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奥が深い!フェラーリや新幹線の止まる仕組みや安全性を学べる「ブレーキ博物館」探訪記

2022.01.09

自動車やオートバイ、列車、航空機、自転車に至るまで、乗り物になくてはならないのがブレーキだが、構造や仕組みをしっかり理解している人は少ないと思われる。自転車のリムブレーキならまだしも、マイカーでさえ自分で交換や点検をすることが滅多にないのも原因のひとつだろう。

そこで、改めてブレーキの重要性や部品について知ろうと訪ねたのが、東京都墨田区にあるブレーキ博物館。ここは一般の人が肩ひじ張らずブレーキの仕組や種類を知ることのできる施設なのだ。

2021年11月リニューアルオープン

ブレーキ博物館を運営しているのは、中山ライニング工業という会社。同社は自動車をはじめ、他業種向けのブレーキやスターター、オルタネーターなどの電装品をリビルド(再生)・加工製作し、新品同様に再生することに力を入れている。

以前はJR錦糸町駅から徒歩10分ほどの墨田営業所内にあったが、移転に伴い2021年11月にリニューアルオープンした経緯がある。

場所は墨田区立堤通公園のすぐ近く。幹線から奥まった路地の奥。まだ移転してきたばかりなので外観から判断つきにくいが、博物館の案内板は出ているので、それに従い2階に上がれば博物館の入口がある。

ブレーキの基本構造

まず見て欲しいのは、ドラムブレーキとディスクブレーキの構造だ。どちらもライニングやパッドと呼ばれる摩擦材を貼りつけた部品を、タイヤと共に回転する金属体部品(ドラムやローター)に押し付け、摩擦により動きを止める仕組みになっている。

つまり、使いこんでいくうちに摩擦材は減るわけで、それに伴い性能も落ちてしまう。自動車の点検で、パッドの残りが何ミリなのか記録されるのも、交換時期をしっかり見極め、性能を落とさないようにするためなのだ。

ちなみに、ドラムブレーキは構造が簡単で比較的安価に製造できる一方、ブレーキ時の熱がこもりやすい。一方のディスクブレーキは、ドラムブレーキより高価だが、放熱性が高く、効きと安定性が高い。今の自動車はこちらがメーンに採用されている。

摩擦材あれこれ

ここからは今の主流であるディスクブレーキの話として書くが、摩擦材であるディスクパッドの大きさや形は多岐にわたり、材質による性能差も大きい。

たとえば下の画像、左上の大きなものは、フェラーリF40用。ほか、スクーター用、ラジコンカー用、トラック用、外国車用など、パッドの面積や厚さの違いがよくわかる。

材質の主流は大まかに3種類あり、スチール繊維が含まれているかどうかで以下のように分かれている。

セミメタリックパッド

基材がスチール繊維50~60%配合(原料重量比=以下同)。中小型トラックやタクシー、SUVに使われている。制動力はあがるが、音が出やすくローター攻撃性が高い。

ロースチールパッド

スチール繊維10~30%配合。2000㏄以上のハイパワー車やスポーツ走行を重視した車に使われる。

ノンスチール

スチール繊維を使わず、セラミックや非鉄金属繊維を配合。軽自動車から1500㏄くらいの小型車全般に使われる。ローター攻撃性は低いが制動力もほどほど。ノイズも少ない。

ローター攻撃性とは

昔のブレーキパッドはアスベストが使われていたため、減りは早いがローターを傷つけることは少なかった。今は使用禁止のため前述のような素材がメーンになった。結果、ブレーキパッドの減りは遅くなったが、ローター(ディスク)も摩擦で傷つく(減る)。これをローター攻撃性と言う。

傷ついたままのローターを放置しておくとブレーキペダルやハンドルの震動などが起こるため、メンテナンス(研磨・スリット加工)や交換が必要になる。

実車でブレーキの仕組を見る

博物館の中央には自動車の運転席がそのまま置かれ、ブレーキを踏むとどのように車輪に伝わるのか、実車の部品をそのまま再現して見せるコーナーがある。

ここでは油圧により力が伝わる仕組みのほか、下り坂でブレーキだけに頼る運転をしていると起こりうるペーパーロックや、ABSについて学ぶことができる。

さらに、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故を減らすための、安全運転補助装置「SDAS」の解説も行われている。

滅多に見られない新幹線のブレーキ

自動車以外に、新幹線や航空機のブレーキも紹介されている。新幹線は500系とE-4系のものが展示されており、その大きさはなかなかの迫力だ。ただし、こちらは通常の減速には回生ブレーキを使い、ディスクブレーキは最後に車輪を止めるための意味合いが強い。

航空機も同様に、エンジンの逆噴射やスポイラーによる空気抵抗との組み合わせになるなど、自動車やオートバイとは異なる仕組みであることが理解できる。

博物館の一角にはパソコンが置かれ、自習という形で操作することも可能だった。

点検の重要性を訴えたい

ところでなぜ中山ライニング工業はブレーキ博物館を造ったのだろう。案内をしてくれた館長代理の杉本博さんに伺うと、「ユーザー車検」が引き金になったと話す。

つまり、一般のユーザーでも車検は受けられるわけだが、ディーラーや整備工場のプロの目が入らないと、見落とすポイントが増えてしまう。するとどうなるか。

エンジンや電子部品が劣化し壊れたなら自動車は動かなくなるが、ブレーキの不具合は効かない(止まれない)に直結する。そこをしっかり理解し、日常点検に加え、法定点検をちゃんと受けて欲しいとの願いを込めて開館させたというわけだ。

営業所2階の小さな博物館とはいえ、安全への思いが詰まっていることを実感した。

協力:ブレーキ博物館(中山ライニング工業)

取材・文:西内義雄


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