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4月からスタートする「成人年齢の引き下げ」で想定されるトラブル

2022.01.13

4月から成年年齢が20歳から18歳に、想定されるトラブルとは?

20歳で迎える最後の成人式となった2022年1月10日(月)「成人の日」。そこで「弁護士ナビ」では、ニュースレター「4月から成年年齢が20歳から18歳に、想定されるトラブルとは?」を公開した。

2022年1月10日(月)「成人の日」

「成人の日」は、国民の祝日として「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます日」として定められているが、毎年、1月の第2月曜日の成人の日に行なわれる成人式は何かと話題に上がる。

今回は、約140年ぶりに成年の定義が見直されることで、今年の4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられるため、20歳で迎える最後の成人式になる。

ただし、現在20歳から認められているすべてのことが、18歳から認められるようになるわけではない。18歳から成人になることで、私たちの暮らしの何が変わり、どのような影響がもたらされるのか、また何ができるようになり、何が変わらず出来ないのか、法律事務所エムグレンの武藏元(むさしはじめ)弁護士に話を伺った。

■18歳になったらできること

・親の同意なしでも契約ができる(携帯電話の契約、ローンを組む、クレジットカードをつくる、一人暮らしの部屋を借りる)
・10年有効のパスポート取得
・公認会計士・司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取る
・結婚(女性の結婚可能年齢も16歳から18歳に引き上げられ、男女ともに18歳に)
・性同一性障害の人が性別の取り扱いの変更審判を受けられる

■20歳からできること

・飲酒
・喫煙
・競馬・競輪・オートレース・競艇の投票券の購入
・養子を迎える
・大型・中型自動車運転免許の取得
・裁判員制度の裁判員(当面20歳以上から選出される)

■成年に達すると急増する相談件数

成年に達すると親の同意がなくても自分で契約ができるようになるが、契約の知識や経験が少ないため、消費者トラブルに遭いやすくなることが容易に想定される。

法律事務所エムグレンの武藏弁護士によると、「成年の定義が18歳に引き下げられることにより、一人で契約を締結することができるようになります。

そのため、18歳で携帯電話を契約する、ローンを組む、クレジットカードをつくる、一人暮らしの部屋を借りるなどができることとなります。このように早い時期から自立した大人として社会経済活動に参加できる一方、若年者の社会的経験の乏しさに付け込んだ契約をめぐるトラブルが増えることが予想されます。

成年の定義を20歳とする現時点においても、未成年者をめぐる数多くのトラブルが存在します。国民生活センターなどによるトラブルの報告件数は、18歳~22歳までの年齢の契約当事者は多くはないものの、20歳を超えると相談数が急増するという特徴があります。また悪徳業者が20歳の誕生日の翌日を狙って取引を持ち掛ける事例も多く見られます」という。

成年年齢が引き下げられることでより一層注意が必要になることが分かる。

■想定されるトラブルとは?

成年の定義が18歳に引き下げられることで、具体的にどのようなトラブルが増加すると想定されるのだろうか? 武藏弁護士は、「若年層に多く見られるトラブルはインターネット通販、マルチ商法、情報商材、学生ローン・クレジットカード契約、また最近多いのは暗号資産関係のトラブルです。

特に注意が必要なのは、高校3年生で18歳となる点であり、高校内で被害が連鎖して広がる点にあります。現行法においては、特定商取引法によるクーリングオフ、消費者契約法により契約の無効・取消しなどにより、契約をした者の保護を図ることは可能ですが、現状の制度では不十分でしょう。

そのため、むやみに契約を行わないことが一番の対策と考えられますが、若年者の社会的経験の乏しさに付け込んで取引等が行われないよう、取引の類型や若年者の特性に応じて事業者に重い説明義務を課したり、若年者の社会的経験の乏しさによる判断能力の不足に乗じて取引が行われた場合には、契約を取り消すことができるなどの法改正が待たれるところです」と話す。

■養育費と成年年齢の関係性

成年年齢の引き下げにより、意外なところにも影響が出てくるかもしれない。例えば、既に離婚して養育費を受け取っている人やこれから離婚を考えている人にとって、成年年齢の引き下げと養育費の関係について関心のある人が多いのではないだろうか。

武藏弁護士によると、「離婚に際して、未成年の子供がいる場合、父母の一方を親権者に指定しなければなりません(民法819条第1項)。

親権の中には監護権も含まれる(民法820条)ため、監護を行うためには子供のための経済的負担も含まれます。そのため、養育費の支払いは、親権に服する18歳までなのではないかという発想が当然に出てくるところです。

しかし、養育費は子供が「未成熟子」である間は支払う義務を負っています。「未成熟子」とは「未成年」とは異なり、身体的・精神的・経済的に成熟の過程にあるため第三者による扶養を受ける必要がある子を指します。

具体的に何歳と決まっている訳ではありませんが、実際の裁判では20歳とされることがほとんどです。そのため、子供を取り巻く社会的環境に大きく変化がない限りは、現状の20歳までという養育費の支払い時期の終期に変化はないと考えられます。

ただし、法改正以前に養育費の取り決めをしており「成年に達する月まで」と定めていた場合には、問題となる可能性があります。

この点、取り決めがなされた時点では「成年」は20歳までなのですから、20歳まで支払い義務を負うとするのが自然ですが、不毛な争いをなるべくなくすように、今後は明確に何歳まで養育費を支払うかを明記した方が紛争防止の観点からは望ましいです」という。

■法律事務所エムグレン 概要
・代表者 :武藏元(むさしはじめ)
・所在地 :東京都渋谷区円山町6-7 アムフラット1階
・経歴 :1999年3月慶應義塾大学経済学部卒業
2010年3月中央大学法科大学院卒業
2010年 10月 司法試験合格
2011年 12月 最高裁判所司法研修所修了(第64期司法修習生)
東京弁護士会弁護士登録、東京ブライト法律事務所入所
2014年 4月 法律事務所エムグレン設立

https://ricon-pro.com/offices/848/

関連情報:https://bengo-pro.com/

構成/DIME編集部


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