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【私たちの選択肢】31歳のライブアイドル・ももねさきが辿り着いた場所

2022.01.08

【私たちの選択肢】ライブアイドル ももねさき 後編

人生に行き詰まると、わたしたちは目の前の世界しか見えなくなります。そんな時、知らない世界や知らない誰かの人生を知ると、すこし気持ちが楽になったりします。

人はいくつもの選択肢をもっている。そして自由に生きることができる。このインタビューは、同じ世界に生きている"誰か"の人生にフォーカスをあてていきます。

前編「アイドル12年目、LV31。いじめられっ子のぼっちがアイドルを目指した理由」は、

こちら https://dime.jp/genre/1292280/

オタク生活が報われた瞬間 

今年でアイドル12年目になるももねさきさんは、幼少期、引っ込み思案でいじめられっこだったといいます。どこに行っても目立って浮いてしまうももねさん。

高校時代に父親が買ってきたパソコンでインターネットに触れ、自分の好きな音楽と"アイドル文化"に出会います。そこから人生は動き出したのです。 

前半では、「わたしはここから人生を塗り替えてやる」と、自分自身がアイドルになるまでのことをお聞きしました。

 アイドルユニットのメンバーとして、トークイベントやクイズイベントに出るようになりました。そのなかでちょっと意地悪なイベントがあって、若い子はわからないような昭和カルチャーのクイズばかり出たんですけど、わたし、全部わかっちゃったんです。

これまで散々ひとりで70年代〜80年代の音楽を掘り下げていたから、イントロクイズもすぐに答えられました。みんな驚いておもしろがってくれて嬉しかったです。これまでのオタク生活が報われた瞬間ですね

カルチャーに膨大な知識があったももねさんは、徐々にユニットだけではなくソロでの仕事も増えていきました。空き時間があれば発声練習や体力作りをし、パソコンに向かって好きな音楽を掘り下げる。キラキラしたパフォーマンスを吸収したくていろんなアイドルの動画を見ては研究をする。歌唱力を買われアニメソングのコンピレーションにも呼ばれるようになりました。毎日とても忙しくなりましたが、「やっとアイドルになれた」と思うと寝る間も惜しいほどだったそうです。

しかし、がんばったぶんだけソロの人気が高まり、ユニットの一部メンバーからいやがらせを受けるようになってしまいます。

とにかくアイドルになりたくて頑張ってきたので、ユニットのメンバーとわたしはアイドルに対する熱量が違っていたんです。でもわたしはどうしてもアイドルになりたかったから、時間も想いも全部ささげたかったんです。

やっと好きな世界で生きられたのにまた疎外されてしまって、ここでもかって思いました

大人のしがらみで活動ができない時期

ある日、ももねさんとリーダー以外のメンバーがライブをボイコットする事件が起きました。 

もうすぐ開演時間になるのに2人以外のメンバーは来ません。頑張りが実って、その当時になるとユニットはライブハウスをいっぱいにするほど人気が高まっていました。これまでの活動をつぶすわけにはいかない。そう思ったももねさんはそれでもステージに立ちました。しかし、そうして努力を重ねるほど、「さきちゃんは仕事をもらえていいよね」と言われてメンバーから距離をおかれてしまいます。 

もう頑張れないと思いました。ユニットを卒業してソロに転向したいとプロデューサーに伝えんたんですけど、いまやめられるとユニットは崩壊してしまうって言われてなかなかやめさせてもらえませんでした

アイドルへの想いと、メンバーそしてプロデューサーとのすれ違い。そのストレスでももねさんは体重が落ち、不健康にやつれてしまいます。会うひと会うひとに心配されるほどでした。そんな状態になってやっとプロデューサーは自体の悪化に気づき、ももねさんのユニット卒業が決まりました。 

しかし、物事はスムーズに進みませんでした。

ユニット卒業をしてから半年は活動をしてはいけないという暗黙のルールがありました。これまでは週に13本くらいライブをしていたのに、一切活動ができなくなってしまったんです

絶対にアイドルに戻るんだ。そんなくすぶった気持ちのまま半年がすぎ、やっと活動オファーをもらえるようになったところでまた問題が発生します。

 復活ライブの準備を進めていると、急にイベント運営の人からこのライブはなかったことにしてほしいと言われてしまったのです。話しを聞くと、前ユニットのプロデューサーが、「自分に許可なくももねさきに出演オファーをしないでくれ」と言っているそうでした。自分の意思とはちがった大人のしがらみで活動が止められてしまう。ももねさんはどうにもならない憤りを抱えていました。 

待ってくれている人がいるのにライブができない。今になって思えば、わたしからプロデューサーに直接"活動を再開したい"って伝えてみればよかったのかもしれませんね。

当時は考える余裕もないくらい落ち込んでしまって、ほんとうにわたしはアイドルに復帰できるんだろうかって悩んでいました

 焦る気持ちで日々だけが過ぎていく。そんなある日、日本橋でメイドをしていた女の子が突然ももねさんを訪ねてきました。自分のリリースイベントにシーグレットゲストで出て欲しいと直談判をしに来たのです。

自分は事務所所属ではないから、大人のしがらみは関係ありません」そう伝える彼女にももねさんはただ驚きました。よく話しを聞くと、ユニット時代のももねさんに憧れて自身も活動をしているそうです。アイドルの自分を忘れないでくれている人がいる。「この子のイベントで復帰しよう」ももねさんは決心します。

 当初の復帰予定だった半年間から、さらに1年がすぎた日、アイドルももねさきは復活しました。

  自分がいるところが自分の居場所 

復帰ライブのチェキにはサインをする時間もないほど人が並びました。ももねさんの復帰を待っていた人がたくさんいたのです。長年応援しているファンの人は、「じゃあ宿題チェキね」と笑いました(※次回のライブまでチェキを預かっておきサインをして渡すシステム)。

まだ次回の予定すら決まっていないのに、また次があると信じているからこそ言える言葉。ももねさんは復活を噛み締めました。

年齢も個性も違うけど、応援してくれるひとりひとりが彼氏と思うくらい大切でした。というのは、声優アイドルが永遠に17歳だったり着ぐるみのキャラクターに中の人はいないことだったり、みんなわかってやっているお決まりだけど、でも大好きな気持ち事実。擬似的な関係だけど確実に愛情はあるんです。そんな"アイドル文化"にすごく支えられました

 ももねさんが活動を制限されていた間にも、新しいアイドルは増えていました。それでも諦めず復帰に向けて動き続けられたのはアイドルとファンの関係、そして"アイドル文化"へのリスペクトがあったからです。

 人間には適材適所があると思っています。学校やバイト先では"変わってる"って浮いちゃうのに、アイドル業界のなかでは"バイトしているなんて立派だしちゃんとしてる"と思われてしまう。

どこにいっても少し居心地が悪い。ならば自分で自分に座布団をしいてあげるしかないと思うんです。

自分がいるところが自分の居場所。今のわたしはぼっちの時間を過ごしたオタクのわたし自身が作ってくれたものだし、わたしはわたしなんです。それに、ファンの人に大切にしてもらうことで安心や心強さもあります

ももねさんがこれまで活動をしてきた12年間も、これから先の活動も、すべて自分で作ってきた時間。それは復帰を信じて応援をしてきたファン自身の時間でもあるのです。 

わたしが人にあげられるものはないけど、ライブをやってアイドルをしている時間は一緒にいられるんです。アイドルをしている限りわたしはずっとそこにいることができるんです

質のいい音楽と質のいいパフォーマンス、スタンダードでオーソドックスなことを丁寧にやっていきたいと語るももねさんは、アイドルのライブ会場にも楽曲にもリスペクトを持っていました。 

新しいことをやるのはかっこいいし大切だけど、過激で異色なことに抵抗がある人たちや、お決まりのことに安心したい人たちもいると思うんです。わたし自身もそう。そのコミュニティを大切にしたいと思っています。

それに、依存するコミュニティはたくさんあったほうがいいから。ももねさき単推しよりも、気づいたらずっとなんとなくももねさきがいるって思われることがいちばんちょうどよくてうれしいな 

このまま活動を続けて、"アイドル文化"を好きな気の合う仲間を増やしたいと語るももねさんは、好きなものへの愛をどこまでも広げていきます。

 他人の活動に焦らず、自分のやりたいアイドルを信じてただ続けていく。アイドルの音楽は自由です。そこに個人の好みはあっても不正解はありません。落ち込んでいても楽しいときでも、ステージの上にはいつもアイドルがいるのだから。

ところでコロナ禍で遅れながらも、ももねさき活動10周年記念シングル『わたしのホログラム』が12/31に配信となります。作曲はなんと、ももねさんがアイドルになるきっかけの人ことReNさん。作詞はこの文章を書いているわたし成宮が書き下ろしました。各配信サイトにてぜひお聴き下さい。

前編「アイドル12年目、LV31。いじめられっ子のぼっちがアイドルを目指した理由」はこちら

https://dime.jp/genre/1292280/

ももねさき

プロフィールライブアイドル。20099月ポンバシ系アイドルの先駆け的存在としてデビューし、2012年よりソロ活動開始。昭和〜平成初期の王道アイドルをリスペクトしたパフォーマンスを行う。"かわいいアイドル"をテーマにした永遠の14才。得意分野ながら、関西特有のバラエティー色の強いポジションとして扱われることは本人曰く「不本意」らしい。ニックネームは、さきそん。

 

文・成宮アイコ

朗読詩人・ライター。機能不全家庭で育ち、不登校・リストカット・社会不安障害を経験、ADHD当事者。「生きづらさ」「社会問題」「アイドル」をメインテーマにインタビューやコラムを執筆。トークイベントへの出演、アイドルへの作詞提供、ポエトリーリーディングのライブも行なっている。EP「伝説にならないで」発売。表題曲のMV公開中。著書『伝説にならないで』(皓星社)『あなたとわたしのドキュメンタリー』(書肆侃侃房)。好きな詩人はつんくさん、好きな文学は風俗サイト写メ日記。

編集/inox.

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