エネ基準に満たない住宅といわれており、日本のすべての既存住宅の窓をトリプルガラスの窓にリフォームしたとすると、年間約1509万トンのCO2削減が可能になるという。これは自動車の燃費改善によるCO2削減効果の約6割に相当する。

ZEHや断熱リフォーム、太陽光発電の導入などは、既存住宅の場合、価格面も含めてかなりハードルが高いが、「窓」「玄関」の開口部を高性能化するだけなら価格、設置の面からも導入しやすい。

電気代が値上げした今年の冬は、暖房費に頭を悩ませる人も多いかもしれないが、節電という観点でも窓・玄関の高性能化は注目される。

文/阿部純子

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