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アピールするポイントは?社内の同意を得るには?企業がSDGsへの取り組みで成果を出すヒント

2022.01.18

現在、多数の企業が、SDGsへの取り組みを活発に進めている。そうした中、2030年の期日に向け、「絵に描いた餅」で終わらせず、確実に目標達成のために企業は何が求められるのか。

今回は、今年から実施される三井物産と博報堂による「Earth hacks」という脱炭素社会を推進する共創型プラットフォームを手がける担当者とともに、企業のSDGs実施に詳しいコンサルタントに、企業はSDGsに対してどう取り組むべきか、注目の領域やアピール方法、社内の同意を得るヒントなどを聞いた。

脱炭素社会を推進する共創型プラットフォームを設立

三井物産と博報堂が共同で進めている実証実験「Earth hacks」は、Z世代をはじめとする脱炭素に関心がある人向けに、自分の生活にも取り入れたいと思えるライフスタイルやエシカルな商品の情報を提供したり、生活者の声をもとに、脱炭素関連商品・サービスや事業の開発を目指す共創型のプラットフォームだ。

具体的な内容は2022年1月から順次、発表される。

「Earth hacks」は、どのような思いの下、行っているのか。三井物産 エネルギーソリューション本部 New Downstream事業部 新事業開発室長 生澤一哲氏は、次のように述べる。

「エネルギーソリューション本部は、低・脱炭素化や気候変動問題の産業的解決をミッションとして掲げて、2020年4月に始動した事業本部です。世界中でエネルギー市場構造での大きな変革が起きています。弊社は、この潮流の中で社会や顧客のさまざまなニーズに応えるべく、クリーンで持続可能な事業創出を行っております。

世間では、脱炭素社会の重要性は認識されており、関心は間違いなく高まっているものの、いざとなると何をすれば良いか分からないということも大いにあるでしょうし、脱炭素というと何か“我慢“や”努力”が求められるという印象が根強く、まだ自分事として捉えられていない気がしております。こういった課題に応えるべく企業が率先して生活者を巻き込み、生活者が脱炭素社会に向けて前向きに向き合い、一人ひとりのアクションで脱炭素な社会づくりを推進していくための場として、Earth hacksに取り組んでおります」

●企業のアピールにつながるSDGsの産業領域

今回は、気候変動についてのプラットフォームだが、それ以外のSDGsを意識した産業領域で、今後企業のアピールにつながる注目領域は? 博報堂DYホールディングス傘下のSIGNING クリエイティブディレクター 清水佑介氏に聞いた。

「これからは、生産者の生活や人権への配慮、生産・製造過程で環境に与える影響など、企業が直接関わる範囲だけでなく、製品やサービスを提供するための大元から廃棄の部分にまで責任を保つ必要が出てくると思います。逆を言えば、そこに注力することで、差別性を打ち出すチャンスが生まれると言えます。

また、2020年に欧州議会で『修理する権利』が消費者の権利として決議採択されました。“リペア”というマーケットは、今後よりインパクトを持つのではないかと考えます。メーカーも、売り切りではなく、修理を前提としたプロダクトやサービスの開発が必要になってくるかもしれません」

●SDGsへの取り組みを企業がアピールしていく際の、クリエイティブ手法

SDGsへの取り組みを企業がアピールしていく際、用いるクリエイティブ手法には、今後、どのようなニーズが出てくるだろうか。

「生活者が知りたいのは、『企業がどんな活動をしているのか?』というファクトにとどまらず、『どんなパーパスを持った企業だから、こういった活動をしている』というストーリーだと思います。事実ではなく、ストーリーを描くようなクリエイティビティが今後より必要になると思います。

そのストーリーを生活者と共有するためにも、一方的な情報発信にとどまらない、共創的な発想での活動の推進が重要になるはずです。

脱炭素というテーマでは、2021年9月に博報堂が実施した調査結果(※)でも、大きな課題であること、すぐに取り組んだほうが良いこと、という認識は生活者にあるものの、『で、どうしたらいいの?』の部分がわからないためにアクションしにくい、という方々が多くいることがわかりました。企業が率先して生活者を巻き込むことで、顧客とのエンゲージをより強めていくことが可能になると考えます。

また、生活者は『SDGsだから買う』という単純な消費行動をするわけではありません。SDGsはあくまでも選択する上での一視点です。SDGsだから、エシカルだから、とその文脈のみに購買理由を求めるのではなく、生活者の消費行動をより紐解いたコミュニケーション設計が必要になると思います」

(※)
博報堂「生活者の脱炭素意識&アクション調査」【①意識篇】
博報堂「生活者の脱炭素意識&アクション調査」【②アクション篇】

●企業がアピールしていくポイント

SDGsへの取り組みを企業がアピールしていくに当たって、よりわかりやすく、しっかりと伝えていくためのポイントは?

「先にも述べた通り、『SDGsをやっています!』というアピールは、もはや生活者には届かないのではないかと思います。何を課題だと思っていて、どんな未来を築きたいと思っていて、だからこそ何をやり続けているのか。一つの人格、一つの意思を持った企業としての一貫性のある凛とした態度を示していくことが重要です。

また、何かをやったからOKではなく、やり続ける、向上させ続ける努力も重要です。サステナブルでフェアな社会の実現のために、前進し続ける企業の姿に、生活者は共感し、愛着を抱くのだと思います」

企業のSGDsの取り組みを推進するSGDsコンサルタントの見解

続いては、企業のブランディングなどを支援する株式会社揚羽で、SGDsコンサルタントとして活躍するSDGsトランスフォーメーション推進室 室長の黒田天兵氏の意見を聞いた。

株式会社揚羽
SDGsトランスフォーメーション推進室 室長
黒田天兵氏

●企業のアピールにつながるSDGsの産業領域

気候変動以外のSDGsを意識した産業領域で、今後企業のアピールにつながる注目領域は?

「気候変動の次の注目テーマとして挙がるのが、生物多様性の問題だと思います。周囲を海に囲まれ、国土の7割を森林が占める日本は,世界でも有数の生物多様性を持つ国として知られていますが、それゆえなのか、世界の魚の量が減少している問題や砂漠化・森林消失といったテーマへの意識が希薄で、そうした問題の解決への取り組みが少ないことが批判の対象となっています。気候変動に関するTCFD*やCOP26*を知っている方が多くても、生物多様性に関するTNFD*やCOP15*のことに注目している方が少ない点も、意識の低さを示していると思います。企業が次に取り組むべきテーマとして必ず挙がる一つだと認識しています」

*TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
*COP26:国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議
*TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース
*COP15:気候変動枠組条約第15回締約国会議

●SDGsへの取り組みを企業がアピールしていく際の、クリエイティブ手法

SDGsへの取り組みを企業がアピールしていく際、そのクリエイティブ手法には、今後、どのようなニーズが出てくるだろうか。

「ひとまずは、今多くの企業が『E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)』という3つの観点から、自社の取り組みや考えを整理して、WEBのサステナビリティページで広報するということに注力していますが、それがある程度、整理がついた企業が次に取り組むのは、その内容を分かりやすく、多くのステークホルダーからの共感・協力が得られるようにしていくということです。

特に『映像』がその手段の一つとして有効と考えていまして、映像は1分間にWEBページ3,600分もの情報量が見ている人に伝わるともいわれていますので、その企業が最も伝えたいことを映像で凝縮し、発信していくというニーズが増えていくと考えます」

●企業がアピールしていくポイント

SDGsへの取り組みを企業がアピールしていくに当たって、よりわかりやすく、しっかりと伝えていくためのポイントは?

「SDGsやサステナビリティといった文脈の広報活動は、企業の『認知活動』と『専門的な側面への理解』をつなぐ、橋(ブリッジ)のようなものと考えています。社会の抱える課題に対して、企業が専門性を活かしてどう取り組み、その解決していこうと思っているのかという内容がまさにサステナビリティ広報だからです。

統合レポートやデータブックなど、投資家が求める定量的で専門的な情報の開示ももちろん大事ですが、専門家にだけ理解できるという広報活動だけではなく、『社会課題を解決したい』という熱い思いや、経営の覚悟、取り組み始めた社員の頑張る姿や情熱を取り上げてあげることが大事だと思います」

揚羽として、今後、SDGsのアピールを手がけることが多くなりそうな業界や業種は?

「ひとまずは、COP26で初めて合意文書に記載された化石燃料を多く利用している業界が、どのように、その削減に取り組むかというテーマが、アピールポイントになると思います。具体的な業界・業種は、CO2を多く排出している鉄鋼、化学工業、機械製造、自動車、運輸、海運といった業界です。また、そもそも化石燃料を商品として扱うエネルギー会社も、エネルギー削減・転換の方針を打ち出し、株主・投資家をはじめとしたステークホルダーからの理解を得なくてならず、アピールに取り組むと考えます」

●社内の同意を得るための工夫

ところで、企業がSDGsに取り組んでいくときに、社員の同意が得られないという課題もあるといわれる。例えば、「SDGsは経営部門だけでやってくれ、こちらは業務でそれどころではない」と思われているケースもある。社内の同意を得るためには、どのような工夫が求められるだろうか?

「SDGsは『社会全体の課題』であり、『目の前の課題』に追われる一人ひとりにとってはどうしても自分ゴトとして捉えづらいという側面はあると思います。しかし、実はその『目の前の課題』も、実はなぜ発生しているのかと、『なぜ?』を3回ほど問いかけてみてください。『目の前の課題』なぜ?→『会社の課題』なぜ?→「業界の課題」なぜ?→「社会全体の課題」と、SDGsに必ず、つながります。

最近、子どもたちにSDGsを考えてもらうワークをしているのですが、その際も、SDGsとは何か?という話から入るより、自分の身の回りの好きなモノや熱中しているコトから入って、それがどう社会とつながっているかを考えるほうが、ずっと社会課題と向き合おうという気持ちになってくれます。SDGsとは何かを知るのも大事なことですが、見たり読んだりしているだけでは、やる気も意欲も湧いてきません。それより、自分が今、集中して取り組まなくてはならない仕事のWHY(なぜ)を深掘っていき、それがどのような社会課題の解決につながるのかを考えてみることのほうが、よっぽど仕事に意欲が湧いてきますし、何をすべきかが明確になって、結果も変わってきます。社内の同意を得たい際には、このことを意識してみてはいかがでしょうか」

今回は、今後、SDGsに関して注力すべき領域やアピール方法などが紹介された。企業として、SDGsを推進していく際、役立つヒントとなるはずだ。

【参考】
Earth hacks
株式会社揚羽

取材・文/石原亜香利


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